合成ダイヤモンド≒Ⅱ型ダイヤモンド

今、合成ダイヤモンドの時代が到来しようとしています。今後、多くの人達が合成ダイヤモンドに関心を示すかもしれません。そして、そのダイヤモンドに出会う機会が増えるかもしれません。すでに、デビアス社は合成ダイヤモンドのブランド「ライト・ボックス」を立ち上げ、販売を開始しています。
世界の宝石業界は、合成ダイヤモンドの拡がり、普及に注視しています。そして合成ダイヤモンドと天然ダイヤモンドを識別(鑑別)する方法、器具、装置にも注目しています。
このような背景から、ダイヤモンドのⅠ型とⅡ型という言葉(用語)が頻繁に使われるようになってきました。ほとんどの天然ダイヤモンドはⅠ型に属します。現段階では、すべての合成ダイヤモンドはⅡ型に属します。ですから、Ⅰ型かⅡ型かが判明できれば、天然か合成かの識別が可能です。

紫外線を透過する程度がダイヤモンドによって異なる

では、ダイヤモンドのⅠ型とⅡ型とは何でしょうか? Ⅰ型とⅡ型の発見の経緯を知ることで、理解が深まるものと思われます。

1950年代、ラマン教授(Chandrasekara Raman、チャンドラシェ-カル・ラマン、インド、1888年~1970年、1930年にノーベル物理学賞受賞、1934年にインド理科大学院学長)は、天然ダイヤモンドに紫外線を当てて、紫外線が天然ダイヤモンドを透過する程度を測定していました。そして、天然ダイヤモンドは2種類に分けられることを発見しました。(写真出所:wikipedia)

紫外線は波長が短く、強いエネルギーを持ち、人の肌に日焼けなどの影響を及ぼします。紫外線は、波長が400nm(ナノメーター)以下を言います。ラマン教授は、300nmまでしか透過しないダイヤモンドと200nmまで透過するダイヤモンドの2種類があることを発見しました。前者のダイヤモンドをⅠ型と言います。後者をⅡ型と言います。発見当時、ダイヤモンドはなぜ2種類に分かれるのか、理由は不明でした。

ほとんどの天然ダイヤモンドは、Ⅰ型である

この大きな謎は、1959年、カイザー博士によって解明されました。ダイヤモンド中に含まれる窒素に原因していることが判りました。Ⅰ型のダイヤモンドには比較的たくさんの窒素が含まれていました。その量は0.2%前後でした。
一方、Ⅱ型のダイヤモンドの窒素の量は極めて微量でした。その窒素の量は、0.0001%(1ppm)前後でした。
その後、多くの天然ダイヤモンドを調査した結果、99.9%はⅠ型であることが判りました。残りのわずか0.1%がⅡ型であることが判りました。
備考:さらに細かく分類することもあります。Ⅰa型、Ⅰb型、Ⅱa型、Ⅱb型です。このような分類は、通常、必要ありません。

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