地球が生み出したものの中でも一際輝く「宝石」。自然にできたもので、同じものはない天然のものですが、人の手が加わることによってその美しさはより引き出されます。鉱物の中でも希少で美しく、硬さのあるものを宝石としていますが、実際には産出した時から美しい!というものは稀なんです。

宝石はどんな形?

 キラキラと光を受けて輝く宝石。私たちが普段目にするもののほとんどは、カットを施された状態の宝石です。面が着けられたり、丸く磨かれたり、ビーズ状にしたりとカットは様々ですが、重要なのは発見された時からその形ではないということ。宝石の定義の中に、「天然鉱物としての無機物結晶を指す」ということがありますが、パールやさんごなどの有機物、オパールなどの非晶質、無機物の固溶体のガーネットなどもあり、つまり結晶のように産出する宝石もあれば、岩のような形のものもあるということです。結晶の形で産出するものは、そのままでも十分美しいものもありますが、色味に褐色が混じっていたり、傷があったりすることが多いため、綺麗な部分のみを取り除いてカットするのです。カットの方向も宝石の性質によってどの方向からカットするのが美しいかということもあるので、ただジュエリーやアクセサリーに留めやすいということだけでなく、原石の状態ではわからない美しさを引き出すのがカットの役目でもあるのです。

カットを施すこと

 カットを施すことで美しさが引き出される代表的な宝石はダイヤモンド。現在では輝きが強い宝石として、ブライダルジュエリーとしても人気の高いダイヤモンドですが、その美しさが発見されたのは15世紀に入ってからのこと。それでも割と昔なのでは?と思われるかもしれませんが、ダイヤモンドの発見自体は紀元前のインドまで遡ります。その時点でも希少なものとして重宝されていたダイヤモンドですが、当時は輝きではなく、その硬さに価値が置かれていたんです。八面体の結晶で産出するダイヤモンドは、その状態では引き出せない屈折率が高いという性質を、同じダイヤモンドを使用して磨くことで、光をうまく取り込むことのできるカッティングを施し生かすことができたのです。

カボション・カット

 それまでカットといえば「カボション・カット」といって、つるんとした半球体にカットすることを指していました。今でこそダイヤモンドは宝石の王様ですが、その美しさが引き出されない当時においては、宝石としての価値は低いものだったのです。宝石といえば、比類なき色味を楽しむためのものであったので、その点でカボション・カットは色味を楽しむための最高のカットでした。また、ブリリアントカットと比べて原石のロスが少ないカットであるため、ゴージャスな大きな宝石を生み出すことができたというのもカボション・カットが好まれた大きな理由の一つです。現在でもカボションカットは、キャッツアイ効果やスター効果などの光を受けることで現れる特殊な効果を楽しむためや、オパールに見られる遊色効果を楽しむために好んで施されます。

カットの種類

 宝石のカットの種類に、ファセット・カットやカボション・カットが代表的な例としてあげられると述べましたが、ファセット・カットにはたくさんの種類があり、宝石の形状によっても細かい分類があります。

ブリリアント・カット

 1919年に宝石職人トルコフスキーが発明したカットがブリリアント・カットであり、主にダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すために施されます。ダイヤモンド以外にも、透明度が高い宝石や屈折率の高い宝石に施されることも。
 形状としては、スタンダードなラウンド・ブリリアント・カットやハートシェイプ、オーバルやペアシェイプ、そしてマーキースが挙げられます。基本のブリリアントカットは、ファセットの数が58面体ですが、形状によっては82面体や144面体でも構成されます。

ステップ・カット

 ファセット面が側面のガードルに対し、平行に削られているのがステップ・カットであり、宝石の外周が曲線ではなく、正方形や長方形の宝石のカットを指します。角があったりなかったりしますが、破損を防ぐために角を取られた「エメラルド・カット」は、エメラルド以外の宝石にも施されることもあり、角があるカットには「バゲット・カット」「スクエア・カット」があります。アンティークによく見られるデザインですが、現代でも一定の支持があるカットといえます。

ミックス・カット

 ブリリアント・カットの輝きと、ステップ・カットのデザイン性。両方を兼ね備えたのがミックス・カットと呼ばれる変種のカット。通常は宝石の上半分、クラウン部分にブリリアントカットを施し、下半分、パビリオン部分にはステップカットが施されています。バリオン・カットやレイディエント・カット、プリンセス・カットがあります。

 他にもブリリアント・カット以前ダイヤモンドに使用されていたローズ・カットや、ドロップ型の宝石の全面にカットを施したブリオレット・カット、丸くビーズのように研磨して穴を貫通させたカットもありますが、どのカットもその宝石の魅力が一番に映えるようカットされています。もちろん他のカットを施すことで新しい魅力が引き出されることもありますが、そのカットにしかない魅力も楽しめるとジュエリー・アクセサリーを身につける楽しさがより一層増すことと思います。宝石の種類だけでなく、好みのカットを探してみるのも選び方の一つとして楽しめることでしょう。