あなたはどんな人造石が好きですか?

キュービックジルコニア、モアッサナイトにYAG……。それは多くの人造石が宝飾市場に氾濫していますが、天然宝石とは異なるギラギラの存在感に圧倒的コスパが特徴的です。

今回ご紹介したい人造宝石はナノシタル!そんな宝石聞いたことないという方も多いはず。ここでは人造宝石ナノシタルのイロハをご紹介しながら、その面白さをお話ししていきたいと思います。

ジュエリー業界が熱視線!何でも作る、合成大国ロシア生まれのナノシタル

ロシアはソ連時代から様々な合成宝石を製造し、現在その技術はソ連崩壊と共に多くの国々に流失してしまいました。

そんなロシア発の人造宝石の一つが、今回ご紹介するナノシタルという名の宝石です。ここではわかりやすくナノシタルについて解説していきたいと思うので参考にしてみてくださいね。

ナノシタルとは?その特徴を徹底解説

ナノシタルは50年以上前から知られている人造宝石であり、ロシアはモスクワのRusgem社が開発し特許を獲得しています。人造宝石ということで特定の宝石と同じ鉱物学的、化学的特徴を持ち合わせている人工宝石とは異なり、全く自然界には存在しない化学、物理特性を持った石のことを言います。

ナノシタルは宝石が育まれる環境に似せた水熱法と同様な方法で作られた人造宝石であり、その主成分はナノサイズのガラスセラミックで出来ています。詳しく解説すると、SiO2 とAl2O3にいくつかの化合物を添加して製造され、モース硬度は7、屈折率は1.65~1.70、分散率は0.012~0.015とトパーズに近い人造宝石です。

様々なカラーのナノシタルが製造されており、加熱をしても退色しない安定性を持ち、合成クォーツや合成スピネルに変わるべく人造石として期待されています。勿論人体に悪影響を及ぼすような鉛、カドミウムなどは含んでいません。

インドに香港!ジェムショーで注目を集める理由

そもそも多くの合成宝石が存在している中で、なぜ昨今ナノシタルが注目を集めているのか。考えられる理由としては前述した通りカラーの安定性、モース硬度が7という硬さが宝飾品加工に適していること、そしてほぼどんな宝石に似せた模造ができる有用性が挙げられます。

天然には存在し得ないカラーでさえもナノシタルとして人工合成ができ、それが見せる色合いはバイカラーを含めて100種類以上とも言われているのです。勿論ガラス光沢のある透明なナノシタルだけでなく、半透明または不透明なナノシタルも合成可能で、顧客のニーズを汲んだオリジナルナノシタル合成にも積極性を見せている点も評価されています。

オンラインで人気!人造宝石ナノシタル素材を使った宝飾商品

ナノシタルはその原石、ルース自体というよりも、その存在自体が非常にマイナーなので宝飾品として加工はされるものの、一般的な人造宝石とは言えません。

しかし今後の宝飾業界にとっても注目すべき人造宝石になり得ることが予想されるので、ぜひ皆さんもナノシタルジュエリーの面白さに触れてみてはいかがでしょうか?

カラーチェンジ、バイカラーナノシタルジュエリーが人気

ナノシタルは非常にヴァリエーションのある色合いと安価な価格で人気を博しています。特にカラーチェンジナノシタルは少ないながらも日本で宝飾品として加工されているのです。

いくつかのナノシタルは紫外線、太陽光または白熱光の下で覗き込むと、それぞれ異なる色合いを見せ私たちを驚かせます。アレキサンドライトやカラーチェンジガーネットでも光源を変えることで変色効果を現しますが、ナノシタルのそれはそれら天然石とは異なる強烈な色の変化を呈するのです。

例えば薄紫⇔黄緑、ピンク⇔黄色、緑⇔オレンジなど、思わずハッとしてしまうカラーチェンジは20種類以上の組み合わせが可能。またバイカラートルマリンを思わせるバイカラーナノシタルも登場しています。

ナノシタルジュエリーはそのカラーチェンジ効果を前面に押し出したジュエリーが多く、5カラット程度の大粒ナノシタルを大胆に加工したネックレスやリングが多く流通しています。値段も1万円でお釣りがくるような抜群のコスパを誇ることもあり、宝石としての価値というよりはその存在感を存分に楽しめるカジュアルな宝飾品として人気を集めているのです。

またファンシーカットを施したナノシタルジュエリーを作品として発表するジュエリーデザイナーも少なくありません。人造宝石がゆえのコストパフォーマンス、そして大胆奇抜なカッティングが施されたジュエリーは、日用使いというよりはもはやオブジェといえる作品も多く見かけます。

まとめ

今回はロシアのRusGem社が開発したナノシタルについてお話してみました。宝石をかじったことがある方でもなかなかナノシタルの存在は知られていませんが、ここ数年ジェムショーをちょっとばかり賑わせています。

海外オークションや物販サイトを通じて様々なカラット、色合いのナノシタルは購入可能ですし、海外ではナノシタルをセットした作家作品もよく見られます。

日本で購入できるラインナップこそ少ないですが、気になる方はぜひぜひNanositalというワードで検索してみましょう!えっ、タンザナイトのこのカラー、アレキサンドライトの変色効果をこのカラット、この値段で?とビックリすること間違いなし、そんな今後の動向が気になる人造石それころがナノシタルなんですね!

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