まん丸に研磨されたその姿に遠い異国のエメラルドグリーンの海を思い浮かべる方も少なくありません。知名度こそ高くはありませんが、ここではパステルブルーが美しいレア宝石ラリマーを解説していきたいと思います。

果たしてどんな特徴を持つ宝石なのでしょうか?

カリブ海の宝石ラリマーとは?世界で一か所の産地しか持たないレア宝石

ラリマーと聞いてもイマイチピンと来ない方が多いと思います。しかし最近はブレスレット、ネックレスにピアスなど、多くの宝飾品に加工され、ファッション性の高いジュエリーが多く登場してきています。

ここではラリマーという宝石の特徴を分かりやすくまとめていきたいと思うので、購入をする前の参考にしてくだされば幸いです。

希少石ラリマーの特徴を徹底検証!

80年代にアメリカ人によってカリブ海の宝石とコマーシャルネームを付けられたラリマー。ラリマーはいわゆるケイ酸を含む鉱物のことで、ブルーにホワイトカラーが混ざったようなクリーミーで温かみのある宝石です。

鉱物学的にはペクトライトであり、その中でもドミニカ共和国産であること、そして白の波模様があるブルー系の宝石をラリマーと呼び区別をしています。

ペクトライト自体は多くの国で産出されていますが、その色合いやインクルージョンは含有する金属イオンによって異なり、銅、コバルトを含むものが美しい青色を呈する要因になるのです。しばしグリーン系のラリマーも見かけますが、それは銅イオン以外にバナジウムを含むことが原因になります。また赤い斑点がある石は、鉄イオンを含有していることを示しています。

ブルーペクトライトという青色のペクトライトもありますが、その中でも特に宝石加工に適したインクルージョンが少なく、美しいホワイトの波模様を持つブルー系のものをラリマーと呼んでいるのです。基本的に青の色合いが強く、他の内包物が少ないものが特に価値が高いとされています。

基本的にこのペクトライト属というものは非常に脆いことで知られており、モース硬度は4.5から5程度、一方向性に強い劈開性を持っており割れやすいのが欠点と言えます。

まとめるとラリマーはケイ酸塩化合物のペクトライトであり、ブルーベクトラトの内の特に美しい青と白の模様を持つ美しい色合いの石をラリマーと呼んでいるのです。

その発見と命名の不思議

ラリマーという宝石の歴史自体は比較的新しく1916年にまで遡ります。ドミニカ共和国のバラオナ地区の鉱山で美しいパステルブルーの石が見つかりますが、その当時にはそれが何なのか認知されておらず採掘許可は得られませんでした。

その後1974年にバオルコ山脈で再度その石がアメリカのボランティア団体Peace Corpの支援のもとで見つかり、発見者Miguel Méndezの娘の名前であるLarissaの名前とスペイン語で海を表わす単語Marを合わせて、それをLarimar(ラリマー)と名付けました。

発見者の名前が宝石名になることは少なくありませんが、ラリマーはそこにカリブの海の美しさをネーミングに閉じ込めたわけですね!

このラリマーという宝石は前述の通り、ケイ酸塩鉱物の一つであるペクトライトに分類できる宝石ですが、現在採掘がおこなわれているのはドミニカ共和国のみ。バラオナ地区の南西に位置するロス・チュパデロス鉱山はカリブの海を思い起こすブルーのペクトライトを産出できる唯一の鉱山として知られています。
K18YG ラリマー ピアス

ラリマーを楽しむ為に!その脆さと人造石の多さに注意して!

なかなか耳にしないネーミングの宝石ですが、昨今その美しいホワイト&ブルーのラリマーが宝飾品に多く加工されています。

カボションカットを施したものは特に人気が高くブレスレットやピアス、イヤリング等にデザインされていますが、ここではラリマーを使ったジュエリーの注意点についてお話していきたいと思うので、こちらも参考にしてみてくださいね。

脆い石であるからこそ取り扱いに注意!

その硬度の低さもあり、宝石以外にも彫刻用としても利用されることがあるラリマー。ドミニカ共和国、カリブ海諸国ではラリマーを使ったシルバージュエリーは非常にポピュラーです。また原石を大胆にセットしたインディアンジュエリーを思わせるタイプの宝飾品も多く見かけます。

特に青空色の濃いブルーのものはシルバーではなくゴールド地にセットされることも少なくありません。

日本においてはシルバーだけではなくイエローゴールド、ホワイトゴールドに仕立てられることも多く、淡いブルーが可愛らしいと人気を集めています。ファセット面を付けるのではなく、あくまで丸く表面を研磨することでよりそのカラーをより愛らしくするのです。

女性に支持されるラリマージュエリは主にピアス、イヤリングやブレスレットですが、これらの使用に際してはその硬度と一方向性に割れやすい劈開性を十分理解した上で扱わなければなりません。

つまり地面に落としたり、どこかにぶつけてしまうことでポロッとかけてしまうことも多いのでその点には十分注意が必要です。またジュエリー同士がぶつかり合うことでラリマーを傷付けてしまう事もあるので、布等に包んで優しく保管することも忘れずに。

脂汚れや指紋などが気になる場合も水洗いや超音波洗浄機使用は勿論NGなので、柔らかな布などでふき取る程度にしておきましょう。

ラリマー購入は信頼のおける店舗で!模造宝石が氾濫中

ペクトライトは多くの国で採掘されても、品質の高いラリマーはドミニカ共和国でしか産出されない為、いわゆるレア宝石として定義づけられます。

そこに目を付けたのが悪徳業者と言いますか、単なるプラスチックや陶器で出来た精巧なラリマーの模造石が多く作られているのです。これはラリマーに限ったことではありませんが、母岩が付いたラリマーではなくルースまたはブレスレットなどに加工されたラリマーを購入する場合は注意が必要です。

ラリマーは青地に白の波模様が特徴ですが、最近は模造石ではなく、天然の鉱物を青く染色したタイプも登場してきているので、素人にとってそれらを見分けることは至難の業と言えます。

特にアジア諸国では多くのラリマーの模造石が本物として販売されているので、価格が安すぎる、その色合いに不自然さを感じる場合はラリマーではない可能性も少なくありません。鑑別書に関しても簡単に偽造は可能なので、信頼のおけるメーカ、ショップからラリマー、そのジュエリーを購入することが一番確実と言えるでしょう。

まとめ

カリブ海の宝石……、ラリマーの特徴をしっかり携えたコマーシャルネームが功を奏しその人気に火をつけたのが始まりでした。

現在採掘が許可され、ジェムクオリティーの宝石が産出されているのがドミニカ共和国のみであり、比較的希少価値のある宝石と言えます。

カボションまたは原石の形を活かしたジュエリーが多く、どこか夏の匂いを肌で感じることができる為、これから初夏に向けて身に着けておきたいジュエリーの一つと言えるでしょう。

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