研磨面をしめすファセット

通常、宝石は原石をカット(切断、研磨)して、平らな研磨面をたくさん作ります。この平滑な磨かれた面をファセットと言います。
カットされた宝石のルース(裸石)を観察する場合、どこを観察しているか、ある特定の個所やファセットを指す名前を知っておく必要があります。

右の図はラウンド・ブリリアント・カットと呼ばれているひとつのスタイル(様式)です。ダイヤモンドに多用されています。右上図は上から見た図です。右下図は側面から見た図です。右上図の中心部の広いファセットをテーブルといいます。同じ図の西洋凧の形をしたファセットをベゼル・ファセットといいます。
右下図について、一番大きい直径の部分をガードルといいます。ガードルから上の部分を「クラウン」、下の部分を「パビリオン」といいます。

ファセットラインを観察してダイヤモンドを見極める

ベゼル・ファセットという名称を使う機会は少ないですが、今後、ダイヤモンドのイミテーション(模造石)として市場に出てくると予想される「モアッサナイト」を識別する場合、このベゼル・ファセットからダブリングを観察する必要があります。
ファセットとファセットが接する線をファセット・ラインといいます。上図の黒い線がファセット・ラインです。ダブリングはこのファセット・ラインが二重に見える現象をいいます。
今、ダイヤモンドのイミテーションとしてキュービック・ジルコニア(以下、CZと表示)が市場にたくさん流通しています。ダイヤモンドと識別するひとつの方法としてガードルを観察することが挙げられます。CZのガードルはダイヤモンドと比較して厚いです。ダイヤモンドは薄いです。
ダイヤモンドとCZを識別する場合、ファセット・ラインを観察することも重要です。
ダイヤモンドのファセット・ラインは指で触ると、指が切れそうな感覚で、シャープ(鋭い)です。一方、CZのファセット・ラインは鈍く、シャープではありません。
上図の左側の図はダイヤモンドを上から見た図です。このような状態にすることをフェイス・アップといいます。反対にテーブルを下にした状態をフェイス・ダウンといいます。ダイヤモンドの色を観察するときはフェイス・ダウンにします。

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