暗赤色のガーネット

ガーネットという名前を聞くと、多くの人は黒色味を帯びた赤色の石を思い浮かべると思います。それほどこの色のガーネットが広く流通しています。今では宝飾品の他にアクセサリー商品にまでこの色のガーネットが使われています。この色の石は比較的安い価格ですので、広く普及して多くの人の目に触れています。
ガーネットにはこの暗赤色の他に緑色やオレンジ色もあります。最近では紫色も発見されています。

赤色系のガーネット

ガーネットを組成(化学組成)からながめると、6種類に分けられます。その6種類は右図(六角連環図)のような名称で呼ばれています。
図中の左側(1~3)は概ね赤色から黄色、オレンジ色です。右側は概ね緑色が主力です。
図中の1番目はアルマンディン・ガーネットと呼ばれ、私達がもっとも接する機会の多いガーネットです。色は暗い赤色です。通常、ガーネットと言えば、このアルマンディン・ガーネットのことです。この色は鉄に原因しています。アルマンディン・ガーネットは世界の多くの国で産出します。特にインド産がたくさん出回っています。

2番目はパイロープ・ガーネットと呼ばれ、色は血赤色、紫赤色です。この色は主にクロムという元素によるものです。この他に鉄にも影響されています。
1番目と2番目のガーネットはお互いに混じり合う性質があり、中間の組成を持つロードライト・ガーネットが生まれます。ロードとはバラという意味で、ピンク色から紫色を帯びた石の呼び名に使われます。
このロードライト・ガーネットの一種ですが、2016年、今まで見られなかった強い紫色を示すガーネットがモザンビーク(アフリカ)で発見されました。
この新種のガーネットは一般にグレープ・ガーネットと呼ばれています。熟れたブドウの紫色に似ていることから、このように呼ばれています。
3番目はスペサルティン・ガーネットと呼ばれる種類です。市場に流通しているこの種類のガーネットには、オレンジ色をしたマンダリン・ガーネット(黄橙色)とタンジェリン・ガーネット(赤橙色)があります。

緑色系のガーネット

4番目はアンドラダイト・ガーネットです。市場に流通しているこの種類の宝石としてデマントイド・ガーネットがあります。ガーネットの中で最も高価な石です。
デマントイドとはダイヤモンドのようなという意味です。確かに緑色をした光輝く石です。特にロシア産の「ホース・テール」(馬の尻尾)と呼ばれるインクルージョン(内包物、異物)を持つデマントイド・ガーネットは高額です。本当に馬の尻尾と思われるようなインクルージョンもあります。あるいは尻尾の一部だけのインクルージョンもあります。馬の尻尾は幸運を呼ぶと信じられ、ヨーロッパでは古くから人気がある石です。
この馬の尻尾はクリソタイルと呼ばれる鉱物で、ロシア産のデマントイド・ガーネットのみに見られます。ナミビア(アフリカ)でもデマントイドは産出しますが、馬の尻尾は見られません。デマントイドの結晶が成長するときの周囲の環境が違うからです。
5番目はグロッシュラー・ガーネットです。この種類に属するガーネットが市場にいくつか流通しています。ツァボライトやハイドロ・グロッシュラー、ヘッソナイトなどの石が挙げられます。
ツァボライトは緑色の石です。この石はケニヤのツァボ公園周辺で産出することからこの名前が付けられました。ハイドロ・グロッシュラーは緑色の地色に黒色の粒のインクルージョンが見られる石です。ヘッソナイトは褐赤色から黄橙色の石です。
6番目はウバロバイト・ガーネットです。これに属する宝石質のガーネットは産出していません。小さくて不透明のため宝石に適しません。この種類のガーネットはクロムを含むため、緑色に発色します。

混ざりあって生み出される美しい色

ガーネットは六角連環図に示したように6種類あります。そしてこの6種類がお互いに混じり合うことが知られています。
特に1番目のアルマンディンと2番目のパイロープ、3番目のスペサルティンは容易に混じり合います。
1番目のアルマンディンは自身の組成が鉄で構成されています。発色は鉄に支配されて暗赤色になります。通常、宝石は鉄を不純物として含むが、このアルマンディンでは鉄が主組成となっています。2番目のパイロープの血赤色は微量に含まれるクロムに原因しています。3番目のスペサルティンは自身の組成がマンガンで構成されています。マンガンはピンク色に発色します。
1番目と2番目、3番目はお互いに混じり合って、複雑な組成になりますが、色については鉄とマンガンに支配され、暗赤色から橙色、紫色になります。
さらにこの3種類が混じり合って、不純物としてバナジウム、クロムが加わり、アレキサンドライトのような変色性を示すガーネットも発見されています。
変色性とは、光源の種類が変わると色も変わる現象で、蛍光灯や太陽光の下では青色から緑色を示し、豆球ペンライトの下では赤色になるガーネットもあります。
アルマンディン・ガーネットは濃い暗赤色で産出することが多く、カボッション・カット(山形の形状)された石は、より透明感を上げるために内側をくり抜くことも行われています。この石はカーバンクルと呼ばれています。
私達が目にする多くのガーネットはアルマンディン・ガーネットです。ステップ・カット(階段状の平らな面で囲まれた形状)されたこの石は、上から見ると暗赤色です。しかし、側面(ガードル側)から見ると、茶色に見える特徴があります。この茶色はアルマンディン・ガーネットと判断するときのひとつ目安になります。