ラウンドブリリアントカットに目が慣れてしまうと、もはやそれがダイヤモンド唯一無二のカット方法のように思えてしまいます。しかし昨今最新のラウンドブリリアントカットではなく、あえて古典的なカット方法であるローズカットダイヤモンドに注目が集まっているのです。

今回はそんなローズカットに着目し、その特徴からその美しさ、人気を呼んでいる理由について解説していきたいと思います。

ローズカットって何?ラウンドブリリアントカットとは何が違う?

ローズカット、その名前は聞いたことがあるけれど、イマイチどんなカットなのか分からないという方もいると思います。一般的にアンティークのジュエリーに多用されてきたカット方法ですが、昨今はモダンジュエリーでもローズカットを施したジュエリーをよく見かけるようになりました。

ここではそんな古のカットであるローズカットについて、わかりやすく説明していきたいと思うので、ダイヤモンドラブの方は必見です!

16世紀に生まれた薔薇の蕾に似たカット

ローズカットは古い歴史を誇るカット方法の一つであり、特にダイヤモンドに多用されてきたカットです。(勿論ローズカットはガーネットやコランダムなどの宝石にも見られます。)

ローズカットと言えば、三角形のファセット面を持ち、基本的にテーブル面とキュレットがないのが大きな特徴と言えます。(なお底面にも同じローズカットを施したものを、ダブルローズカットと呼びます。)

1500年代にまで遡る古のカット方法ですが、ファセット面の数により異なるネーミングが与えられ、6つのファセット面があるシンプルローズカット、カット面が通常のローズカットよりも多く、先端が尖ったダッチローズカットが特に有名です。

基本的にテーブル面がなく、先が尖っているものは全てローズカットなので、マーキスカット、オバールカット型のローズカットダイヤモンドも存在しており、一言では片づけられない面白みを感じさせるカットと言えます。

欧州においてもオランダやスペインなどではダッチローズカットが頻繁に見られ、特に品質の高いダイヤモンドに研磨されるカット方法です。また宝飾史上非常に有名なダイヤモンド(コイヌール、オルロフのダイヤモンドなど)には、ローズカットが施されているものも少なくありません。

ラウンドブリリアントカットとの相違点

今でこそ当たり前になってきたラウンドブリリアントカットですが、そのカット技術は平坦な道のりを経て発展してきたわけではありません。ポイントカットにテーブルカット、そして今回ご紹介するローズカットを経て徐々に研磨技術が向上し、18世紀初め頃に現在でいうブリリアントカットの原型が完成しました。

ラウンドブリリアントカットは、ギラギラのダイヤモンドらしい輝きを見せますが、ファセット面が少なく、テーブル、キュレットがないローズカットは反射を向上させるカット方法であり、ラウンドブリリアントカットのような輝きは期待できません。

ただしローズカットは光らないというわけではなく、実際電気の無い頃にキャンドルの下で燃ゆるような輝きを見せるように研磨されてきたので、実際は穏やかで奥ゆかしい輝きを見せてくれる、それがローズカットの魅力なのです。
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21世紀になぜローズカットジュエリーが注目を集めているのか?

最近多くのメーカーやブランドなどで、ラウンドブリリアントカットではなく、あえてローズカットに研磨したダイヤモンドジュエリーを製造しているところが増えてきました。

多くの複雑なカット方法が改良されている現代において、なぜローズカットダイヤモンドが人気を博しているのか、ここではその理由について考察していきたいと思います。

抑制された輝きが逆に落ち着いた印象を醸し出す

以前はローズカットダイヤがセットされたジュエリー、またはルースというものは、再研磨をすることで、さらにその価値を高め転売されていきました。しかしアンティークジュエリーの人気が高まるにつれ、徐々にローズカットダイヤモンドの人気に火が付き、派手さを抑えた控えめな輝きが評価されていくようになるのです。

古い時代のジュエリーはあまり持ちたくない方にも、モダンジュエリーにセットされたローズカットダイヤモンドは、よりオリジナリティの高い個性的なジュエリーとして認知されていきました。

昨今は高級ラインだけではなく、比較的手の届きやすいメーカーのジュエリーも多く、スタンダードからエクスクルージブのローズカットジュエリーの商品幅が広くなってきたのも人気を呼ぶ要因の1つと言えるでしょう。

セレブリティーの影響力も計り知れない

レッドカーペットの上を欧米のセレブリティーが歩く時、または彼らが婚約を発表するとき、その指元、耳元を見てみましょう。多くの女性陣がモンスター級のカラット数のローズカットダイヤモンドを身に着けていることにハッとするはず。

ローズカットと言えど多種多様な形状のカットで研磨されたダイヤモンドがあること、そしてその唯一無二のカットがゆえに被りにくいこともあり、ローズカットダイヤモンドはオンリーワンを愛するセレブリティーに支持され、その影響力がジワジワと宝飾市場に伝播していったというわけですね。

特に昨今はローズカットダイヤモンドをセットした大粒の婚約指輪が人気を博しているそうなので、もしプロポーズを考えている男性がいるのなら、あえてローズカットを施した婚約指輪を贈るのも素敵かもしれませんね!
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まとめ

今回はダイヤモンドのカットに多用される古のカット方法、ローズカットについて解説してみました。古い時代のダイヤモンドルースはインクルージョンが多かったり、割れや欠け、イエローやブラウンがかったものも多いですが、モダンのローズカットのジュエリー、ルースは、傷もインクルージョンも目立たない品質のものが殆どです。

ラウンドブリリアントカットのような完成された輝きに酔うのも素敵ですが、ローズカットの遊びココロあるカットを楽しんでみるのも面白いかもしれません。人とは違うジュエリーをと思う方にこそ、ぜひともおすすめしたい、それがローズカットダイヤモンドなのです。

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