マニアが欲しがる、まるで紅の豚を思わせる色の宝石があります。その名もロードナイト。

ロードクロサイトではなくロードナイトです。決して珍しいレア中のレアジェムという訳ではありませんが、ハッと驚くローズカラーにドキッ!

さあ、今回はそんなロードナイトの魅力を徹底解剖。気になるその鉱物学的特徴から相場価値、名前の由来まで解説していきたいと思います。

【ばら輝石】ロードナイトの特徴

ロードナイトという言葉にアンテナが反応した方は、きっと宝石にある程度精通したルース好きの方、もしくはパワーブレスなどのアイテムがお好きな方なのでしょう。

ここではまずそんなロードナイトという宝石について一緒にお勉強をしていきましょうか!

ロードナイトはバラ色のカラーを持つ宝石

ロードナイトはマグネシウムとカルシウムを含むケイ酸塩化合物の宝石です。ロードナイトという言葉はギリシャ語の「Rohdon」に由来し、ばらという意味を持ちます。

どちらかというと和名の方が知られており、ロードナイトはばら輝石と呼ばれていますが、基本的に輝石ではなく非常によく似た化学構造を持つ準輝石という位置づけになっている事は覚えておきたいところ。

不透明、半透明のものが大半であり、基本的に透明な宝石質の物は非常に稀であり、それらは通常ファセットカットを施し高価に取引されています。

バラ輝石という和名からもわかる通り、ローズカラーを見せることで知られますが、その外観はどちらかというとパープルピンク、ピンクといったところでしょうか。このピンク色は鉱物中に含まれるマンガンが原因です。

しかしその原石、ルースを見てみると、黒い筋が見られるものばかり。この特徴的なブラックゾーンは二酸化マンガンによる着色になります。

原石としても取引されますが、その多くはアクセサリー、ジュエリー、工芸品などに利用され工業的に利用されることはあまりありません。

なおしばしサンゴと混同されることがありますが密度の違いで判別可能です。先ほど述べたロードクロサイトとの違いはモース硬度の相違により判別ができます。

ジュエリーとして利用する場合は要注意

特徴的なピンク、ブラックがシックなロードナイトですが、その美しい外観から様々なアクセサリー、ジュエリーに加工されます。

二酸化マンガンによる黒い筋が見られるものは通常カボションまたは数珠状にカットされ、ネックレスやブレスレットとして、そして透明質のジェムクオリティーのものは数こそ少ないですがファセット状にカットされリングやペンダントトップなどに見られます。

しかしロードナイトはモース硬度が5.5から6.5程度と耐久性が高くないこと、そして2方向に劈開性を持っている為、非常に割れやすい宝石だということを認識しなければなりません。

特に宝石質の透明なタイプは高額になりがちで、ルースのままでも、ジュエリーに加工した場合でも、落としたりすると欠けてしまう場合も少なくありません。その為取扱いには慎重になる必要があり、勿論超音波洗浄機でブイーンと洗浄もNGです。

また含有するマンガンがゆえに酸化に弱く黒ずんでしまうこともあるのでその点にも注意してくださいね。

日本でも産出されるロードナイト

石英などと一緒に産出されることが多く、世界各地のマンガン鉱床で採掘されます。特に有名な産出地としてはオーストラリアのBroken Hill、ここでは非常に美しい透明なロードナイトが取れます。

この他にはアメリカ、ロシア、カナダ、南アフリカ、タンザニアなどでも見られますが、なんと日本の岩手でも産出されることが分かっています。産地によってやはりロードナイトの外観の特徴も異なりますが、前述の通りオーストラリアのものが高価で取引されています。
K18YG ラリマー ピアス

(上記はラリマーです。)

インペリアルロードナイトとは?最高級に美しいラズベリーカラー

最高のテリとツヤ、そしてプルンプルンのストロベリーゼリーを思わせる宝石。ガーネットでもルビーでもレッドスピネルでもない、そんなルースを見た時、まさかそれがロードナイトと思う方はそうそういないはず……。

ここではロードナイトの価値を爆上げすることになった、皇帝の名を持つインペリアルロードナイトについて触れていきたいと思います。

比較的安価なロードナイトの中でも怪物級に美しく高価!

インペリアルロードナイトとは非常に非常に稀で珍しい透明度とネオンレッドを反映させる透明質な外観を持つロードナイトです。

基本的にインペリアルと形容されるには高い透明度を誇ること、そして美しくビビットな赤色を呈することが前提条件と言えます。

ロードナイトには珍しく、黒い筋等のインクルージョンは殆ど確認できません。カボション状ではなく前述の通りファセット面を付けて研磨されますが、その研磨難易度が高いこともありそれも値段を吊り上げる要因になっています。

通常インペリアルロードナイトは1カラット当たり5~10万円程度の値札がつくことが多くいかにそれが高額なのかわかって頂けると思います。ちなみにビーズ状に研磨されたインペリアルロードナイトも見かけますが、若干透明度が低くなりますが、それでも1ビーズ当たり数千円というものも少なくありません。
K18YG ロードクロサイト 一粒 ピアス

(上記はロードクロサイトです。)

まとめ

今回はばら輝石と呼ばれるロードナイトについて解説してきました。やはりどうにもこうにも同じマンガン鉱床から産出されるロードクロサイトと混同してしまいがちですが、~サイトは透明で黒筋ナシ、~ナイトは黒筋ありと覚えておけばわかりやすいかもしれません。

よく見られる黒いインクルージョン入りのロードナイトは好みが分かれる宝石と言えますが、インペリアルが付く石は宝石マニアだけでなく全ての人を魅了する鮮明な赤色を見せるので、レッド系の宝石が好きな方にはオススメの宝石です。

ただしその脆弱さはコランダム、ガーネットに比べてもグンと落ちるので取り扱いには十分注意してくださいね!

本稿は無断転載禁止です。ヴィサージュジャパン 株式会社