世にあふれる模造真珠を見破れ!

特にアクセサリー市場には、模造真珠があふれています。模造真珠の外観は、技術的な改良が行われ、本真珠(養殖真珠と天然真珠)と見分けがつかないほどです。
模造真珠の基本的な構造は、大部分を占める球状のプラスチックとチタン素材と接着素材などの薄い膜(約0.01ミリ)です。外観を真珠に似せるには、チタン素材の他に有機塗料などが使われます。
本真珠は、養殖真珠と天然真珠に分けられます。流通している本真珠のほとんどは養殖真珠です。ですから、養殖真珠を主体に話を進めます。養殖真珠は真珠貝の種類によって、次のような種類があります。
アコヤ貝から生まれるアコヤ真珠、白蝶貝から生まれる白蝶真珠、黒蝶貝から生まれる黒蝶真珠、イケチョウ貝から生まれるイケチョウ真珠(淡水真珠)、マベ貝から生まれるマベ真珠などがあります。
このように養殖真珠にはいろいろな種類があります。しかし、共通して真珠層と呼ばれている厚さ0.3ミリから1ミリほどの層でおおわれています。この真珠層が美しい真珠独特の光沢をつくり出しています。
さらに養殖真珠を切断して断面を観察すると、球状の核が見られます。養殖真珠の大半はこの核が占めています。天然真珠と養殖真珠の大きな違いは、この核が無いか、有るかの違いです。そして天然真珠は真珠層が厚いです。
真珠の鑑別について、まずは養殖真珠と模造真珠の識別が課題となります。養殖真珠には真珠層があります。模造真珠には真珠層がありません。ですから、真珠層の有無で識別できます。

本真珠にしか生まれないシマシマ模様

それでは、真珠層にはどんな特徴があるのでしょうか? その特徴をとらえれば、識別が可能ということになります。その特徴を見てみましょう。

私達が目にすることができる真珠層は、真珠層の表面です。この表面には特徴的な等高線模様が見られます。肉眼ではこの模様を見ることができません。高倍率の顕微鏡では見ることが可能です。右の写真は顕微鏡(200倍)で観察した真珠表面の状態を示しています。
等高線のような模様です。この模様は養殖真珠と天然真珠にしか見られません。模造真珠の表面にはありません。
ですから、この等高線模様を観察することで、養殖真珠と模造真珠を識別できます。しかし、高倍率の顕微鏡を所有している人は非常に少ないですので、等高線模様を観察する方法は一般的ではありません。

そこで、10倍のルーペでこの等高線模様を見ることができるかどうか、確かめてみます。宝石業界の人や宝石に興味がある人にとって、10倍のルーペは身近にある器具のひとつです。早速、10倍のルーペで養殖真珠の表面を観察してみます。

すると、右図のような指紋模様が見られます。写真ではなかなか判りにくいので、模式図で描いています。10倍のルーペ観察では、等高線が接近して、見た感じは指紋模様に近いです。
右図のような指紋模様が見られたら、本物の真珠です。模造真珠では指紋模様が見られません。
ですから、本真珠と模造真珠を識別する決定的な証拠は指紋模様の有無です。
ただし、10倍のルーペで指紋模様を確認するには、少々、熟練が必要です。単にルーペで真珠の表面を観察した程度では、指紋模様は見えません。

真珠の表面に部屋の明かり、または窓からの光(太陽光)を当てて、真珠の表面に丸い光の点(光点)をつくります。この光点の真珠表面にルーペの焦点を合わせます。焦点を正確に合わせます。すると、上図のような指紋模様が見られます。
10倍のルーペで指紋模様を観察することは、10倍ルーペの能力の限界に近いです。ですから、光点をはっきりとつくり出し、焦点を厳しく合わせます。なかなか難しいですが、一度、自分自身の目が体得すると、次からは少し容易に見えるようになります。
指紋模様はすべての本真珠にあります。海水真珠でも淡水真珠(湖水真珠)でも、すべての本真珠に見られます。模造真珠には指紋模様はありません。
長く使われてきた真珠のリング、イヤリングなどの表面を観察すると、指紋模様が見られないことがあります。長年の使用で指紋模様が削られてしまったのです。このような場合は、真珠の取り付け部の周辺を観察します。比較的、元の状態を保っています。この個所では指紋模様を検出することができます。

自然が生み出す「ざらざら」を体感してみて

本真珠と模造真珠を識別するには、指紋模様の有無を確認することが基本ですが、少々、熟練を要しますので、別な識別方法も知っておくと便利です。
ひとつの方法として、真珠同士を軽くこすり合わせる「擦(す)り合わせ法」があります。ネックレスやイヤリングなどは複数個の真珠が使われています。この場合、ふたつの真珠を軽く擦り合わせます。
すると、本真珠では「ザラザラ」感があります。模造真珠では「ツルツル」感があります。本真珠と模造真珠の両方で同時に体験しておくと、違いが判ります。単独で体験してもなかなか違いは判りません。
「擦り合わせ法」について、本真珠と模造真珠の組み合わせは効果ありません。本真珠と本真珠、模造真珠と模造真珠の組み合わせの場合に「ザラザラ」感、「ツルツル」感が得られます。
通常の商品の場合、例えば、本真珠のネックレスの中に模造真珠が混入することはありません。また、模造真珠のネックレスの中に本真珠を入れることもありません。
ですから、通常は本真珠同士、模造真珠同士の組み合わせで「擦り合わせ法」を行うことになります。
本真珠の表面には指紋模様が見られます。この指紋模様について、個々の指紋の間で極めて低い段差がある、と考えられます。この段差によって、「擦り合わせ法」を行うと、「ザラザラ」感が生まれると推測されます。
模造真珠には指紋模様がありません。したがって、「擦り合わせ法」を行っても、「ツルツル」感になります。
本真珠と模造真珠の基本的な識別方法は、指紋模様の有無を観察することです。10倍ルーペの能力を最大限に活かして、初めて指紋模様が見えます。一度体験すると、次回からはより早く見えるようになります。