シャボン玉を虹色に見せる光の干渉

光の干渉現象によって、私達は美しい虹色効果を楽しむことができます。身近な干渉現象として「シャボン玉」があげられます。
シャボン玉は極めて薄い水の層と周りの空気で構成されています。薄い層が違うものと接していると、干渉現象が起こります。

右図のようにシャボン玉の一部を拡大してみます。直線状の水の薄い層があると考えます。すると、この薄い層に光が当
ると、下図のような干渉が起こります。

薄い層で干渉が起こると、色がついて見えるようになります。虹色(赤色、橙色、黄色、緑色、青色、藍色、紫色)が発生します。発生する色は、シャボン玉の水の厚さ、光の入射角度、観察者の目の位置によって変わります。
干渉現象はシャボン玉の他に日常で経験することができます。道路の水溜まりに自動車のオイル(油)が浮かぶと見られます。水の上に薄い層のオイルが浮かぶと、虹色が見られます。これも干渉現象による虹色効果です。

宝石においてもみられる虹色の効果

宝石において、干渉現象によって生まれる美しい色は、オパールが挙げられます。(オパールは回折現象と干渉現象が影響しています。) この他、真珠の真珠光沢、ムーンストーンの柔らかな月光、ラブラドライトの閃光、ペリステライトの青白色などは干渉現象によって発生する光の効果と推測されています。

右の写真はペリステライトの断面を電子顕微鏡で観察したものです。(三浦氏、北脇氏の資料)
薄い層が積み重なっています。ナトリウム長石(曹長石)とカルシウム長石(灰長石)が交互に積層しており、この層で光が干渉現象を起こし、ペリステライトが青白く発色している、と推測されます。

真珠はアラゴナイトと呼ばれる薄い結晶が積層しています。ムーンストーンはカリウム長石(正長石)とナトリウム長石(曹長石)の薄い層が積み重なっています。ラブラドライトはナトリウム長石とカルシウム長石の薄い層が積み重なっています。
層の厚さは極端に薄いです。肉眼や10倍のルーペでは見えません。層が厚くなり過ぎても、薄くなり過ぎても、虹色は発生しません。

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