色だけでなく形もアート作品のよう
マラカイトは宝石(貴石)や半貴石の中で最も個性的、特異的な模様(形)をしていると言えます。緑色をした濃淡の縞模様、さらに黒緑色や白色、黄褐色の縞模様も見られます。その縞模様は単純な曲線から複雑な曲線まで多種多様です。自然が創り出した芸術作品のように思われます。
マラカイトの原石は一般に塊状で産出します。そしてブドウ(葡萄)の房のような形状でも産出します。下(左)の写真は塊状の原石を示しています。(写真出所:Adobe、以下同様) 下(右)の写真はブドウ状の原石を示しています。 マラカイトは微細結晶の集合体ですから、水晶のような平らな結晶面を持って産出することはありません。
上の左の写真は塊状の手前側が破断して、マラカイトの鮮やかな緑色が露出しています。上の右の写真は球状の比較的大きな粒々がたくさん見られます。微細結晶の集合体はしばしばブドウの房のような形で産出します。
個性あふれるルースに見られる縞模様
マラカイトの最大の特徴は、原石を切断、研磨したときに現れる縞模様(形)にあります。ルース(裸石)に現れる縞模様はひとつひとつの石毎に異なり、個性あふれる芸術品のような感じを受けます。下の左の写真はオーバル・カボッションにカットされたマラカイトを示しています。下の右の写真はビーズに加工されたマラカイトを示しています。
上の左の写真には白色、淡い緑色、濃い緑色、黒緑色の縞模様が現れています。右の写真には淡い緑色、濃い緑色、黒緑色の縞模様が見られます。
マラカイトは周期的に淡い緑色や濃い緑色、そして白色、黒緑色が繰り返している曲線、部分的に直線の模様が特長です。
想像もつかない模様が魅力
市場に出回っているマラカイトの商品を観察すると、多種多様な模様が見られます。予想外の模様に出会います。下の左の写真は複雑な等高線のような模様です。下の右の写真は動きのある模様です。
上の左は複数個所で同時にマラカイトが成長していたと推測されます。上の右はマラカイトを含む溶液が激しく揺れ動いていたように思われます。
下の左の写真は鋭利な尖端を持つ模様です。下の右の写真は淡褐色の曲線模様を持つマラカイトです。
上の左の鋭利模様は、写真の上下から勢いよく成長してきたマラカイトに挟まれ、引き延ばされたように思われます。上の右はマラカイトと異なる組成の物質が混じり込んだものかもしれません。
下の左の写真はマラカイトとオニキスなどと金属を幾何学的に組み合わせた作品です。
下の右の写真はマラカイトの一部を拡大したものです。
上の左はマラカイトが持っている曲線と人為的に創り出した直線を組み合わせることで魅力的な作品に仕上がっています。
上の右は緑色の濃淡の境界がかなり明瞭になっています。このことはマラカイトの成長過程で原液(溶液)が急激に変化したことを意味していると思われます。緩やかな変化であれば、境界が不明瞭となり、色の変化はグラデーションになると考えられます。
マラカイトの縞模様は、個々のルースで異なり、自然が創り出した独特なものです。マラカイトの成長過程の環境は、激しく変化していたと推測されます。手元にあるマラカイトの縞模様を眺めれば、マラカイトが生まれたときの大自然の環境を想起させてくれるかもしれません。