オパール、その魅力に一度取りつかれてしまうと引き返せないと言われています。遊ぶ色と書き遊色反応、この独特な光の揺らめきという演出が一番の特徴です。
しかしここではあえてその遊色効果が見られないコモンオパールの秘密、そしてその魅力について解説していきたいと思います。

コモンオパールって何?遊色効果のないオパールとは

オパール、その幻想的で唯一無二の輝きは持つ者にある種の魔法をかけてしまう、そんな不思議な魅力があります。

祖母または母から受け継いだ宝石箱の中には、どこか古めかしい昭和デザインのオパールリングがしまってあった、という方は多いことでしょう。当たり前に感じるオパールの遊色効果、しかしここではそれらが全く見られないオパールらしくないオパールをご紹介していきたいと思います。

オパールは2種類に分類される

あまり知られていませんがケイ酸塩鉱物であるオパールは遊色反応が見られる石とそうでないものに分かれます。前者をプレシャスオパール(またはノーブルオパール)、後者をコモンオパールと呼びます。

プレシャスオパールとして挙げられるのがライトオパール、ブラックオパールやボルダーオパールのことですね。昨今夕日色が美しいと話題になるメキシコ産のファイアオパールは通常遊色反応を示さないオパールではありますが、ごく稀に揺らめく炎のような遊色反応を見せる石もあり、プレシャスオパールの一つとして扱われます。

さて今回テーマにしている遊色効果のないコモンオパールはあちらこちらで産出されるものの、透明度が低いもので、その色合いにより様々な商業ネームが付けられます。しかしその価値はプレシャスオパールよりも低く、リングなどに仕立てられるというよりは、丸くカボション状にカットしブレスレットやネックレスにしたものなどを良く見かけます。

どちらのタイプのオパールに関しても共通しているのはその石中に10%程度の水分を保持しており、極度に乾燥した環境での保存は厳禁ですし(あまりないシチュエーションですが)、長時間太陽光に当たる場所での保管や超音波による洗浄も避けた方がいいことは言うまでもありません。

コモンオパールは色、特色によって命名が異なる!

コモンオパールは研磨剤等に使われることが多い宝石ですが、なかなか心をくすぐるパステルカラーのオパールが多く、特徴的な虹色の輝きこそありませんがそのファンは決して少なくありません。

コモンオパールはいわゆる総称であり、その色や特徴によって命名が違い、シンプルなものの例として、ブルーオパール、グリーンオパール(マスカットオパール)、イエローオパールなどが挙げられます。

コモンオパールの中で特に価値が高いと言われているのが、ジェリーオパールと呼ばれる、まるでムーンストーンのような透明度が高くシルキーな輝きを持つタイプ。これは特にファセット面を付けることで、宝飾品加工に映える美しさを引き出すことが可能です。

また稀にデンドライトと呼ばれるタイプのインクルージョンが見られ、まるで樹木がそこに息づいているかのような文様を内包したタイプのコモンオパールもあり、これらをデンドライト〇〇オパールと呼びます。(〇〇部分にはカラー名が入ります。)

これらのオパールは遊色効果こそないものの、レア度が高く、ジュエリーというよりは蒐集家により高く評価され、高額で取引されることもありますが、その芸術性を前面に出しファインジュエリーとしも活用されています。
K18WG ブルーオパール ネックレス

コモンオパールの人気石ピンクオパールは実はオパールじゃない!?

コモンオパールの中で特に可愛らしいと黄色い声が上がり、そのミルキーピンクの様相からキューピッドストーンという別名を持つのがピンクオパール。

どこかコンクパールのような、どこか森に茂るキイチゴのような可憐なピンクオパールですが、実はオパールではないという衝撃の事実をご存知でしたか?

ピンクオパールはパリゴルスカイトという別鉱物って本当!?

ソフトキャンディーのような愛らしいルックス、あぁ、遊色効果こそないけれどやっぱりオパール、美しい!と思わず首を縦に振ってしまいそうになるピンクっ子。

通常ピンクオパールという商業ネームで普通に販売されていますが、実はコモンオパールでないものがほとんど。同じケイ酸塩鉱物であることから混同されてしまい、1977年頃にこれはピンクオパールではなくパリゴルスカイトという別の鉱物であると判明したのです。

ただしオパールの化学組成とパリゴルスカイトのそれが非常に近いということで、全く別の鉱物でありながら、若干のケイ酸の含有量の違いによりそれがオパールではないという結論に到達したというのが本当のところ。

その為、実際は化学組成上完璧なオパールであるとされるピンクオパールも存在しますが、それとパリゴルスカイトの差は僅かで、両者を区別するのは簡単ではなく、市場ではパリゴルスカイトではなくピンクオパールとして命名、販売されているのが現状なのです。(オパールとして売った方が購買欲をそそるというマーケティング戦法もあります。)

どちらにしてもピンクに薄く白いマーブル文様が混ざったような愛らしい宝石で、カボションカット状にしたブレスレットやネックレスは女性らしい可憐さを持ち人気ジュエリーとして愛されています。
K18WG ブルーオパール ピアス

まとめ

イエローオパール、ブルーオパールにピンクオパール……。不透明なものから比較的透明度の高いものまで様々ですが、虹色の揺らめきがみられない代わりに、どこか可愛げなキャンディーのような魅力が溢れる宝石です。

コモンオパールにはこのようにカラー、透明度により様々な商業ネームが付けられ、大人びたプレシャスオパールとは異なる地色の美しさがとにかく映えます。

ダイナミックなカボションカット、透明度の高い石はファセットカットが施され、それがオパールであることを忘れてしまう印象を与えるので、遊色効果がなくとも十分に楽しめるジュエリーになり得ることでしょう。
K18YG オパール ネックレス

本稿は無断転載禁止です。ヴィサージュジャパン 株式会社