衝撃的なデザインのカルティエ「ガーラント・スタイル」

1898年、宝飾業界に衝撃が走りました。ルイ・カルティエ(フランス)は極めて斬新な宝飾品を発表しました。世界で初めてプラチナ(白金)をふんだんに使い、細かい加工を施した作品でした。今までに無いデザインで、驚くべき宝飾品でした。
植物をモチーフにした柔らかなデザインで、プラチナを微細加工した他に類を見ない宝飾品でした。
後にこのカルティエのデザイン様式は、「ガーランド・スタイル」ジュエリーと呼ばれるようになりました。ガーランドとは花輪のことです。植物自体の形状、柔らかな曲線をデザインに取り入れました。

このカルティエのプラチナ主体の宝飾品が発表されてから、プラチナを使用したジュエリーが大きなブームを巻き起こしました。プラチナの需要は急拡大しました。
同時期にロシアにおいて、プラチナの大鉱脈がウラル地方で発見されました。ロシアはプラチナの大需要に応えるため、多数の労働者を投入しました。この時期には、すでにプラチナ鉱石を精錬、加工する技術は確立されていました。(1803年、イギリスの化学者・ウラストンの努力によって確立)

プラチナの混乱によるホワイト・ゴールドの誕生

しかし、ほどなく宝飾業界を揺るがす大事件が起こりました。1917年、ロシア革命が起きたのです。第1次世界大戦(1914年~1918年)で兵士として多くの人が動員され、加えて物価が上昇して、民衆が蜂起したのです。ストライキが起こり、プラチナ鉱山も閉鎖されました。
ヨーロッパの宝飾業界は混乱しました。プラチナに替わるホワイト系の貴金属を開発することが急務となりました。急務ですが、この時期の前からホワイト系の貴金属についての研究が行われていました。1870年代、金に銀と銅を加えると、ホワイト系が得られることが発見されていました。さらにより白い貴金属を目指して、多くの研究が行われました。やがてパラジウムを加え、より白いホワイト・ゴールド(White Gold、略号WG)が誕生しました。また、ニッケルを加えてもより白いWGが得られることも判りました。

K18WGの組成

現在のK18WG(18金ホワイト・ゴールド)の組成(金、パラジウムなどの割合)は下の表の通りです。

K表示 金(Au) パラ(Pd) 銀(Ag) 銅(Cu) ニッケル(Ni) 亜鉛(Zn)
K18WG(パラ系) 75 12.5 12.5
K18WG(ニッケル系) 75 12 8 5

(パラはパラジウムの略、数字の単位は%)
現在、ニッケル系は金属アレルギーの懸念から、使用を控える傾向にあります。
K24は金の含有率が100%。K18の金の含有率は、18/24=0.75、すなわち、75%です。

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