カット、カラット、クラリティーそしてカラー、それらは4Cと呼ばれダイヤモンドの値段や価値を測る国際的な指標になっています。

しかし昨今はあえて理想のあるべきダイヤモンドの姿ではなく、そこにオリジナリティという個性を追求したダイヤモンド選びをする方が増えてきています。

今回はそんな個性的なダイヤモンドの選び方についてお話していきたいと思うので、その不可思議で興味深いダイヤモンドの世界を一緒に覗いていきましょう。

インクルージョンがダイヤモンドのスパイスに!内包物を愛すべし!

ダイヤモンドの中で特に気にする方が多いのが、その中に内包するインクルージョンの多さ。いくらDカラーの透明度を誇り、ギラギラな輝きを見せるカットを施していても、ホクロのようなインクルージョンがあったら嫌!という女性は多いはず。

ダイヤモンドは持ち運びができる資産としてユダヤ人にこよなく愛され、その硬度の強さにファイアーは太古の昔から上流階級の人々に愛されてきました。

さてここでは4Cの中でもダイヤモンドの個性を強く引き出すそのクラリティー、そしてその面白い内包物たちをご紹介していきます!

まずは総復習!ダイヤモンドのクラリティの定義について

ダイヤモンドと言えど、傷にクラック、不純物が一切含まれていないものはほとんど見当たりません。通常はダイヤモンドの中に点在するインクルージョン、外部つまりはダイヤモンド表面に届く傷や欠けなどをブレミッシュと呼び、その程度、箇所、色等の状態を考慮し、その品質が決定されます。

ダイヤモンドのクラリティはFL, IF, VVS 1,2, VS 1,2, SI 1,2, I 1,2,3 の11段階に分かれ、通常インクルージョンにブレミッシュが少ない程、その価値が高くなります。多くの女性が婚約指輪に選ぶクラリティはIF~VS2程度の10倍のルーペで覗いても目立つ内包がないものです。

消費者にとって各々のクラリティの違いを目視で確認することは困難ですが、たった少しの内包の差つまりクラリティ評価の違いで、その価値が大きく異なる点は覚えておきましょう。

みんな知ってた?魅惑的なインクルージョンの世界

それぞれの鉱物に特徴的なインクルージョンがあります。ダイヤモンドの場合に関しては、
表面にある傷や欠け、穴や成長線などの他に、特にその個性を決定づける因子はダイヤモンド内部にあるインクルージョンです。

それらはしばしダイヤモンドの外観を大きく損なうようなフェザー状インクルージョン、放射状に広がるクラックなども多く観察されますが、様々な鉱物が結晶内に内包する結晶インクルージョンは特にダイヤモンドを興味深くする要因になっていきます。

ダイヤモンド内部に入り込むインクルージョンの中でも特にガーネット、ダイオプサイド、ペリドットなどの半貴石や小さなダイヤを内包する石は改めてダイヤモンドの楽しさを気付かせてくれます。

またソルト&ペッパーと形容されるダイヤモンドは昨今欧米で特に人気を博し、透明度の高いルースではなく、あえてインクルージョンたっぷりのソルト&ペッパーダイヤを好む花嫁も少なくありません。

ソルト&ペッパーとは主にホワイト、グレー、ブラックカラーのダイヤモンドで、ダイヤモンド表面にまで届く白い雲状のインクルージョンや炭素と思われるブラックスポットやフェザー、欠けなどが多量に存在しまるで塩胡椒のように見えるものを言います。

婚約指輪には純潔という意味合いやメモリアルジュエリーとしての付加価値を考慮して透明度が高いダイヤモンドを選んだとしても、時には遊びココロに内包物が満載のダイヤルースを選んでみるのもいいかもしれません。

ただしインクルージョン、ブレミッシュの種類によってはその耐久度に影響を与えるもの、またはレアタイプダイヤモンドと認識され、クラリティ評価は低いにも関わらず高価に取引される場合もあるのでその点も覚えておきましょう。
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あなたはどんなカットが好み?ブリリアントによらないダイヤの輝きとは

ダイヤモンドに覗くエンジェルの矢、そしてそこに見えるハート模様。ハート&キュピッドと呼ばれるダイヤモンドは特に婚約、結婚指輪に好んで用いられる女性にとっては憧れのカットです。

ダイヤモンドの研磨技術は私達人間が唯一人為的に施すことができる手段であり、それは宝飾史においても重要な事象であることは明白です。

ここではまさかの前衛的カット、そして古来に開発されたダイヤモンドのオールドカットが現代に支持されるその理由、そして魅力について解説していきたいと思います。

ローズカットダイヤモンドの輝きと人気を博す訳とは?

21世紀に入ってからオールドカットと呼ばれるダイヤモンドの人気が高まりました。特にローズカットと呼ばれるパビリオン面を切り落とし、三角形のファセットを付けたドーム状の24面のダイヤモンドです。

16世紀まで遡るカット方法はラウンドブリリアントカットのようなダイヤモンドの特徴的な輝きを計算つくしたカットと異なり、水面に反射する太陽光を覗かせるようなゆらゆらした嫌味のない輝きが自慢。

特にその内包物やカラーが如実に見えるので、よりダイヤモンドの個性を楽しめるカットと言えるでしょう。

欧米のセレブリティなどはこのローズカットダイヤモンドを愛する方が多く、それが現代にローズカットモードを生んだ原因の一つと言えます。

スライスダイヤモンドも人気!

ダイヤモンドをスライスする、そんな斜め上から斬新にカットしたルースも注目を集めています。まるで金太郎あめのような薄いダイヤモンドをゴールドまたはプラチナの枠にはめ込んでネックレスにしたものはよく見かけます。

まだまだメーカーやブランドが得意とする分野ではなく、ジュエリーデザイナーが好んで使うダイヤモンド素材です。「これがダイヤモンドなの?」と意表を突く薄くスライスしたダイヤモンド、まばゆい煌きというよりは自然が創生した神秘を感じていただけるそんなスタイルが人気の秘密。

マグマの中で封入したと思われる幾多にも及ぶインクルージョン、それぞれが放つ個性を愛でながらカジュアルに使いこなせるジュエリーになり得ることでしょう。

原石、カボションルースは玄人向き!

敢えて原石でダイヤモンドを楽しむ方もいます。ダイヤモンドってこんなにメタリックだったっけ、と思う方もいると思いますが、ゴロついた原石を利用した指輪やピアス等も少なくありません。

また原石から最小限のファセットを付けたラフカットダイヤモンドも、これ見よがしなギラギラの輝きこそ見せませんが、古の王侯貴族が愛でたであろう味わい深い透明感を楽しめると人気です。

なおダイヤモンドの中でファセット面を付けないカボションカットのダイヤモンドはほとんど市場に登場しません。強いファイアーはありませんが金属光沢を球面からも十分感じる非常にレアなルースとしても知られています。
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まとめ

従来のダイヤモンドのあるべき理想の姿だけでなく、違う側面から見たダイヤモンドの美しさ、皆さんはどう感じ取って頂けましたか?

やっぱり無色透明!またはファンシーカラーがいい!という方もいるでしょう。しかし人の顔貌のように各々異なる内包を持つダイヤモンドに、そのカット次第で様々な表情を覗かせるダイヤモンドも個性的で素敵ですね!

いつものダイヤモンドに少しだけ退屈したその時は、まるで夜空に瞬く星を散りばめたようなインクルージョンに富んだダイヤモンド、またはあまり見かけないカットを敢えてチョイスしてその個性を楽しんでみてはいかがでしょうか!
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