誕生石を使ったジュエリーは多くの方が持っている人気アイテムです。ですが、宝石ごとに可能なクリーニング方法が違うのはご存知でしたか?今回はおうちでできる誕生石のクリーニング方法をお教えいたします。

※ここではゴールド、プラチナを使用した誕生石ジュエリーのクリーニング方法をご紹介します。

1、ジュエリーに付着するのはどんな汚れ?クリーニングをオススメする理由

ジュエリーの汚れは汗や皮脂、埃が付着したものが多いです。また、手を洗った際に落ち切らなかった石鹸なども汚れとして溜まっている場合があります。ジュエリーは石を留める爪やチェーンの隙間など手が届かない細かな場所が多く、水で流すだけでは表面は綺麗になっても裏側の汚れなどは落ち切らないこともあります。

細かな裏の汚れは最初は気になりませんが、何ヶ月・何年もそのままにしてしまうと宝石が完全に輝かなくなります。筆者がジュエリー店の店頭に立っていた時に「私の持っているルビーは品質がよくないのよ」というお客様のリングを見せてもらったら、裏側に汚れが溜まっているだけで本来は高品質なルビーだった、なんてことがよくありました。

また、定期的にクリーニングすることで美しい状態を保つだけでなく、ものによっては宝石の品質を保つ効果もあります。真珠や珊瑚などの有機質の宝石は酸に弱いものが多く、汗がついたままの状態で保管すると白く濁ったりしてしまう場合があります。そうなってしまわないように、外した後に習慣的にお手入れするのがオススメです。

2、クリーニング前にチェックすること

ジュエリーをクリーニングする前に確認していただきたいのが、ジュエリーの宝石が揺れていないかどうかです。ジュエリーは使っているうちに爪が緩んで浮いてしまうことがあります。それがひどくなってくると中の石が揺れてしまい、動くたびにカチカチと音を立てている場合があります。

そのまま使い続けると宝石に傷がついてしまったり、最悪の場合落ちてしまう場合もあるので、石揺れしているジュエリーは出来るだけ早く修理に出してくださいね。

3、食器用洗剤を使ったジュエリークリーニング

食器用洗剤を使用したクリーニングは少し手間がかかりますが、その分お店でクリーニングした状態に近い美しさになります。毎回でなくても月に1回、結婚式やパーティの前などのスペシャルクリーニングとして行うのがオススメですよ。

(1)必要なもの

食器用洗剤、歯ブラシ、ぬるま湯、紙コップ、やわらな布、ドライヤー

(2)手順

①ジュエリーを紙コップに入れ、食器用洗剤を数滴垂らしてからジュエリー全体が浸る程度ぬるま湯を注ぎます。その後10分ほどつけ置きします。

②10分後ジュエリーを取り出し、歯ブラシで優しく磨きます。この時にジュエリーの裏側や爪の部分など、細かな部分も丁寧に磨くようにしてくださいね。

③磨き終わったら流水で洗剤を流し、やわらかな布で全体を吹いてあげましょう。裏に水滴がついている場合はドライヤーで水滴を飛ばすとさらに美しく仕上がります。ただ、ドライヤーの熱を当て続けるとジュエリー全体が非常に熱くなります。熱に弱い宝石もあるので冷風で裏から軽く当てる程度にしましょう。

4、やわらかな布で拭く

一番ポピュラーで毎回のお手入れにぜひ取り入れて欲しい方法です。

一度着けるだけでもジュエリーには皮脂や汗がついてしまい、それがジュエリーを曇らせる原因になってしまいます。着ける前、着けた後に拭く習慣をつければ、美しい状態に保てますよ。

(1)必要なもの

柔らかい布(セーム革、メガネ拭きなど)

ティッシュは宝石の種類によって傷がついてしまう場合があるので使わないようにしてください。また、研磨剤が入った布も販売されていますがこれは貴金属用のものが多く、宝石によっては小傷がついてしまう場合があります。用途を守って使うようにしてくださいね。

(2)手順

①宝石のテーブル面(表面)から軽く拭いていきます。宝石を留めている爪や台座の隙間も汚れが溜まりやすいので拭くと良いですよ。この時、布が爪に引っかかってしまわないように注意しましょう。引っかかった布を無理に引っ張ると爪が浮いてしまったり曲がってしまうことがありますから、丁寧に取り外すようにしてくださいね。

