宝石の三条件は、世界共通で(1)美しさ、(2)希少性、(3)硬さ(硬度)が挙げられています。今回、この硬さについて少し掘り下げます。

硬さを表す基準「モース硬度」

ある宝石がどの程度の硬さを持っているかを知りたいとき、硬さを表す基準が必要になります。非常に硬いといっても、どの程度の硬さなのか、言葉だけの表現では判りません。何かの基準、目安、尺度が必要です。
1822年、ドイツの鉱物学者モース(Friedrich Mohs)は、鉱物と宝石の硬さを表す基準を考案しました。その基準は、最も軟らかい石として滑石(タルク)を選択して、この石の硬度を1としました。そして最も硬い石としてダイヤモンドを選択し、この石の硬度を10としました。さらに、硬度1と硬度10の間に8種類の石を選択しました。
モース硬度の10種類は次の通りです。硬度1:滑石(タルク)、硬度2:石膏(ギプサム)、硬度3:方解石(カルサイト)、硬度4:蛍石(フローライト)、硬度5:燐灰石(アパタイト)、硬度6:長石(フェルスパー)、硬度7:石英(クォーツ)、硬度8:黄玉(トパーズ)、硬度9:鋼玉(コランダム)、硬度10:金剛石(ダイヤモンド)。
モース硬度において、硬さの決め方は「引っ掻(か)き傷」が生じるかによります。宝石Aと宝石Bの表面を互いに擦(す)り合わせ、ルーペで表面を観察して、どちらの表面に引っ掻き傷が付いているかを確認します。宝石Aの表面に引っ掻き傷が見られたら、宝石Aは宝石Bより軟らかいと判定します。
二つの石を擦り合わせて、硬さを調べる場合、片方の石にモース硬度の標準石を使えば、硬度の数値を知ることができます。モース硬度の標準石を何回か取り替えて、引っ掻き試験を行えば、モース硬度が確定します。

主要な宝石、貴金属、などのモース硬度

主要な宝石のモース硬度は下記の通りです。

宝石名称 モース硬度
アクアマリン 7.5
アレキサンドライト 8.5
オパール 6
ガーネット 7.5
クンツァイト 7
真珠 3
スフェーン 5
タンザナイト 6.5
パライバ・トルマリン 7.5
ヒスイ 7
キュービック・ジルコニア 8.5

貴金属のモース硬度はどの程度でしょうか。プラチナ(白金)、ゴールド(金)などの貴金属は、比較的低い硬度です。参考までに他の材質のモース硬度も下に示しています。

名称 モース硬度
プラチナ(純白金) 4
ゴールド(純金) 2.5
シルバー(純銀) 2.5
窓ガラス 5.5
カッター刃 6
2
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