多くの種が存在していることで知られるガーネット属。皆さんはその中でも、今は既に存在しなくなったペルピニャンガーネットをご存知でしょうか?古い時代のジュエリーがお好きな方にはピンとくるかもしれませんね!

今回はそんな枯渇してしまった大変希少な柘榴石、ペルピニャンガーネットについてお話していきたいと思います。

ペルピニャンガーネットとは?知っている人は知っている柘榴色

皆さんはガーネットと聞くとどんな色をイメージしますか?

基本的に色相環の色全てを包括するようなカラーヴァリエーションを誇るのがガーネットではありますが、やっぱりグレープジュースのような深い赤紫色を思い浮かべることでしょう。

今回はガーネットの中でもあまり知られていない、ペルピニャンガーネットについて解説していきたいと思います。果たしてどんな特徴があり、そしてどんな色合いを呈する宝石なのでしょうか?

ペルピニャンガーネット=アルマンダイトガーネット!?

ガーネットに精通している方でもペルピニャンガーネットを知らないという方もいる位。しかし古い時代のジュエリーを愛でている方にとって、ペルピニャンガーネットはもはや基本中の基本という方も少なくありません。

聞き覚えがあるようなないようなそんなペルピニャンガーネットの正体は、アルミニウムを主体とするバイラルスパイトガーネットの核をなすアルマンダイトガーネットのことを指します。

ピンクがかった赤紫色が特徴なアルマンダイトガーネットは基本的に希少石の類ではありませんが、ペルピニャンガーネットに関しては大変珍しいレアガーネットとして認識されているのです。

同じガーネット種であるのになぜペルピニャンガーネットは希少なのか、その答えは産出場所に隠されているのです。

ペルピニャンガーネットの特徴とそのカラーについて

アルマンダイトガーネットは鉄、マンガンやマグネシウムをどれくらい多く含有しているかによってその色合いが決まります。基本的に鉄分が多いほど、その色合いはよる暗い暗褐色になる傾向があります。

ペルピニャンガーネットに関しても同様ですが、なぜアルマンダイトではなくペルピニャンなのかという疑問の答えは、フランスのペルピニャン地方でしか産出されないからです。

ペルピニャンガーネットがフランスのカタルーニャ地方で見つかったのは18世紀まで遡ります。約1750年頃からEstagel、Col de la batailleなどでアルマンダイトガーネットが産出されるようになり、フランスはカタルーニャ地方に根付く民族的な宝飾品として加工されていきました。

勿論ペルピニャンで取れるアルマンダイトガーネット(ペルピニャンガーネット)に関しても薄紫~ピンクですが、基本的により明るい色合いを見せるのが特徴です。金属イオンの含有量によって様々な色合いを見せますが、基本的に1920年代には枯渇してしまい現在では手に入らない幻のガーネットと言われています。

現代のアルマンダイトガーネットは鉱物学的には同じ分類がなされますが、ペルピニャンで取れるペルピニャンガーネットに関しては18世紀から20世紀初頭までに作られたアンティークジュエリーにしか見られません。

それがゆえアンティークに精通している方にとってペルピニャンガーネットは認知度が高く、モダンジュエリー派の方にはその名が知られていない原因になっているのです。
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ペルピニャンガーネットとカタルーニャジュエリーの行方

ジュエリーはその地域性を如実に語る証人になることは明白です。それぞれの大地、民族性に裏打ちされた技術や伝統は、そこに生きる者たちの歴史と共に育まれていきました。

ここではペルピニャンガーネットと南フランスのカタルーニャジュエリーとの関連から、ガーネットの魅力に触れていきたいと思います。

カタルーニャの民族意識が生んだ現代のペルピニャンガーネットとは?

カタルーニャジュエリーとはフランス南部またはスペインのカタルーニャ地方で作られたローカルジュエリーの総称です。

この地域は基本的にずっとフランス領であったという訳ではなく、バルセロナ伯領やマヨルカ国に編入されたりと様々な国の支配を受けながら、潤沢な鉱物資源がゆえに伝統的に宝飾業が発展していきます。

その代表例がペルピニャンガーネットを使ったジュエリーです。着飾るという目的よりは、民族意識を高めるそんな目的で母から子、そして孫へと伝わるような、そんな役割を果たして来たのです。

基本的に小粒の物は爪留め、大きなカラットのガーネットは、ペルピニャンカットまたはローズカットに研磨され、より輝きが増すようにストーンセッティングの際に赤く染色した銀の箔を敷いてクローズドセッティングされました。

現代ではその産出がなくなったペルピニャンガーネットですが、1980年以降フランス領カタルーニャの伝統復興を目的とした“The Garnet of Perpignan”が組織可。カタルーニャの長い歴史と民族意識をガーネットに託し、輸入石やカタルーニャ地方で作られた合成石を使いながらも古くから伝わる技法でモダンカタランジュエリーを育んでいるのです。

ダイヤモンドや高価な貴石ばかりに目が移ろいがちですが、現代もフランスのカタルーニャ地方には、自身のアイデンティティーを自覚するように多くの女性が深紅に輝くジュエリーを普段の洋装に取り入れています。

これらの地域性が強い独特のジュエリーは、同じ民族性を汲むスペインのカタルーニャ地方にも見られ、それらには南仏の影響があるものが少なくありません。
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まとめ

深いワインレッドカラーでありながら、よりクリアで明るい色がペルピニャンガーネットの特徴です。鉱物学的には何の変哲もないアルマンダイトガーネットですが、採掘される地名がそのまま商業ネームとして根付いた良い例と言えます。

現在では採掘されていませんし、流通しているものは古い時代のアンティークジュエリーまたはそこから石のみを再利用したものだけなので、大変な希少性があるガーネットです。

鉱物種的には変哲のないアルマンダイトガーネットではありますが、一度それがセットされたアンティークリングやクロス、ピアスなどをその目で見てみましょう。深い柘榴色に映るは悠久の時の流れ、そしてカタルーニャを渦巻く強いアイデンティティーを感じていただけるはずです。