ルーペ(10倍)で宝石を観察するとき、ライティング(採光)によって、得られる宝石の情報量は大きく影響されます。ライティングによって、例えばインクルージョン(内包物、異物)が見えたり、見えなかったりします。
ライティングは宝石の透過性によって大きく3つに分けられます。宝石の透過性は、透明、半透明、不透明に分けられます。宝石の透明性によってライティングを次のように使い分けます。

1.透明宝石

多くの宝石は透明です。この場合は、親指と人差し指でつまんだ宝石を窓からの光にかざすか、蛍光灯に向けて光を採り入れます。
親指と人差し指を動かしながら、最適なよく観察できる採光位置を探します。良質なルビーやブルー・サファイアなどはこのライティング方法で観察します。一般的な方法です。

2.半透明宝石

この宝石の内部を観察するには、ペンライト(LED、豆球)が必要です。左手の中指、薬指、小指でペンライトを握ります。そして親指と人差し指で宝石をつまみ、下から光を当てます。
そして宝石をルーペに近付けます。宝石の中をのぞきながら、親指と人差し指でその石を少し傾けて、いろいろな個所を観察します。
ヒスイの鑑別はこのライティング方法を採用しないと、正確な鑑別はできません。

3.不透明宝石

この宝石は不透明ですから、内部を観察することはできません。ですから、表面さらには表面直下から得られる情報に限られます。
この宝石を観察するには次のようなライティングを行います。
左手の親指と人差し指でペンライトをつかみ、手の平の真中あたりに光を当てます。
そしてその光の当る個所に宝石を置きます。そのままの状態で左手をルーペに近付けます。ルーペを通して宝石を見ながら、親指と人差し指で光の当る個所を調整します。宝石表面のいろいろな個所、複数個所を観察します。トルコ石などはこのライティング方法で観察します。
本稿は無断転載禁止です。ヴィサージュジャパン 株式会社