導入

みんなが愛して止まない宝石界の最高位に君臨するダイヤモンド。ダイヤモンドの価値は徹底した4つの基準により判別されますが、その中でもクラリティー要素、つまりは不純物の有り無しを気にかける方は少なくありません。

今回はダイヤモンドのインクルージョンについての基本を解説していきながら、昨今話題のダイヤモンドの中に更にダイヤモンドを有するマトリョーシカタイプの超ド級のレアダイヤの実態に迫っていきたいと思います。

ロシアで発見!1粒で2度美味しいマトリョーシカダイヤとは?

ダイヤモンドには内部または外部にある不純物や傷がクラリティー評価に影響を及ぼし、その価値を下げる原因になります。しかし時としてダイヤモンドの透明感や純度の評価こそ下がるものの、その珍しさがゆえに4Cだけでは測りきれないレア度が評され高額で取引される場合もあるのです。

今回ご紹介するマトリョーシカダイヤモンドはまさにその好例!世界的にも例を見ない一粒のダイヤモンドに隠された魅力をここで徹底解剖していきましょう!

サハ共和国発、計り知れないレア度のダイヤINダイヤモンド

宝石とは、例えば固形の鉱物、液体と気体の二相インクルージョン、液体、気体と固体による三相インクルージョンなどが不純物として含有し、宝石は完全に純粋な形で産出されることはほとんどありません。

ダイヤモンドもその例外ではなく、非常に多くのインクルージョンが確認されています。

今回の大きなテーマになっているマトリョーシカダイヤモンドは、つまりロシアの民芸人形マトリョーシカと同じ仕組み。つまるところ人形の中から小さな人形が登場するように、ダイヤモンドの中に小さなダイヤモンドが含入されたものを言います。

後述しますがダイヤをインクルージョンとして含むダイヤモンド自体は数こそ少ないものの確認されていますが、2019年10月にロシアのサハ共和国、ニュルバで発見された原石は一癖も二癖も異なります。

0.62カラット(4.8x 4.9×2.8 mm)のダイヤモンド原石の中に、小さな空隙があり、そしてそこに抱え込むようにカランコロンと音を立てる0.02カラット(1.9×2.1×0.6 mm)のダイヤモンド。このタイプのダイヤモンドを内包するダイヤの発見は世界発であり、その特徴的な形状からマトリョーシカダイヤモンドと呼ばれているのです。

現在GIAによる詳しい鑑定が行われている途中ではありますが、高温高圧化のマントルの中で約8億年以上の月日をかけて、ミステリアスなダイヤモンドを形成したと考えられています。

ダイヤ内部にダイヤモンドが含入した原因を考察

ダイヤモンドの内部にどのような過程で隙間ができたのか、そしてどんな拍子で小さなダイヤモンドをそこに抱えるようになったのかを考えてみましょう。

まずはじめに考えられる仮説として、ダイヤモンドが早い速度で成長し結晶化し、更に内部で多孔質のダイヤモンドが生まれたが、激しいマントルの中で内部のダイヤモンドの層が部分的にとけ空隙ができた。

または最初に小さなダイヤモンドが生成し、その後マントルに包まれて大きなダイヤモンドを外周に形成した説などが考えられています。

通常のダイヤモンド形成過程は、マグマ中の炭素成分が非常に高圧、そして高温化に晒されることで結晶化、または火山運動の過程で非常に長い気の遠くなるような時間をかけて形成されていきます。

そんな長い年月をかけて結晶として誕生したダイヤモンドの中には、偶然に偶然を重ねて、今回のようにダイヤがダイヤモンドを抱え込んだケースがあっても不思議ではありません。

原石で見てもどこか心がワクワクするマトリョーシカダイヤモンドですが、もし研磨することになるのなら、どんな輝きを見せてくれるのか、そんな妄想が頭の中に広がりますね!
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他にもあるぞ!ダイヤモンドの中に存在する様々な宝石インクルージョン

類まれに珍しい、今世紀始まって以来の衝撃的なニュースともいえるマトリョーシカダイヤモンド。

しかし前述でも触れた通り、ダイヤモンドはそれが生成する過程で様々な外的要因が原因で、傷やヒビ割れが生じたり、他の鉱物がインクルージョンとして抱え込むようなことも少なくありません。

ここではマトリョーシカダイヤモンドと同様に、レアな鉱物inダイヤの例をいくつかご紹介したいと思います。

・ダイヤモンド
いわゆる子持ちダイヤと呼ばれるインクルージョンを持つダイヤモンドは、鉱物マニアに人気が高いレアダイヤモンドです。10倍に拡大することなく、その概形がハッキリ見えるタイプは、希少価値が高いことは言うまでもありません。

結晶インクルージョンの代表的な子持ちダイヤですが、カラーダイヤの中に無色透明なダイヤを有するものなども確認されています。

・ガーネット、スピネル
クロムが豊富に含まれた鉱物は、ダイヤモンドのインクルージョンとして内包することが比較的多いことでも知られています。

特にガーネット、スピネルもしばしダイヤモンドの内部で存在感を示し、パイロープ・スぺサルタイトガーネットが無色透明のダイヤに色を添えたり、暗褐色~黒色のスピネルが入り込むことも……。

必ずしもガーネット=赤褐色、スピネル=ワインレッドカラーを示すわけではなく、そこがまたインクルージョンを奥深いものにしてくれます。

・ルチル
ルチルの針状結晶はインクルージョンとして非常に大切な要素になり、それらはしばしアステリズム効果を生み出します。そんなルチルもしばしダイヤモンドにインクルージョンとして入り込み無ことがありますが、ダイヤモンドにはニードル状のルチルが大量に入り込むのではなく、黄色~橙色のルチル結晶が1つ、2つ見られる程度です。

専門機関で鑑定をしなければ、それがルビーなのか、ガーネットなのかルチルなのかを肉眼だけで判断することは難しいでしょう。
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まとめ

できるならばクラウンにもパビリオンにもどんなインクルージョンが含有していない純粋に無垢なダイヤモンドが欲しいと願う方も多いと思います。

しかしマトリョーシカダイヤモンドに代表されるように、ダイヤモンドには非常に興味深い内包物があることを知ってほしいと思い、ダイヤモンドにおける結晶インクルージョンのお話をしてみました。

ぜひ機会があればマトリョーシカだけではなく、ルビー、ガーネットにルチルなど様々な内包があるダイヤモンドをその目で見てみてください!きっとダイヤモンドに対する常識、価値観が変わるかも!?