いずれの言葉も聞いたことがあると思います。子供のとき、大人になってから、どこかで聞いたり、本の中や新聞紙上で目にした言葉と思います。これらの言葉(用語)はどのような違いがあるのでしょうか? 何となく日常で使っているかもしれません。
ここで、これらの言葉を少し掘り下げて、お互いの違いをながめてみます。さらに宝石業界でどのように使われているか、確認しておきたいと思います。

石の分類

言葉の意味を知るには、一般的に「広辞苑」(岩波書店発行)を開けることから始まります。広辞苑では次のように説明しています。
(1)鉱物:地殻を構成する天然の均質な無機物。石英、長石など。
   ※地殻とは、地球の最外層のこと。深さ20km~50kmまで。
(2)岩石:数種類の鉱物の集合体。花崗岩(かこうがん)など。
(3)宝石:特定の鉱物加工品。
(4)石 :細かい岩石の粒。岩より小さく、砂より大きい鉱物質のかたまり。
各言葉は英語の表記でも異なります。鉱物はミネラル(mineral)、岩石はロック(rock)、宝石はジェムまたはジュエル(gem、jewel)、石はストーン(stone)と異なる表現があります。しかし、アメリカ、ヨーロッパにおいて各言葉を明確に区別して使っているとはおもえません。正確にはわかりませんが。

宝石の定義

宝石業界に限れば、日本及び世界において「宝石」の用語は次のように規定、定義されています。宝石とは、①美しさ、②希少性、③硬さの条件を満たす鉱物のこと。ダイヤモンドもルビーもエメラルドも鉱物です。しかし他の鉱物と違って、美しく、わずかしか産出しません。そして硬いです。
世界の宝石業界において、上の3条件を満たすものが宝石である、ということが一般的な認識です。
ただし、例外もあります。宝石業界に限らず、どの業界、世界でもしばしば例外はあります。真珠は鉱物ではありません。真珠貝(真珠母貝)が生み出すものです。この他に鉱物でない宝石もいくつかあります。サンゴ、コハク、べっ甲、ジェットなどです。これらは生物起源宝石と呼ばれています。
岩石に属する宝石もあります。代表的な例はラピス・ラズリです。ラピス・ラズリは4つの鉱物で構成されている岩石です。ラピスとは石という意味です。ラズリは青色という意味です。(4つの鉱物は、アウイナイト、ラズライト、ソーダライト、ノーゼライトです。)
石という言葉はすべてを表して便利ですが、あいまいさも残ります。「ダイヤモンドというこの石は」などと文の中で使われます。また、宝石の個数を表すときの単位に「石(せき)」が使われます。「このルビーを5石下さい」とビジネスで使われます。(5ピース下さいとも言います。)

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