奈良には数多くの文化遺産があります。それらひとつひとつはたくさんの人が生きてきた証であり思いを寄せた結晶のようなもの。文化遺産を見ているとつながった一本の歴史の道の先に自分が立っているという感覚を味わうことができます。仏像や工芸品。人々の手によって生み出された美しいものの数々は時代を経ても変わることのない強いパワーを放っているように感じられます。
このような至極の工芸品や宝物を目にすることができる「正倉院展」という言葉をご存知でしょうか。正倉院とは古代日本において非常に価値のあったいわゆる「たからもの」がザクザク入っている建物です。その中にある一部を年に一度だけ公開するのが正倉院展なのです。正倉院展は毎年秋に半月程度奈良国立博物館において開催されます。

正倉院ってどんなもの?

それでは正倉院はどこにあるのでしょうか。普段から観光客でにぎわう奈良公園の一画、東大寺大仏殿の奥にひっそりとたたずんでいるのが正倉と呼ばれる建物です。校倉(あぜくら)造りの高床式倉庫からは決して豪華な印象は受けません。それでも悠久の歴史というどっしりとした重みを感じることができます。周辺の奈良公園や東大寺、興福寺といった名だたる観光名所の賑わいとはまた違った雰囲気をぜひ堪能してみてください。
ただし今現在この中に宝物が眠っているわけでありません。鉄骨鉄筋コンクリート作りで保存状態をキープしやすい西宝庫・東宝庫へと移されています。

正倉院の歴史

宝庫の建築は奈良時代のいつだったかはっきりとはわかっていません。東大寺の大仏開眼会の頃とされているようです。正倉は間口33m、奥行き9.4m。大きな大きな宝箱ですね。中には天平文化の美術工芸品などが収められていました。聖武天皇や光明皇后といった権力者ゆかりのものが多く高貴な人々が手にすることができた特別な宝物です。その宝物の数は何と9000を超えるとのことで驚きですね。
数々の紛争や自然災害からも難を逃れ宝物が良好な状態で残っているのは奇跡かもしれません。

正倉院に眠る宝物

「平螺鈿背八角鏡:へいらでんはいのはっかくきょう」
鏡そのものが珍しかった時代。正倉院の中にもたくさんの鏡類が保管されています。とくにこの鏡は鏡背の細工も豪華。螺鈿で一面に花鳥文があしらわれています。中には琥珀やトルコ石といったジュエリーも確認できます。
「琥碧誦数(数珠)こはくのじゅず」
752年大仏開眼会に奉献されたとされています。琥珀のほかに真珠を確認することができます。

そのほかにも「曲玉:まがたま」「水精玉:すいしょうのたま」といったジュエリーの原型のようなものも見受けられます。何に使用されたかはっきりとは不明とされていますが、この球形や俵型の形状や大きさを見ていると装飾品として人々が使っていたのではないかな…とはるか天平時代の暮らしに思いを馳せることができます。
そのほかにも正倉院には鏡、盃などの生活品から厨子、御床などの家具、そして奈良時代を知る貴重な書物や珍しいところでは香木や古代の薬品なども眠っています。

見ることができるタイミング

普段正倉院にある宝物を見ることはできません。大切に守られ、次世代へと受け継いでいくことにその存在意義があるのかもしれませんね。
そんな宝物ですが年に一度だけ、私たちの眼に触れることができるのが「正倉院展」です。この辺りはもともと人気の観光地ですが開催時期にはさらに多くの人で賑わいます。時間帯によっては入場まで時間がかかるほどの盛況ぶり。それほどまでに多くの人を虜にする力があるのです。中には毎年毎年この時期を楽しみに奈良へとやってくる観光客も大勢います。なぜなら毎回出てくる宝物が違うから。年によって目玉となるお宝が全く違うのです。それはいかに正倉院に眠る宝物が多いかということを感じさせられます。

1300年以上という長い長い年月を経ているため色彩や状態はまちまちです。それでも美しくきらめく光物、見事な細工の工芸品であることは伝わってきます。そしてこれらの魅力はジュエリーにも通じるところがありますよね。

正倉院展をじっくり見て回ると遥か昔の天平時代にも人々は美しいものを愛でたということが伝わってきます。暮らしぶりや文化は違えども日本人の心は変わらないのかもしれません。私たちも今ある美しいものを大切に後世に伝えていきたいものです。
最後に現代でも大切に受け継いでいきたい細工の美しいジュエリーをご紹介します。
心葉 ダイヤモンド ルビー クォーツ ティアドロップネックレス K10

ジュエリーはシンプルなデザインもステキですが、このような細工の美しいデザインもジュエリーの輝きと相まってより魅力的な光を放ちます。優しいローズクォーツの雰囲気と繊細で女性らしい情緒が溢れるペンダントです。

まとめ

いかがでしたか?誰もがなんとなく一度は耳にしたことがある正倉院。芸術の秋、今年は細工の美しいジュエリーを見につけ正倉院展へ足を運んでみるのもいいですね。きっと身の回りにある美しいものを大切にしたくなることでしょう。

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