②指が直接当たっていた裏側も磨きます。ジュエリーは肌に直接触れる裏側も汚れやすく、宝石の裏に皮脂汚れが付着してしまうことも多いです。そうなるとせっかく高品質な宝石も輝かなくなってしまうんですね。布の端を使って裏側の溝や宝石の裏を磨くと、輝きがかなり改善されますよ。

5、超音波洗浄機を使う

ジュエリーショップやメガネショップでもよく使用されている洗浄機です。最近では家庭用の商品も販売されているので持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

超音波の振動によって生み出された無数の気泡が破裂し、その衝撃で汚れを剥がし落としてくれる仕組みで、手の届かない部分まで美しくしてくれます。ただし、細かく振動するため、宝石の種類やジュエリーの状態によってはあまり使用しない方が良いとされる場合もあります。例えば石が揺れている状態のジュエリーを超音波洗浄にかけてしまうと、振動により石が外れてしまったり、爪とぶつかって傷がついてしまうことがあるのです。また、ヒビが入ってしまっている宝石は割れてしまう危険があります。自分でするのが心配であれば、お店に持って行ってプロにお任せしましょう。

6、誕生石のクリーニング一覧表

それでは誕生石の特徴とおうちクリーニングでのポイントを見ていきましょう。

【1月 ガーネット】

ガーネットはモース硬度7-7.5と高く、劈開もないのでお手入れもしやすい宝石です。

【2月アメジスト・キャッツアイ】

アメジスト

モース硬度7でどのお手入れも行うことができます。透明度の高いものは汚れによって輝き具合が大きく変わりますから、常に美しい状態を保ちたいところです。

キャッツアイ

モース硬度8.5とルビーサファイアに次いで硬く、使い勝手のよい宝石といえます。カボションカットを留めるため爪が大きいものが比較的多い印象です。お手入れの時は爪に布を引っ掛けてしまわないように注意しましょう。

【3月アクアマリン・珊瑚・ブラッドストーン・アイオライト】

アクアマリン

ベリルという鉱物で硬度が高く、どのお手入れをしても問題ありません。

珊瑚

有機質のため食器用洗剤や超音波洗浄機を使わず、定期的に拭くことで美しさを保ちます。

ブラッドストーン

カルセドニー(隠微晶質のクォーツ)の変種で、モース硬度7と丈夫な宝石です。

アイオライト

モース硬度7-7.5と高いですが劈開があり、超音波洗浄は向きません。綺麗にしたい場合はお店に持っていくと良いでしょう。

【4月ダイヤモンド・モルガナイト】

ダイヤモンド

劈開がありますが硬度が高く、どのお手入れも問題なくできます。ただし、メレダイヤモンドをたくさん使ったジュエリーはダイヤモンドがしっかり留まっているか一つ一つ確認してからお手入れするようにしてくださいね。

モルガナイト

基本的にはどのお手入れを行っても問題ありませんが、インクルージョンの多いものを超音波洗浄したい場合はお店に持っていくのがオススメです。

【5月エメラルド・ジェダイト】

エメラルド

モース硬度が高い宝石ですが、インクルージョンが多く含侵処理が行われていることから超音波洗浄は行わないのが無難です。

ジェダイト

未処理のジェダイトは超音波洗浄なども比較的安全におこなえます。ただし染色・漂白・コーティングなどの処理が行われたものは避けた方が良いでしょう。

【6月 真珠・ムーンストーン・アレキサンドライト】

真珠

デリケートな宝石で、おうちでのクリーニングは拭くのが基本となります。もし劣化してしまった場合は買ったお店や専門店に持っていくと良いですよ。磨き直しができる場合があります。

ムーンストーン

モース硬度6-6.5と少し柔らかな宝石で、高熱や急激な温度変化に弱い宝石です。超音波洗浄はかけないようにしてくださいね。

アレキサンドライト

モース硬度が高く衝撃にも強い宝石で、超音波洗浄も基本的に問題ないとされています。

【7月 ルビー・スフェーン】

ルビー

ダイヤモンドに次ぐ硬さ(モース硬度9)をもち、衝撃にも強い宝石です。

スフェーン

モース硬度5-5.5と低く擦り傷がつきやすい宝石です。強い衝撃がかかると割れ欠けの原因になる可能性があります。

【8月 ペリドット・スピネル・サードオニキス】

ペリドット

モース硬度は6.5〜7と突出して高いわけではありません。超音波洗浄はあまりオススメできません。

スピネル

硬さもあり丈夫なスピネルは超音波洗浄も問題なくおこなえます。ただ、インクルージョンの状態によっては避けた方が良い場合もあります。また、最近は充填処理が行われているものもあり、その場合は超音波洗浄は避けた方が良いでしょう。

