深紅の色が美しいガーネットは古来から宝飾品加工の代名詞として老若男女に愛されてきました。ガーネット族は非常にややこしいグループで多くの種類があることでも知られています。

今回はそんなガーネットの中でも非常にレアな青いガーネットにスポットライトを当ててみましょう!果たしてどんな化学反応が起こり、柘榴色のガーネットがブルーになってしまうのでしょうか?

青いガーネットってどんな宝石?その特徴、産地に価値までを徹底検証

幸せを運ぶ青い鳥、そんな童謡を呼んだことがあります。爽やかな夏の香りを運んでくれるのが青系の宝石ですが、今回ご紹介するブルーガーネットはどこか落ち着いた青紫を見せてくれます。

ここでは実際にハッピーを運んでくれるかは未知数ですが、なんだかワクワクしてしまうそんなブルーガーネットの正体について考察していきたいと思います。

本来、青いガーネットは存在しなかった?!

ガーネットはアルミニウム系、カルシウム系という大きな2系統に分かれ、前者をパイラルスパイト、後者をウグランダイトと呼んでいます。

パイラルスパイトは更にパイロープ、アルマンダイト(アルマンディン、アルマンダイン)、スペサルタイトに分かれ、ウグランダイトはグロシュラライト、アンドラダイト、ウバロバイトに枝分かれし、それらが2種類以上混ざりあうことで固溶体を作ることでも知られています。

鉱物の中でも一際ややこしい宝石ですが、その含有する元素によって様々な色合いを呈し、予定調和な燃えるような赤色から、オレンジ、パープルのグリーンまで様々なガーネットが世界のあちらこちらで産出されているのです。

しかし基本的に青いガーネットというものは存在しないものとして扱われてきました。それではなぜ、いまブルーのガーネットが話題になっているのか?

シャーロックホームズの探偵小説に青い柘榴石が届けられるミステリーサスペンスがありますが、まさに事実は小説より奇なり!事項ではシャーロックも真っ青な、青いカーバンクルの正体について解説していきたいと思います。

ブルーガーネットの正体はカラーチェンジガーネットだった

あまりミラクルという言葉は使いたくありませんが、ガーネットでありながら青色を呈する、それはまさに奇跡と言っても過言ではないかもしれません。

存在しないと考えられてきた青いガーネット、その正体はパイロープ、スペサルタイトガーネットの固溶体です。2種類のガーネットの特徴を併せ持つガーネットですが、そこにアルマンダイトガーネットが混ざり込む場合もあります。

つまりパイロープとスペサルタイトガーネットの固溶体はType1とType2に分かれ、前者がアルマンダイト(アルマンディン、アルマンダイン)を含まないもの、後者はアルマンダイトを含むガーネットということです。基本的にこれらはマラヤガーネットと呼び、黄色、オレンジ、シナモン色にペールピンクなどの色合いを見せますが、青い色を呈するガーネットはType1のものでケニアやタンザニア等で産出されます。

ベキリーブルーガーネットというコマーシャルネームのブルーガーネットも多くみかけますが、こちらはマダガスカルのベキリー地区産のガーネットのことです。

なぜ青くなるかについてはバナジウムが含まれていることに起因し、いわゆる変色効果が見られ、青緑⇔赤紫というアレキサンドライト同様のカラーチェンジを見せることでも知られています。ただしバナジウムを多く含有していても、変色効果がないガーネットも少なくありません。

人造宝石として青いガーネットもあるって本当?

パッと見ればダークな色合いのサファイア、アレキサンドライトに見える青い柘榴石。なかなかレアな宝石であることは言うまでもなく、産出量も限られることから非常に高価な値段で取引されます。

基本的に決して珍しくはないガーネット族は人為処理、人工的に作ることは少ないと言われています。しかし青いガーネットに関しては、少ないながらもイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、ガトリウムガリウムガーネット(GGG)が製造されてきました。(合成ガーネットではなく、鉱物学的構成は全く異なる人造石です。)

特にブルーイットリウムアルミニウムガーネットはまるでロンドンブルートパーズ、アウイナイトのような鮮やかな青色を呈する為、鉱物マニアの琴線をくすぐるアイテムになっています。

ただし雅で自己主張の少なめな本家のブルーガーネットとは全く異なる色合いなので、
見た目だけでも十分それらの違いは判断可能です、
Pt900 マンダリンガーネット 一粒ピアス

指輪にピアス、ブルーガーネットジュエリーがジワジワ人気を集めているって本当?

ここでは青いガーネットを実生活で身に着けるをテーマに、よりそのレアなブルーガーネットの魅力をご紹介していきたいと思います。

ルース以外のブルーガーネットジュエリーも登場!

小粒のルースでも鈍いブルーの輝きを覗かせる青いガーネットはやはり人気のアイテムです。特に変色効果の強い物はアレキサンドライトの代用としても使われており、ルースだけでなくリングにピアスなど多くのジュエリーへと加工されているのです。

ただし何度も言うように、その産出量は私たちが想像する柘榴色の定番ガーネットとは比較にならない量しか産出されない為、使われるルースは0.1カラット程度のミニマムなものばかり。

それでもチラリチラリと覗く変色効果はやはり大きな存在感を見せつけてくれるので、
なかなかユニークな指先のお洒落を演出してくれることは言うまでもありません。

気になるブルーガーネットのお手入れ方法と注意点について

基本的に他のガーネットと同様にモース硬度も比較的高く、7~7.5程度。その為、いわゆる付けっぱなしをしても比較的安心な宝石です。

お手入れに関しても中性洗剤を溶かしたぬるま湯に浸けて、柔らかい歯ブラシでお掃除、または超音波洗浄機を使ってお手入れすることもできます。

ガーネット族の中で、デマントイドガーネットのみがモース硬度が低くなっていますが、
青いガーネットに関しては心配ご無用です。ただしそれよりも硬度の低い宝石がセットされた指輪等を重ね付けする際は、宝石がぶつかり合うことで硬度の弱い宝石を傷付けてしまうことは考えられるので注意してくださいね。
K18YG マンダリンガーネット ピアス

まとめ

今回はまさかの青いガーネットについてご紹介していきました。ブルーガーネットと形容される、カラーチェンジガーネットはいわゆるパイロープガーネットとスペサルタイトガーネットの固溶体ということが分かりました。

マダガスカルやタンザニア等でしか産出されない超レア宝石として認知され、ルースでも非常に高額な値段で取引されています。まるでアレキサンドライトのような変色性を楽しむことができるので、まさに一粒で二度美味しいガーネットと言えるでしょう。

少ないながらも小粒の青いガーネットをセットしたジュエリーも市場では見られるので、気になる方はお財布と相談の上購入してみるのもおすすめです。

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