美しいブルーは銅元素由来

美しい魅力的なターコイズ(トルコ石)の色は晴れた日の青空に似ています。ターコイズは、なぜこのような美しい青色を発するのでしょうか? それはターコイズに含まれている銅元素に原因しています。銅元素によって発色している宝石は非常に限られています。
銅元素で発色している宝石としてターコイズの他にパライバ・トルマリンが挙げられます。パライバ・トルマリンとは、ブラジルのパライバ州で採れるトルマリンのことです。
このトルマリンは銅元素を含み、鮮やかな美しい青色を示します。この色は街中で見られるネオン・ブルーにたとえられています。魅力的な鮮青色です。
銅元素によって発色している石としてアクセサリーなどに使われているマラカイトが挙げられます。日本名は孔雀石と呼ばれています。この石の場合は青色ではなく、縞模様を描く濃淡の緑色に発色します。
ターコイズが銅元素を含んでいることは、ターコイズが採れる周辺に銅が集積している場所があると予想されます。確かにターコイズが採掘される周辺には銅鉱山が存在しています。産業の視点から、銅金属は重要な素材です。銅鉱山の開発には大々的に資材や人材が投じられます。特にアメリカにおけるターコイズの採掘は、銅鉱山の開発に伴って行われることが多いのです。

三層特性図からみるターコイズの特徴

ターコイズの中に含まれる銅元素は、不純物として含まれている訳ではなく、本体を構成している点が他の多くの宝石と異なります。例えば、ルビーの赤色は不純物としてクロム元素が混入していることに原因しています。ブルー・サファイアの青色は不純物として鉄元素とチタン元素が混入していることに原因しています。
ところが、ターコイズの中の銅元素は不純物でなく、本体を構成しているのです。このことはターコイズの成分をながめると判明します。

ここからターコイズの三層特性図を参照しながら話を進めます。右図は三層特性図です。
本質特性と固有特性、表面特性で構成されています。本質特性の中の成分を見ると、Cu(銅)とAl(アルミニウム)、P(リン)、H(水素)、O(酸素)などの元素が並んでいます。
銅(Cu)がターコイズの本体を形作っていることが判ります。不純物として混入している訳でなく、本体を構成する一員になっています。

成分に関して、ターコイズは銅元素を含むことが特徴のひとつです。さらにP(リン)も含まれています。リンを含む宝石は限られています。アパタイト(燐灰石)など数は少ないです。ターコイズを産出する周辺にはアパタイトが集積していたと推測されます。
固有特性の中に「潜晶質集合体」という項目があります。ターコイズの大きな特徴のひとつに「潜晶質」が挙げられます。潜晶質とは結晶のひとつひとつの粒が非常に小さく光学顕微鏡でも見分けられないほどのサイズ(寸法)です。ターコイズはこれらの微細な粒が集合している状態です。
ターコイズは微細な粒の集合体ですから、微細な粒で光が散乱され、光が透過しにくい状態になっています。さらに銅元素を含み、結果としてターコイズは不透明宝石になっています。
固有特性の中に「多孔質」という項目があります。ターコイズは微細な粒の集合体ですから、粒と粒との間に隙間があったり、粒が充填されない空隙があると予想されます。
このような状態は多孔質と呼ばれています。強い多孔質になると、強度が低下して日常で使用できません。あるいは水分を吸収して変質します。
イラン産やシナイ半島産のターコイズは比較的弱い多孔質と言われています。アメリカ産は比較的強い多孔質であると言われています。
強い多孔質を持つターコイズは、商品として出荷できませんので、プラスチックや液状ガラスを使用して隙間を充填する必要があります。弱い多孔質のターコイズでも表面のツヤ出しのためにワックスを塗布することが行われています。

宝石の中では珍しい「自色宝石」

固有特性の中に「自色」という項目があります。ターコイズは自色宝石に属し、自分自身で青色に着色しています。宝石の中で自色宝石は珍しい存在です。自色宝石に対応する用語として「他色宝石」があります。
宝石のほとんどは他色宝石です。他色宝石とは、本体に不純物が入り込んで着色した宝石のことです。例えば、無色透明なベリルという鉱物の中に微量のクロム元素が入り込むと、緑色のエメラルドになります。
このエメラルドは本体の成分にクロム元素を持っている訳ではありません。クロム元素は不純物として他から入り込んだものです。
一方、自色宝石であるターコイズは着色元素である銅元素が本体を構成しています。銅元素は不純物として存在している訳ではありません。銅元素は本体を構成している一員です。自色宝石は他から混入して来る不純物の影響を受けることは少ないです。鉄元素の影響は少し受けます。ターコイズが鉄元素を含むと、青色が緑色味を帯びてきます。
表面特性の中に「マトリックス同伴」という項目があります。マトリックスとは母岩のことです。ターコイズの成因は、雨水がいろいろな元素、銅元素やアルミニウム元素、リン元素などを取り込み、その雨水が地層の割れ目に浸入して濃縮し、中の成分が結晶化したと考えられています。ターコイズは割れ目の周囲の母岩を巻き込んで結晶化することが多いと推測されます。
母岩を含むターコイズはマトリックス・ターコイズと呼ばれています。このマトリックスの外観がクモ(蜘蛛)の巣のように見えることがあります。このようなターコイズは
スパイダー・ウェブ・ターコイズと呼ばれ、アメリカでは人気があります。日本では網入りトルコ石あるいはネット入りトルコ石と呼ばれています。