サードオニキス

カルセドニーの一種であるうサードオニキスは硬度もあり、どのお手入れも問題なくおこなえます。半透明のものは宝石内が見えにくいので、割れや欠けのチェックは入念に行うと良いですよ。

【9月 サファイア・クンツァイト】

サファイア

ルビーと同じコランダムという鉱物で、十分な硬度があります。どのお手入れもおこなえますよ。

クンツァイト

モース硬度6.5〜7と特別に低いわけではありませんが、衝撃には強くありません。そのため超音波洗浄は避けるようにしましょう。

【10月 オパール・トルマリン】

オパール

硬度が低く、高温や急激な温度変化などにも弱い宝石です。汚れが目立つ場合はお店でクリーニングしてもらうのがオススメです。

トルマリン

モース硬度は7〜7.5です。インクルージョンが多いものなど状態によって超音波洗浄は避けた方が良いでしょう。

【11月 トパーズ・シトリン】

トパーズ

モース硬度は高いですが衝撃に弱いため超音波洗浄は避けてくださいね。

シトリン

アメジストと同じクォーツの仲間で、どのお手入れも行うことができます。熱を加えるのは避けてくださいね。

【12月 トルコ石・ラピスラズリ・タンザナイト・ジルコン】

トルコ石

表面に処理をされているものも多いので、おうちでは拭き掃除がオススメです。

ラピスラズリ

トルコ石と同様に表面に処理をされているものも多く、おうちでは拭き掃除がオススメです。

タンザナイト

熱や温度変化の影響を受けやすいため超音波洗浄は向きません。

ジルコン

ジルコンのタイプによって硬度が違う宝石です。超音波洗浄は避けるようにしてくださいね。

誕生月石名柔らかな布で拭く食器用洗剤を使う超音波洗浄機
1月ガーネット⚪︎⚪︎⚪︎
2月アメジスト⚪︎⚪︎⚪︎
キャッツアイ⚪︎⚪︎⚪︎
3月アクアマリン⚪︎⚪︎⚪︎
珊瑚⚪︎××
ブラッドストーン⚪︎⚪︎⚪︎
アイオライト⚪︎⚪︎×
4月ダイヤモンド⚪︎⚪︎⚪︎
モルガナイト⚪︎⚪︎⚪︎
5月エメラルド⚪︎⚪︎×
ジェダイト⚪︎⚪︎⚪︎
6月真珠⚪︎××
ムーンストーン⚪︎⚪︎×
アレキサンドライト⚪︎⚪︎⚪︎
7月ルビー⚪︎⚪︎⚪︎
スフェーン⚪︎⚪︎×
8月ペリドット⚪︎⚪︎×
スピネル⚪︎⚪︎⚪︎
サードオニキス⚪︎⚪︎⚪︎
9月サファイア⚪︎⚪︎⚪︎
クンツァイト⚪︎⚪︎×
10月オパール⚪︎⚪︎×
トルマリン⚪︎⚪︎×
11月トパーズ⚪︎⚪︎×
シトリン⚪︎⚪︎⚪︎
12月トルコ石⚪︎××
ラピスラズリ⚪︎××
タンザナイト⚪︎⚪︎×
ジルコン⚪︎⚪︎×

緊急でお手入れが必要な場合

パールや珊瑚などの有機質は酸に弱いという特徴があります。そのため、果物の汁やワインなど酸性の食べ物が付着してしまうと白く濁ってしまったり、表面が劣化してしまうこともあります。もし宝石に付いてしまった場合、出来るだけ早く対処するようにしてくださいね。

付着してしまったら、応急処置としてまずは流水でしっかりと洗い流してください。その後、タオルなどでできる限り水気をとりましょう。念の為、購入したお店で糸替えなどしてもらうと良いでしょう。

まとめ

誕生石ジュエリーはそれぞれにお手入れ方法が違います。おうちで日常的に行うなら、柔らかな布を使ったお手入れが簡単です。特に綺麗にしたいときや、少し宝石がくすんできたと感じたら食器用洗剤を使ったお手入れが良いでしょう。超音波洗浄機は使える宝石を選びますが、普通だと綺麗にできない場所までクリーニングできます。また自分でクリーニングするのが不安であればお店に持っていく方が安心ですよ。

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