あなたはエメラルドが好きですか?今回は世代を超えて人気を博すエメラルドにクローズアップ。流石は宝石の女王様、こんなに面白い宝石だったんです。

世界三大貴石エメラルドってこんな宝石

ルビー、サファイア、エメラルド、これらの宝石はしばし世界三大貴石と呼ばれます。赤、青、緑、交差点にぶら下がる信号機を思わせる美しい貴石の中でも、特に深い緑が魅力的なエメラルドはダイヤモンドに次ぐ人気を誇るほど。

今回はそんな高貴なグリーンが自慢のエメラルドにクローズアップ。宝石箱にある貴女のエメラルドがもっと愛おしくなる、そんな味わい深いエメラルドの魅力を徹底検証していきたいと思います。

まずはおさらい!エメラルドとアクアマリンは親戚です!

エメラルドの鉱物種はベリルと呼ばれるもので、含有する元素の違いによって様々な宝石に分かれています。代表的なものはギリシャ語でスマラグドス(Smaragdus)から命名されたエメラルドと、淡いブルーが涼し気なアクアマリンです。

全く異なる宝石として認知している方も多いと思いますが、実は同じベリル族だったんですね!この他にもベリル族にはJ,Pモルガンにちなんで命名されたモルガナイト、ライトグリーンのヘリオドール、非常に希少で市場にあまり出ることのないレッドベリルなどが挙げられます。

ベリルはその宝石によって産出国こそ異なりますが、エメラルドは主にコロンビア、ザンビア、ジンバブエ、ブラジル、マダガスカル等などで多く採掘されています。特にコロンビア産のエメラルドは非常に品質が高く、ソフトな色合いのグリーンが特徴です。

元々傷やインクルージョンが多い宝石として知られていますが、緑の色合いが強くなればなるほどその市場価値は高騰していきます。なおエメラルドのモース硬度は7.5~8程度で安定した硬さを誇りジュエリーに加工されていますが、一方向からの衝撃に対しては脆く、扱いによっては傷が付いたり割れる場合もあるので、デイリーユースには注意が必要です。

人気がゆえのエメラルドの注意点! 含浸処理とは?

5月の誕生石としても知られるエメラルドは、その緑のカラーリングをより強くするための化学処理が行われることがあります。前項でお話した通り、傷が多く透明度を測るクラリティーに難アリの場合が多いため、オイルまたは合成樹脂を含ませ、パッと見の美しさを引き上げるのです。

無処理で透明度の高いグリーンを呈するエメラルドは非常に少なく、そして高価で取引されます。現在は無処理のエメラルドを探す方が難しいくらいこの人工処理が行われているので、エメラルド選びにそこまで神経質になる必要はないでしょう。

ただしエメラルドに資産価値を見出す場合は、勿論無処理のものを意識して選ぶ必要がありますが、個人的にエメラルドのインクルージョンは肉眼で見ても茂みや苔に見えることもアリ、その見た目を楽しめる宝石でもあります。

そんなインクルージョンはフランス語の庭園を意味する「シャルダン」と表現されることもあり、イコール人工処理がなされていない天然エメラルドということの証明にもなっていくのです。
K18YG エメラルド&ホワイトサファイア ピアス

エメラルドとロイヤルジュエリー!王室にエメラルドが愛されるその理由

思わず覗き込みたくなる深いエメラルドグリーン。六方柱の原石は古来からオリーブ油に例えられ、熱病・癲癇(てんかん)を治癒し、未来を予知する力があると信じられていきました。

数千年の歴史があるエメラルドだからこそ、伝えられる逸話や伝説が多いのも特徴で、ここではそんな興味深いエメラルドの歴史の扉を少しだけノックしてみたいと思います。

エメラルドが欧州各地に広まったその訳はあの斜陽の国にあり!

エメラルドは世界各国の王室のロイヤルジュエリーとして所蔵され、しばしロイヤルウェディングでギョッとするカラットのエメラルドクラウンを目にすることもあることでしょう。

エメラルドは様々な国で産出されますが、その歴史を一変させたのがスペインの南米支配でした。コロンビアと言えば珈琲豆ですが、それ以上にエメラルドは非常に重要な位置づけであることは言うまでもありません。

16世紀には植民地化したコロンビアからエメラルドを大量にスペインに持ち込み、そして様々なジュエリーに加工していきました。スペインのアンティークジュエリーでエメラルドが大量に使われているのは、そんな史実があったからで、品質を関わらずコロンビア産のエメラルドは欧州に輸出されていったのです。

特に有名なものは沈没したヌエストラ・セニョーラ・デ・アトーチャ号から発見されたコロンビア産のエメラルド(ジュエリー加工済含む)で、2017年に競売にかけられ大きな話題を呼びました。

なおスペインと懐を分かち合う隣国ポルトガルは、エメラルドを算出する植民地を有さなかったこともあり、ブラジルから取れた薄黄緑のクリソベリルを母国ポルトガルに持ち込み、ジュエリーに加工していきました。

エジプト王家随一の美女クレオパトラとエメラルドの秘密

ネロ皇帝のメガネはエメラルド製だった!というまことしやかな伝説も有名ですが、それ以上に興味深いのがエジプトとの関連です。

エジプトにはクレオパトラ鉱山があり、色合いこそ薄いものの多くのエメラルドが産出されたという伝説も残っています、このクレオパトラ鉱山は未だに存在する鉱山ですが、産出されたはずのエメラルドはさすがに枯渇しており、今では宝石は一切採掘されていません。

その鉱山のネーミングの由来にもなっているクレオパトラは、大のエメラルドファンとしても知られていますが、彼女は宝石、ジュエリー以外にもエメラルドを活用します。つまるところ永遠の美を保つための、お化粧道具にエメラルドの粉末を使用したそうです。

確かにパールを粉末にした化粧品は市場でも見かけますが、果たしてどのような効能があったのかは未知数……。

クレオパトラはあと鼻が数ミリ低ければ絶大な美人であったと伝わっていますが、その数ミリの惜しい!をエメラルド粉末のカバー力で美肌維持に尽力したのかもしれませんね。
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まとめ

今回は定番中の定番エメラルドの魅力から、その歴史、興味深い伝説について触れてみました。こうしてエメラルドが歩んだ軌跡を覗いてみると、好奇心がムクムクと沸いてきませんか?

エメラルド=単なるグリーンの宝石として愛でるだけでは、その魅力を120%引き出すことはできません。ぜひエメラルドの宝飾歴史に興味を傾け、そのハッとする美しさとロマンに酔っていただければ幸いです。
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