ジュエリーを狙う女怪盗ではなく、宝石通が愛するそれは高価な石があります。キャッツアイ、皆さんも一度は聞いたことがある宝石が今回の主人公です。

今回は通称キャッツアイ、正式名称クリソベリルキャッツアイの不思議な猫目模様の秘密から、その品質から価値までを徹底解説していきたいと思います。

クリソベリルキャッツアイの特徴とその価値を検証

キャッツアイという宝石名は知っているけど、クリソベリルキャッツアイという宝石は知らないという方も多いことでしょう。しかし実際キャッツアイはクリソベリルキャッツアイの別名であり、両者は同一の宝石を指します。

ここではまずクリソベリルキャッツアイのカラーと、その品質基準について解説していきたいと思うので参考にしてみてください!

独特の猫目模様はシャトヤンシー効果と呼ぶ

クリソベリルキャッツアイはつまり、クリソベリルという黄色~黄緑色を呈するアルミニウムとベリリウムの酸化物からなる宝石のことです。クリソベリルは基本的にモース硬度の高い宝石で、伝統的にブラジルから非常に高品質の石が産出されます。

クリソベリルキャッツアイはクリソベリルに猫目模様の金目が浮かんだ宝石のことで、日本では通称キャッツアイと呼ばれていますが、正確な正式名称は前述の通りクリソベリルキャッツアイです。

この猫目模様はシャトヤンシー効果と呼ばれ、針状に連なった大量のイルメナイトが内部に含有することによって起こります。チューブ状インクルージョンが平行に並んだ状態で光が入射すると直角方向に1本の筋が観測でき、まるで猫の目のように見えることからキャッツアイと呼ばれているのですね!

なおシャトヤンシー効果はファセットカットでは見られず、カボションカットを施して初めて見られます。ただし研磨が雑な場合は不明瞭な猫目または左右にシャトヤンシーがズレて見えることも少なく無い為、カットの巧みさがその美しさを左右します。

クリソベリルキャッツアイの品質はハニーミルクがキーワード

クリソベリルキャッツアイは淡い黄色から黄緑色の石が多く、その品質を左右する要素はシャトヤンシーの明瞭さとそのルースカラーにあります。比較的多く産出されるクリソベリルでありながら、キャッツアイ効果を見せるものは非常にレア!

その中でもまるでトロトロのハチミツを思わせるボディーカラーに、一筋のミルクを垂らしたようなホワイトラインのものは特に貴重です。通称「ミルク&ハニー」はクリソベリルキャッツアイの美しさの真骨頂ともいえる品質を誇り、まばゆいばかりの黄金カラーと白のラインのコントラストの美しさは息を飲む程。

またミルク&ハニーと同様にアップルグリーンや色味の強いレモン色も同様に高価で取引されています。

クリソベリル自体が様々なカラーがありますが、灰、または黒色が強く出ているものはキャッツアイ効果が見られても市場価値は下がることも覚えておきましょう。

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クリソベリルを超えるカラーと価値!アレキサンドライトキャッツアイとは?

クリソベリルには大きな目立つインクルージョンが内包することは少ないので、基本的な品質を測定する要素はその色合いとシャトヤンシー効果の強さです。

皆さんの宝石箱の中にもキャッツアイを忍ばせている方もいると思いますが、ここではクリソベリルキャッツアイを遥かに超える価値と美しさを持つアレキサンドライトキャッツアイをご紹介していきたいと思います。

アレキサンドライトとクリソベリルの関係

クリソベリルはベリリウムとアルミニウムの酸化物ですが、常に鉄イオンが含有しており、頻度的には少ないですがカルシウム、チタニウムやマグネシウムが含まれる場合があります。

一方でクリソベリルという基礎は同じくして、結晶中のアルミニウムがクロムに置き換わる場合は、特徴的な性質を示すアレキサンドライトという宝石になるのです。そう、皆さんもご存知の通り変色効果そして3色の多色性を示す世界5大宝石にも数えられる宝石ですね!

因みにアレキサンドライトが変色性を見せる理由としては、先ほど言及したクロムが原因です。クロムが混入することで、光吸収の特性によって、太陽光または白熱光で吸収する光の色が異なり、太陽光では緑、白熱光では赤色を呈します。

またその多色性に関しては、光学特性が異なるがゆえに光が当たる方向が違うと2色または3色に見えることで、アレキサンドライトの場合は赤、橙、緑の強い多色性を示すことも覚えておきましょう。

金目が美しい!アレキサンドライトキャッツアイとは?

シャトヤンシー効果つまり猫目模様を呈するものは、針状結晶のインクルージョンを多量に含む場合は比較的多くの宝石に見られ、同じくクリソベリル種に数えられるアレキサンドライトも例外ではありません。

アレキサンドライトでもそのシャトヤンシー効果を見せるレアな宝石は、アレキサンドライトキャッツアイと呼ばれ、本家アレキサンドライトを上回る価値と珍しさを誇ります。

カボションカットを施したアレキサンドライトキャッツアイは、大粒カラットで尚且つ深さのあるカットが施されたものが、非常に優れたシャトヤンシー効果を産みます。特にブラジル、ロシアのウラル産の石は高品質です。

アレキサンドライトキャッツアイを選ぶコツとしては、そのお財布事情はさておき、まずは変色効果の高さと色の濃さ、そして目が途切れていないか、またセンターに見えるのかが重要なファクターになってきます。

クリソベリルキャッツアイは好き嫌いが分かれる宝石ですが、アレキサンドライトキャッツアイのゴージャスな色合いの揺らめきは、女性の指、首または耳元に落ち着いた洗練さを加えてくれます。

気になる相場に関してピンキリですが、ジュエリー加工してあるジェムクオリティーのジュエリーでも10万円程度から購入できるので、気になる方はコレクションに加えてみてはいかがでしょうか?

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まとめ

今回はキャッツアイとして知られているクリソベリルキャッツアイについて解説してみました。クリソベリル自体あまり存在感が薄い宝石ですが、ひょっこり浮かび上がる猫目模様は魅力的!

万人ウケする宝石ではないからこそ、自然という偶然が生み出す猫目を遠い目で愛でながら、その世界観に浸ってみてはいかがでしょうか?特に秋から冬のファッションと相性が良いので、日々のお洒落のアクセントになること間違いなし!

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