宝石、ジュエリー購入を考えている方がしばし戸惑う専門用語があります。その一例が宝石の多色性と変色性です。何となく分かるような、分からないような二つの言葉。

しかし両者は根本的に異なる光学的な性質なので、宝石、ジュエリーを愛でる為にも、正しい知識を身に着ける必要があります。今回はそんな混同しやすい多色性と変色性についてわかりやすく解説していきたいと思うので、しっかりその違いを整理していきましょう!

角度によって色が違う!?多色性の宝石の魅力とは

目に見えるその宝石の色が変わって見えた、そんな経験がある方もいることでしょう。美しい宝石やジュエリーは持ち主の気分や体調によって、何倍も綺麗に見えたり、逆にくすんで見えることもあります。

しかしそんな感情的な要因ではなく、宝石が持つ光学的性質が原因となり、明確に異なる色に見える現象があります。それを多色性、変色性と呼びますが、ここではまず宝石の多色性について解説していきたいと思います。

多色性とは見る角度によって異なる効果のこと

とても簡単に多色性を説明してしまうと、その宝石を覗き込む角度によって色が異なって見える現象の事です。若干難しい話しになりますが、宝石は光学的等方性または光学的異方性のどちらかに分かれますが、多色性は後者の異方性結晶に見られます。

つまりは光学的異方性を示す結晶は、内部を進む光の方向、速さが異なる為、見る角度によって結晶の色が異なって見えるという訳です。光学的異方性の結晶には、1軸性または2軸性に分かれますが、前者の結晶を2色性、後者を3色性と区別しています。

つまるところ多色性は光学的特徴の相違により、2色または3色の多色性を見せる結晶があるということです。

通常宝石二色鏡を使い多色性の有り無しを判断しますが、多色性は宝石が持つ強烈な個性の一つとして考えられ、特に多色性が強い宝石は人気が高く愛好家に愛されています。

多色性を持つ宝石まとめ

多色性を持つ宝石を挙げてくださいと言われて、まず思いつくのがタンザナイトとアンダリュサイトではないでしょうか?
K18WG タンザナイト ネックレス

特にアンダリュサイトは多色性の強い宝石として知られており、見る角度によって緑、黄色、暗褐色にその色合いを変化させます。ブルーゾイサイトすなわちタンザナイトは青、紫、そして黄緑色の三色性を見せ、持つ者をアッと驚かせます。

多色性の強弱はそれぞれで異なりますが、多色性を持つ宝石は意外に多い点も覚えておきましょう。例を挙げると、アパタイト、クンツァイト、トルマリン、ブルージルコン、ペリドット、アイオライトなども、多色性を持つ宝石として知られています。

このような光学的な現象に関する知識がない場合は、なんとなく光の加減によって宝石の色が違って見えるのかな、位にしか思わないかもしれません。しかし実際は鉱物の光学的な特質がその結晶のカラーチェンジを担っているのです。

そういえば私の宝石も色が違って見える、という方はその宝石名を今一度確認してみてはいかがでしょうか?ちょっとした発見がいつもの宝石箱に隠れているのかもしれませんよ?

変色性=カラーチェンジ!?光によって見せる色が異なる効果

さて多色性に関しては皆さんも何となく理解していただいと思います。それではここで宝石の変色性についても見ていきましょう!

お馴染みのあの宝石も、実は変色性を代表する宝石だということ、皆さんも何となく気づいているのではないでしょうか!?

光源下で異なる色が変わる変色効果

変色性とはいわゆる、異なる光源の下で見ると全く違う色合いを見せる宝石の事です。変色性はカラーチェンジという言葉でも知られており、変色性を持つ宝石は宝石・ジュエリー市場でその希少性、美しさから非常に高価で売買されている宝石であることは言うまでもありません。

太陽下で見ると緑色、オフィスや自宅の白熱灯の下で覗き込むと赤く光る、多色性とは異なり、光源下でしかその変色効果を楽しむことはできないのです。

初めて変色性がある宝石が発見されたのは1834年のことで、若干のクロムを含有するクリソベリル属の宝石でした。皆さんも「ああ、あの宝石かな」と感じているかもしれせんが、
世界五大宝石として扱われるアレキサンドライトでした。
Pt900 アレキサンドライト 0.2ct 一粒ピアス

変色性の強さから、しばしこのカラーチェンジはアレキサンドライト効果とも呼ばれています。

アレキサンドライド以外に変色性がある宝石とは?

アレキサンド以外に変色性がある宝石はあるのか、という質問に関する回答についてです。実は変色性がある宝石というものは、残念ながら非常に少ないのです。

アレキサンドライトが変色性を持つ宝石の代名詞となっていますが、その他に変色性が見られる宝石というものは、カラーチェンジガーネットなどに見られます。

カラーチェンジガーネットというものは、いわゆる多くの種類があるガーネットの中で変色性を見せるものの総称をいい、ベキリーブルーガーネットやグロシュラーガーネットの1つであるバラカガーネットなど。

カラーチェンジガーネットはアレキサンドライトと同様に非常に珍しい宝石ですが、市場価格はやはりアレキサンドライトに軍配が上がる為、費用を抑えて変色効果を楽しみたい方はカラーチェンジガーネットがおすすめです。

変色性を見せる宝石はアメジストやトルマリン、サファイアやルビーなどのコランダム等にも若干見られますが、その変色の強さがあいまいであったりと、そこまで消費者を引き付ける魅力はありません。

なおアレキサンドライトのような知名度も強い変色性を持つ宝石は、合成宝石としてのニーズも高く、著しい変色性を見せる大粒アレキサンドライトなどはある種のトラベルジュエリーとしても人気を博しています。

まとめ

今回は宝石の多色性そして変色性について解説してきました。

同じようなネーミングがゆえに混同してしまいがちですが、光学的特性がそもそもの原因になるのか、または光源下によって異なる色を反射させるのかという全く別のアプローチによるカラーチェンジを見せるのです。

これらの性質は宝石が持つ内包物と同様にそれぞれの石の個性を表わす要素になることは明確ですが、最近は加熱処理や人工宝石も多く市場に出回っている為、購入の際には人為処理の有り無し、合成であるかをしっかり確認してから購入することをおすすめいたします。