アメジストも、オパールも、アゲートも、カルセドニーも組成は同じSiO2

アゲートとカルセドニーの本体は同じです。同じ組成で構成されています。その組成は二酸化ケイ素(SiO2)です。二酸化ケイ素でできている身近な例として石英が挙げられます。紫色の石英はアメシストとして馴染み深い宝石です。
アゲートもカルセドニーも石英の仲間です。それでは、アゲートとカルセドニーそして石英の違いはどこにあるのでしょうか。
3者(アゲート、カルセドニー、石英)とも同じ仲間で、組成は共通して二酸化ケイ素です。しかし、2者(アゲートとカルセドニー)と石英との間には違いがあります。
2者は潜晶質に分類され、石英は結晶質に分類されます。すべての宝石は原子配列の視点から3種類に分けられます。その3種類は結晶質と潜晶質と非晶質です。
非晶質の例はオパールが挙げられます。オパールも基本組成は二酸化ケイ素です。ですから、アゲートもカルセドニーも石英もオパールも同じ仲間です。同じ仲間ですが、内部の原子配列が異なるためにアゲートとカルセドニーは潜晶質、石英は結晶質、オパールは非晶質に分類されています。
次にアゲートとカルセドニーの違いについて話を進めます。両者の違いは外観にあります。アゲートは不均質な外観です。カルセドニーは均質な外観です。両者は比較的簡単に識別できます。

アゲートとカルセドニーをより深く知る

ここで両者の本質について述べていきます。両者は潜晶質に分類されており、結晶である石英とはかなり異なる特性を示します。両者の本質と目で確認できる特性の相互関係を理解するには三層特性図が便利
です。右図が三層特性図です。

三層特性図は本質特性と固有特性と表面特性で構成されています。
先ず、本質特性の中の項目を見ると、成分は二酸化ケイ素(SiO2)です。状態は潜晶質と表示されています。
固有特性の中の項目を見ると、微細粒集合体と表示されています。

潜晶質とは一粒一粒が顕微鏡で観察しなければ見えないほど小さい状態です。一粒一粒は結晶です。潜晶質は微細粒の集合体です。
アゲートもカルセドニーも微細粒で構成されているので、光が散乱され、表面特性の中にある項目、半透明となります。さらに表面特性の中に強靱性(きょうじんせい)という項目があります。靱性とは粘り強さのことです。アゲートやカルセドニーは床に落下させたり、壁に投げつけても破損することはほとんどないです。強靱性を有しています。
ですから、アゲートやカルセドニーは古くから彫刻の材料としても使われて来ました。
物などを彫刻したカメオの材料として重宝されて来ました。
微細粒の集合体であるアゲートやカルセドニーは、外部からの打撃に対して数粒が破損しても、さらに他の微細粒にまで破損が進みません。石英やガラスなどは表面の一部が破損すると、一気に内部まで破損が広がり、全体の破壊につながります。
アゲートとカルセドニーは外部からに衝撃に対して強靱です。容易に壊れることはありません。

固有特性の中に中硬度という項目があります。アゲートとカルセドニーのモース硬度は7です。宝石に必要なモース硬度は7以上が目安ですので、比較的スリ傷が発生しにくいと言えます。
表面特性の中に染色容易という項目があります。流通しているほとんどのアゲートとカルセドニーは染色処理が施されていると言われています。
両石とも微細粒の集合体ですから、粒と粒の間には隙間(すきま)があると推測されます。この隙間に染色剤が比較的容易に浸透して行くと推測されます。
現在の技術ではほぼどんな色の染色剤も製造可能です。ですから、どんな色のアゲートもカルセドニーも造り出すことができます。天然では存在しない鮮やかな赤色、青色、緑色などのアゲートやカルセドニーが流通しています。

大きく違う外観の均質性

表面特性の中に均質または不均質外観という項目があります。アゲートとカルセドニーの本体は同じで、二酸化ケイ素です。そして潜晶質です。両者の違いは外観の均質性だけです。アゲートは不均質で、カルセドニーは均質です。外観で両者を判別します。
ただし、ルーペでカルセドニーを観察すると、外観は均質に見えますが、内部はかならずしも均質ではありません。わずかに不均質部分も見られます。
両者は大自然の中でどのような違いがあったのでしょうか。両者は大自然の中で生まれました。両者が生まれたときの大自然は温度、圧力、濃度(融液)が変化していました。さらに時間軸が重要な役割を果たしました。
アゲートとカルセドニーが生まれるとき、環境が一定時間(数十年、数百年、数千年)保持されるとカルセドニーになると推測されます。環境が激動するとアゲートになると思われます。
しかし、アゲートの中のある種類、例えばデンドリテック・アゲートなどは環境が安定していたと思われます
アゲートもカルセドニーも潜晶質です。しかし同じ組成を持つ石英は結晶に分類されます。同じ組成でも本質は異なります。潜晶質と結晶では産出状態も異なります。石英は形が整った六角柱状で産出します。
他方、アゲートもカルセドニーも塊状で産出します。結晶のような平らな面は持ちません。そして潜晶質の石は半透明という性質を示します。潜晶質は微細粒の集合体ですから、光が散乱され、必然的に半透明という性質を示します。

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