サファイア、昨今はダイヤモンドに並んで結婚指輪にセッティングする方も多い、日本人にとっては非常に馴染みの深い宝石です。しかしサファイアはその知名度と同じくらい誤解が多い宝石としても知られています。

今回はそんなサファイアに改めてスポットライトを当てて、サファイアの魅力について解説していきたいと思います。

サファイア=ブルーという方程式は通用しない!まずはコランダムから始めよう

サファイアを一つの独立した宝石と考えている方もいると思います。透き通るような深海ブルーに代表されるサファイア、実はルビーと同じ鉱物種なんです。

ここではまず、コランダムという鉱物を知ることから正しいサファイアを知っていきましょう。

コランダムとは?赤いルビーと青いサファイアの違い

コランダムとは和名で鋼玉(こうぎょく)という鉱物のことで、主成分は酸化アルミニウムで構成されています。基本的にコランダムはその純度によって、宝石品質のもの、エメリーという粒上の黒い不純なコランダム、そしてその中間のコランダムに分かれます。

私達が目にする宝石品質のコランダムは半透明から透明で尚且つ、様々な色合いを呈するコランダムのみが市場に出て宝飾品として加工されています。

この中で赤色のコランダムを私たちはルビーと呼び、一般的に青いコランダムをブルーサファイアと呼び区別をしているのです。青い色のコランダムは当たり前のようにサファイアと呼んでいますが、正式にはブルーサファイアのことを言います。

ルビーとサファイア、陰と陽を表わすかのような赤と青、同じコランダムという鉱物種であって、なぜ呈する色合いが全く異なるのか?という質問の回答は、含有する元素が異なるから。

つまりクロムが存在すると、そのコランダムは赤くなり、そこに鉄分が付加するとより深みのあるトーンの赤味を呈するようになります。

反対にサファイアの青味を呼び起こす元素は鉄とチタンです。これらのイオンが共存するとハッと目に飛び込むような青色を見せるようになります。またサファイアは三価の鉄イオンが含まれないタイプ1、含まれるタイプ2に別れ、前者はミャンマー、スリランカ、インド産、後者はオーストラリアやタイなどの玄武岩由来のサファイアに別れます。

このようにサファイアとルビーの違いをはっきりと分かつ要素は、含有する元素であることが分かって頂けたと思います。宝石を正しく理解するには、どんな鉱物種であってもどんな不純物を含んでいるのかによって、見せる色合いは異なることをしっかり覚えておく必要があります。
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ファンシーカラーサファイアとは?ピンクサファイアとルビーの違いも理解しよう

今回は大きなテーマとしてサファイアを取り上げていますが、サファイアはガーネットと同様に一言で形容することが難しいくらい、それは多くのカラーサファイアが存在しています。

赤=ルビー、青=ブルーサファイアという定義は前述で解説していきましたが、ここではその他の魅惑的なサファイアについて説明していきたいと思うので、こちらも最後まで読んでみてくださいね!

グリーンにピンク!ファンシーカラーサファイアの魅力とカラーバリエーション

ダイヤモンドがイエロー、ブルーにレッドなどビビッドなファンシーカラーを持つようにサファイアに関しても、青と赤以外のサファイアをファンシーカラーサファイアと呼び区別をしています。

例えば三価の鉄が含有する場合は緑または黄色。パープルまたはヴァイオレットは二価の鉄、チタン、クロムが発色原因になり、若干量のクロムが含有する場合はローズ系統の色を見せ、オレンジ色は三価の鉄とクロムが原因です。

なおピンクサファイアとルビーはしばしその境界が難しく、ピンクサファイアだと思ったらルビーだった、またはその逆のパターンもしばし耳にします。ルビーだと思った宝石がピンクサファイアの場合は、しばしルビー落ちという業界用語が利用されることも覚えておきましょう。

なおサファイアの中でも特にレアで市場価値が高いものとして、パパラチアサファイアが挙げられます。皆さんも一度は聞いたことがあると思いますが、まるで蓮の花を思わせる上品でピンクオレンジ色のサファイアです。ピンクが強過ぎたらピンクサファイアですし、オレンジの存在感があり過ぎてもダメ、なかなかそのカラー決定が難しいのがパパラチアサファイアなんです。

パパラチアサファイアはクロムと結晶上の欠陥によって(カラーセンターと呼びます。)その独特の淡いピンク色を生み出します。なおパパラチアサファイアのカラーセンターは不安定であり、非加熱の場合は色が退色してしまうものも少なくありませんが、太陽光に充てると再び色合いが蘇る不思議な性質もあることを覚えておきましょう。

なおパパラチアサファイアが婚約指輪等で人気を博すようになり、昨今はベリリウム元素を拡散処理したものも多く現れ、加熱ルースよりもその価値に大きく損ないます。

アステリズム効果が美しい!スターサファイアと加熱処理

品質のあまりよくないサファイアであり、なおかつ繊維状のルチル、ヘマタイトインクルージョンを多量に含む石は、しばしカボション状にカットされます。これらのインクルージョンは上手く研磨を施すことで3方向、通常は6つの線状に広がるスター効果を引き出します。

これらはスターサファイアと呼び、赤>青>黄色、紫等の順で高い価値を呈するようになります。

スターサファイアは一種幻想的なその佇まいが人気ではありますが、質の良くないスターサファイアに加熱処理を施すことで内容物が溶解し、より美しい色合いの加熱ブルーサファイアに変貌します。

またスターサファイア以外にもカラーチェンジサファイアという、アレキサンドライトにも似た光源によって色を変えるサファイアも少ないながらも確認されています。この変色効果の原因は鉄、チタン以外にバナジウムが点在することで、光源によって異なる色合いを呈するようになるのです。
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まとめ

このように一言でサファイアと言っても、様々な種類のカラーサファイアが存在し、そこにはそれぞれ異なる発色要因があることが分かりました。

サファイアは知れば知るほど興味深い味わいがジワリジワリと滲む宝石の一つです。まずは青=サファイアという認識を変え、多くの表情を覗かせるサファイアの魅力にあらためて触れてみてはいかがでしょうか?
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