貝を使った装飾品をご存じでしょうか?古くから螺鈿(らでん)として貝の内側の光沢部分を利用した装飾は人気で、調度品や装飾品に使われてきました。現代もハイジュエラーからファッションジュエリーまで、幅広く貝を使ったジュエリーが作られています。貝を使った伝統技法「螺鈿」と貝を使ったジュエリーについて紹介します。

螺鈿とはなに?

螺鈿(らでん)とは、主に漆器の装飾に使われる日本の伝統工芸技法です。材料は真珠の養殖にも使われる白蝶貝や黒蝶貝、沖縄の温かい海で獲れる夜光貝などです。古くから日本に伝わる技法で、小物入れの箱など国宝になるものも多数素材しています。

螺鈿は貝を使った技法

螺鈿の「螺」は、螺旋(らせん)状の殻を持つ貝類のことを指しています。また、「鈿」は貝や金属で施された装飾のことを意味しています。
貝殻の内側にある虹彩を放つ部分を漆器などの土台にはめ込み、絵や柄を表現します。
螺鈿は、鉱石から作るジュエリーとはまた別の、高貴な雰囲気を醸し出している素敵な装飾技法でもあります。昔から高貴な人の小物入れや装飾品として親しまれてきた螺鈿は、今では国宝になっている作品もあります。

螺鈿に使われる貝

螺鈿は、貝殻の内側にある虹彩を放つ真珠層を使うため、そこら辺の浜辺に打ちあがっているような貝では作ることができません。
材料は主に、真珠の養殖にも使われる白蝶貝や黒蝶貝、沖縄などの温かい海に生息している夜光貝などです。最近ではアワビの貝殻で螺鈿細工をすることも増えていると言います。

螺鈿の歴史は古い

螺鈿の歴史は古く、古代エジプトの初期王朝以前から作られていたといいます。日本には、奈良時代に今の中国の唐から伝わったとされています。当時は楽器の装飾として使われていたようです。
そして、平安時代になると螺鈿の技術が急速に発達します。家の中の装飾や調度品などにも螺鈿が使われるようになっていきました。
その後江戸時代にかけては、さらに技術が進み、加工する貝自体に染色するなど、装飾のバリエーションが増えていきました。
江戸時代は鎖国のため貿易が制限されていましたが、日本の螺鈿の品や漆器製品は、海外で人気だったと言います。
現代でも、細かい模様の螺鈿をアクセサリーにしたり、着物の帯留めにしたり、箱やお盆など、伝統技法を使った繊細な製品が多く作られています。

現代にも貝を使ったジュエリーはたくさんある

螺鈿だけではなく、ジュエリーの素材として貝は使われています。よく目にするのは白蝶貝を使ったジュエリーパーツです。貝は鉱石の宝石とは異なり、好きな形にしたり、柄を彫ったりなど加工がしやすく、人気のジュエリーにもよく使われています。

白蝶貝はよくジュエリーに使われる

名の知れたハイブランドのジュエリーの中にも、貝を使ったものがたくさんあります。
貝の中でも、特によく使われるのが白蝶貝です。白蝶貝の貝殻の虹彩は、まさにパールのような優しい色合いで高い人気を誇っています。
貝は石と違って、花の形や複雑な模様を彫るなどもでき、好きな形に加工することが可能です。鉱石の宝石だと、原石の大きさなどから最大限大きく、輝くようにカットされることが多いため、好きな形に加工することが難しいです。宝石とはまた別の楽しみ方ができるのも、貝を使ったジュエリーの利点でもあります。

沖縄方面では、夜光貝のアクセサリーも

温かい海でよく獲れる大型の夜光貝は、沖縄方面でアクセサリーに加工されることが多いです。夜光貝は、独特の青い虹彩を放ち、まさに海から生まれた宝石として人気があります。
夜光貝も古くから人々に愛されている貝で、螺鈿にもよく使われています。
琉球王朝時代にも、役所の建物の装飾にふんだんに夜光貝を使った螺鈿が使われています。

貝を使ったジュエリー例

貝の特徴を活かして作られるジュエリーは、たくさんあるので紹介します。

貝の繊細な輝きをネックレスのチャームに

繊細な虹彩を放つ貝を、ネックレスのチャームにすると、全面的にやさしい雰囲気を演出することができます。貝のパーツは大きめのものを作ることもできるので、存在感のあるジュエリーに加工でき、好みの大きさのチャームが作れます。普通の長さのネックレスや、ロングネックレスなど、多彩な演出ができるので人気があります。

柔らかい光をピアスで耳元に

特に白蝶貝はその優しい乳白色の色見が人気で、よくジュエリーに加工されています。小さい加工もでき、なおかつ好きな彫りもできるので、好みに合わせた貝のジュエリーを探すことができるでしょう。
K18WG 白蝶貝&淡水真珠 ピアス

まとめ

螺鈿をはじめ、貝の独特の虹彩を楽しめる技法が昔から使われてきました。螺鈿は昔から高貴な雰囲気を醸し出し、様々な調度品や装飾品に使われ、海外でも人気でした。現代でも伝統技法として受け継がれています。
螺鈿の他にも、貝を使ったジュエリーは現代ではとても多く、有名なハイジュエラーでも採用されています。特に白蝶貝は、やさしい光沢から人気が高いです。ぜひ貝を使ったジュエリーを見つけてみてくださいね!

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