ランダムな輝きを見せる超微細な粒子

オパールには他の宝石で見られない特長があります。それは宝石業界用語で「遊色」と呼ばれている現象が見られることです。遊色とはオパールに見られる虹色効果のことです。ひとつのオパールの中に赤色、橙色、黄色、緑色、青色、藍色、紫色などの色が数種類見られます。
オパールはなぜ遊色を示すのでしょうか? 長い間、宝石学者を悩まして来た課題でした。しかし、電子顕微鏡が開発され、オーストラリアやドイツの研究者達が遊色現象の解明に成功しました。
驚くべき事実が判明したのです。オパールの中は超微細な球が整然と3次元に並んでいる構造をしていたのです。その超微細球は、肉眼、ルーペ、光学顕微鏡では見ることができません。その球のサイズ(寸法)は光の波長に近いほどの微小なものでした。
また組成分析の結果、その超微細球はシリカであることが判りました。シリカとは二酸化ケイ素(SiO2)のことです。私達が身近に接する透明な水晶、紫色のアメシスト、黄色のシトリンなどもシリカでできています。
オパールも水晶の仲間です。しかし、前者は非結晶です。後者は結晶です。超微細球の中の原子(ケイ素や酸素)は規則的に配列していないのです。一方、水晶では原子(ケイ素や酸素)が規則正しく配列しています。

限定的な環境でしか存在しない美しいオパール

オパールの本質は次の2項目にあります。
  (1)超微細球が3次元に整列していること。その球は非結晶のシリカであること。
  (2)超微細球のサイズ(寸法)は光の波長に近いこと。
上の2項目を備えていると、光は虹色効果を示すことが物理学の世界で知られています。
自然界の中で上の2項目をつくり出すことは極めて希であると推測されます。シリカ成分を溶かし込んだ熱水が岩盤の割れ目に浸入し、徐々に温度が低くなって、シリカが超微細球に成長した、と推測されます。
超微細球に成長する期間、静寂な環境が必要だったと思われます。この期間は数千年あるいは数万年かもしれません。静寂な環境下で超微細球が整然と並んだものと推測されます。時にわずかな変動を受けたと思われます。
広い地球の中でも、超微細球が整然と並ぶ環境はごく限られています。事実、美しいオパールを産出する地域は限られています。オーストラリア、メキシコ、エチオピアなどです。

もう一つの特徴「斑(ふ)」

オパールの表面を詳しく観察すると、ひとつの石の中で色が異なる領域があります。ほとんどオパールは二色や三色を示す領域を持っています。ひとつの石の中で赤色や黄色、緑色を示す領域に分かれています。この領域は斑(ふ)と呼ばれています。
ひとつのオパールの中にいくつもの斑が存在します。斑はなぜ生じるのでしょうか? 超微細球のサイズ(寸法)が異なるから、と考えられています。比較的大きなサイズ
の超微細球は赤色や橙色を生じさせ、比較的小さなサイズの超微細球は藍色や青色を生じさせると考えられています。

オパールの三層特性図

オパールは遊色が最大の魅力です。オパールはこの他にいくつかの性質を持っています。
オパールの本質に起因する半透明性や乾燥劣化性、着色性などです。これらの性質について、三層特性図を参考にしながら話を進めます。

三層特性図は右図の通りです。三層特性図は本質特性、固有特性、表面特性で構成されています。
本質特性について、オパールの組成はシリカと水分(H2O)です。含まれる水分の量は幅がありますので、nH2Oと表示されています。そして超微細球構造です。

固有特性について、オパールは超微細球の集積ですから、間隙(すき間)が発生します。この間隙部に水分が存在していると思われます。そして、超微細球の整列は光の回折と干渉を起こさせます。回折とは不透明体または半不透明体に光が当たると回り込む現象、干渉は光の波が強め合ったり、弱め合ったりする現象のこと。この二つの現象で虹色効果、遊色が起こります。
この他に非結晶という表示があります。宝石の中で非結晶は珍しい存在です。宝石のほとんどは結晶です。

表面特性について、虹色効果(遊色)を私達は直接見ることができます。この効果は本質特性の超微細球構造に原因しています。オパールは半透明です。これも超微細球での光の散乱の影響と推測されます。
表面特性の中に単屈折という項目があります。屈折率がひとつという意味です。多くの宝石は複屈折です。単屈折の宝石は、オパールの他にダイヤモンド、ガーネットと限られています。
表面特性の中に乾燥劣化という項目があります。オパールは一定量の水分を含んでいます。加熱されたり、長期にわたる乾燥状態が続くと水分が失われて、ヒビ割れ(小さな割れ)が生じることがあります。
さらに表面特性の中に着色性という項目があります。オパールは球状構造で隙間や空隙を持っていることが知られています。ですから、自然には存在しないような色に着色することも可能です。
特にエチオピア産のオパールは着色が容易な傾向にあります。本体が鮮やかな紫色に染色されたオパールも市場に現れています。合成オパールも染色が可能ですから、鮮やかなピンク色や赤色の合成オパールが造られ、宝飾品分野を含めて他の分野でも拡張しています。

オパールの本質は超微細球の構造にあります。その球は非結晶のシリカです。そして、その球は三次元に整列しています。超微細球の整列がオパールに特有な虹色効果(遊色)を生み出しています。