似て非なる宝石があります。例えば同じコランダムでもルビーとサファイアが違うように、結晶系が同じであっても付加する元素が異なることで別の宝石として数えられたり、見た目のルックスはほぼほぼ同じなのに全く異なる宝石である場合など。

今回ご紹介するダンビュライト、こちらは鉱物を勉強している方、宝石・ルースの蒐集家ではないとなかなか目につかない、ある宝石の類似石です。なかなか目にすることのない希少石ですが、興味深い宝石なのでぜひ最後までお読みください!

マニア向けの宝石!?ダンビュライトの特徴を見てみよう

ダンビュライトという名前を聞いたことがある方は、やっぱり多くはないはず。ここではその原石の特徴をまずはじっくり解説していきたいと思うので参考にしてくださいね。

ダンビュライトの鉱物学的特徴について

ダンビュライトはしばしダンブリ石とも呼ばれ、品質の高い原石はカット次第で非常に透明感のあるルックスを呈するようになります。

不可思議な名前ダンビュライトは、19世紀のアメリカはコネチカット州ダンブリーで発見されたことに起因する、宝石あるあるパターンですね!

ダンビュライトは柱状に結晶する為、その見かけがクォーツに似ていますが、それ以上に混同しやすいのが同じ結晶系を有するトパーズです。ダンビュライトのモース硬度は7、劈開性がないことから、強い一定方向への割れやすさを誇るトパーズよりも研磨しやすく耐久性があるのが特徴と言えます。

トパーズとの違いは、比重や屈折率の違いによっても判断できます。

なお産出地としては日本やアメリカ、ミャンマーやマダガスカル、メキシコなど様々な国で採掘され、その国々によってダンビュライトの色も異なり、ピンク、橙色に褐色、無色など様々です。

複屈折性がある鉱物の為、見る角度によっては他の色に見える多色性がありますが、タンザナイトのような強い多色性は見せません。

ダイヤモンドの類似石として利用!

ダイヤモンドはその合成石以外にも、それは多くの類似石、人造石が存在しています。皆さんご存知の通りキュービックジルコニア、合成モアッサナイトにYAG、GGG、ジルコンやホワイトトパーズ、合成スピネルなどがいい例でしょうか。

しかしこのダンビュライトに関しても、伝統的にダイヤモンドの類似石として利用されてきた歴史があります。ダイヤモンド並みの分散度、屈折率を要する訳では勿論ありません。

しかし先ほど説明したように、品質の高いダンビュライトに関しては複雑なファセットカットを施すことで、ロッククリスタル以上の輝きと透明度を呈するようになるのです。ただしダンビュライト全般が宝石質の透明な輝きを持つわけではなく、インクルージョンが豊富に混入した半透明なタイプの石も少なくありません。

基本的に現在流通しているダイヤモンド類似石の中でダンビュライトを頻繁に目撃することは少ないですが、古き良き日本の宝飾品にはしばしジャパニーズダイヤモンドなる商用ネームとしてジュエリーへ加工された石も多かったそう。
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ダンビュライトの気になる価値は?ルースからパワーストーンまで

ここではダンビュライトという宝石の価格について検証してみたいと思います。目にすることの少ないレア宝石だからこそ、その値段が気になってしまうものなんです。

ダンブリ石、その価値はやっぱりダイヤモンド以下の宝石!

ルースや原石等の価格を参照する際には、いつも具体的な数値を出すことはできないでいます。それはその原石やルースによってインクルージョンやカット、カラットなどの要素が異なるからです。

しかし一般的にいってダンビュライトは宝石質の石こそ少ないものの、その市場価値は目が飛びあがる程の高値では取引されていません。約数円のルースから大きな結晶したダンビュライトならば10万円程度と言ったところでしょうか。

ダイヤモンドの類似石と言えど、やはりその輝きにファイヤーは本家本元のダイヤモンドとは異なる為、高品質の無色透明なルースでも資産的価値は期待できません。

ただし中には非常に魅惑的なコニャックカラーまたはオレンジカラー、インクルージョンによって芸術的な様相を見せる石は、フォトジェニックなファセットカットを施し、ある種のアートルースとして非常に高値で取引される例外もあるようです。

ダンビュライトのジュエリーとは?パワーストーンとしても人気!

ダイヤモンド類似石としてのジュエリーラインは流石に小さいですが、それでも透明度の高い石はファセットカットのルースとして流通しリングにネックレス、ピアスなどに加工されます。

さすがにモアッサナイト、キュービックジルコニアのようなダイヤモンドに見間違うレベルの煌きはありませんが、かなり経済的にクリアな輝きを楽しめるはず。

また透明度がなく濁ったような原石は通常球状にカットされパワーストーンとして、数珠に加工される場合が少なくありません。ダンビュライトは心を鎮め、精神的な安堵を呼ぶパワーストーンとしても知られている為、大都会の流れについていけないそんな疲れ気味の方はぜひ手首にダンブリ石のお数珠様を付けてみてはいかがでしょうか?
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まとめ

ダンビュライト、その名前だけを聞いたら、競走馬のイメージがちらついてしまう方もいると思います。

ダンビュライトは高額な価値はなくとも、我々日本人にとっては馴染みの深いダイヤ様の宝石として知られてきた歴史を持つ興味深い石だったんですね。

ダンブリ石がセットされたジュエリーを購入したい!という方こそ多くはないと思いますが、その輝きに透明感が気になる方はぜひ一度ダンブリデビューをしてみてはいかがでしょうか?

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