緑色のエメラルドも水色のアクアマリンが同じ?!

緑色のエメラルドも水色のアクアマリンも多くの人に知られている宝石です。これらの二つの宝石の本体は同じものである、同じ組成(宝石を形造っている元素の割合)である、ということは余り知られていません。
多くの人はエメラルドとアクアマリンはまったく別の宝石である、と理解していることと思います。
確かにエメラルドもアクアマリンも色が違います。しかし、本体は同じです。共通の本体はベリルと呼ばれています。本体はベリリウム(Be)とアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、酸素(O)という4つの元素で構成されています。
エメラルドとアクアマリンの本体であるベリルは、ベリリウムと呼ばれる元素を含んでいる珍しい特徴を持っています。
不純物を含まないベリルは無色透明です。この無色透明なベリルに微量のクロムが含まれると鮮やかな緑色のエメラルドになります。ベリルに微量の鉄が含まれると海の水色、あるいは湖の水色、川の水色のアクアマリンになります。
緑色の代表的な宝石はエメラルドです。古くから根強い人気のある宝石です。鮮烈な緑色は、他の宝石では見られない色です。

エメラルドの色

市場に出回っているエメラルドの色について、色を観察する場合、一般に上からながめます。濃い色か、薄い色かなどを見ます。
ここで、エメラルドを側面から観察すると、エメラルド自身は緑色だけでなく、複数の色を持っていることを発見できます。
右図はエメラルドを上から見た図です。ふたつの矢印で示したような側面方向から見ると、青緑色と黄緑色の二色が見られます。
これはエメラルドの二色性と言われる現象です。二色性の強さは3種類に分けられます。ルビー(赤色の宝石)などは「強」に分類されます。シトリン(黄色の宝石)などは「弱」です。エメラルドは「明瞭(めいりょう)」に分類されています。二色性の「強」は比較的容易に観察することができます。二色性の「弱」は観察しにくいです。

  

美しいグリーンを見せるには

エメラルドの二色性は「明瞭」に分類されています。ですから、注意深く観察すると、青緑色と黄緑色を見つけることができます。
エメラルドの二色性を観察しにくい場合、矢印の長径方向と短径方向を90度毎に交互に回して見ると、青緑色と黄緑色を比較的容易に見ることができます。
エメラルドのある方向に内在する黄緑色は、日本人、世界の人にとって好ましい色ではありません。ある色の中に黄色味が見られることは好ましくはありません。
ですから、宝石のカッター(研磨工)は、ルース(裸石、貴金属に取り付けられてない研磨された石)を上から観察したとき、最高の緑色が見られるように工夫しています。
特に色については、エメラルドに内在する黄緑色がルースの正面に出ないように工夫しています。
エメラルドの原石をルースに仕上げるカッターは、原石を充分に観察した後、市場で最高の価格で取引されるようにテーブル面(ルースの正面の広いファセットの個所)の方向を決定します。市場において高価格で取引されるように、より大きくすること(より重くすること)、より濃い色にすること(濃過ぎても良くないです)、より透明度を上げることに注意を傾けます。

爽やかな水色のアクアマリン

次にベリル・グループ・ストーンに属する宝石としてエメラルドの他にアクアマリンが挙げられます。アクアマリンは多くの人に親しまれている宝石です。その水色は多くの人にさわやかな印象を与えます。
アクアマリンの水色の原因は、無色透明なベリルに含まれる微量の鉄分です。この鉄分は水色に発色しますが、ときに薄い緑色にもなります。アクアマリンの中にも淡い緑色味を帯びた水色も見られます。
アクアマリンを側面から観察すると、水色と無色が見られます。これも二色性と呼ばれる現象です。強い二色性ではないので、注意深く観察する必要があります。
今、アクアマリンとよく似た宝石としてブルー・トパーズが市場でたくさん見られます。色の系統が似ているために両石を識別することはなかなか難しいです。
一般的な識別方法として、色の濃さに注目することが挙げられます。比較的薄い水色はアクアマリンの可能性が高いです。一方、市場に出回っているブルー・トパーズはすべて濃い青色です。ブルー・トパーズの色の濃さはアクアマリンに比べてはるかに濃いです。
ブルー・トパーズは人工的に発色させています。ですから、市場で人気が得られるようにすべて濃い目の色に処理されます。ビジネス視点、販売視点から、薄い色にして市場に出すことはないと推測されます。
もし、同じ濃さのアクアマリンとブルー・トパーズに出会った場合、肉眼のみで両石を識別することはなかなか難しいです。この場合、カットされた石の隅に現れる色溜(た)まりに注目します。アクアマリンの色は冷たい水色の感じです。一方、ブルー・トパーズの色は明るい空色の感じです。この感覚をつかむには、同じ濃さの色のアクアマリンとブルー・トパーズをいくつも現物観察する必要があります。

さまざまな発色を見せるベリルグループストーンの魅力

ベリル・グループ・ストーンには、エメラルド、アクアマリンがありますが、この他にモルガナイト、ヘリオドール、ゴーシェナイト、ビクスバイトがあります。
モルガナイトはオレンジ色味を帯びた淡い紫色です。見た目が優しい色で人気があります。ヘリオドールは黄色から黄金色です。ゴーシェナイトは無色透明です。ビクスバイトは暗赤色で希少石です。
ベリル・グループ・ストーンにはいろいろな色の宝石があります。その中で最も人気があり、よく知られた宝石はエメラルドです。鮮烈な緑色が特長です。この色は他の宝石にありません。
この鮮烈な緑色は、無色透明なベリルの中に微量のクロムが含まれることで生まれます。このクロムという元素は、無色透明なコランダムの中に微量に含まれると、赤色のルビーになります。
クロムの発色は宝石の本体(組成、宝石自体を形造っている元素の割合)に影響されて、ベリル本体では緑色に、コランダム本体では赤色に発色します。地球という大自然は、実にいろいろな色の宝石を創り出し、私達を楽しませてくれます。