普段何気なく身に着けている、またはショッピングをしていると、ふと気が付くことがあります。このジュエリーにある粒というか模様は一体なんなのだろうと。
ジュエリーの美しさは地銀に宝石によるものだけではありません!そのデザインがジュエリーの魅力を減らしたり、もしくは助長していくのです。

今回は最近流行の兆しがある粒々、ミル打ちについて解説していきたいと思います。

ミル打ち加工とは?古来から伝わる彫金技法とその魅力

ここではまず宝飾史の上でも欠かせないミル打ちのことを徹底解説していきます。長い歴史を持ち、そしてモダンジュエリーでも欠かせない興味深い技法の世界を少しだけ一緒に覗いていきましょう。

ミル打ちの定義と歴史

ミル打ち、ミル打ちと言葉だけが先行している感がありますが、正式の名前はミルグレインです。日本語に訳すと「千の溝」でしょうか。
簡単にこのミル打ちを説明すると、タガネで金属を打ち、その後にヤスリで微調整を重ね、まるで千の玉が並んでいるかのような半円球を打刻していくことです。
とても難しく神経をすり減らす彫金技法として知られており、職人の腕がダイレクトにミルの質に反映される為、いかにレベルの高い職人に依頼するのかが大切になってきます。

ギザ十のようなギザギザの硬貨の側面部分を思い出して頂ければ、何となくそのイメージはつかめるはずです。
このミルグレインはプラチナが宝飾品として加工されるようになる1900年代初め、宝飾史でいうとエドワーディアンと呼ばれる時期から顕著に見られるようになった技法です。
ゴールドにも勿論施されますが、特にプラチナを地銀に使ったジュエリーに多用され、その美しさを底上げする重要な技法として知られています。

ミルを打つ方法を検証

最近は20世紀初頭に流行したミル打ち技法を学ぶ講座や彫金教室でもミル打ちを学びたいという学生が増えていると聞きます。
さてここではどのようにミルを打つのかについて解説していきましょう。

前述のように基本はタガネで一粒一粒打ち込み、ミルを連打していくのがスタンダードな方法です。しかしとても難しく神経を集中させねばならなりません。
またミルが既に形成された型押しを地銀に押し付けて、一定間隔のミルグレインをメタルに打刻する方法も多くの工房で利用されています。

この他にはワックスにミルグレインを施したように見える型を形成し、そこに金属を鋳造する形でミルが施された地銀を量産するという方法もあります。最近は3D CADソフトを利用することで、ミスのない計算されつくしたデザインを均一に美しく作ることができるようになりました。

それぞれの手法に一長一短があり、コストを重視するのか、または徹底的な美しさを追求するのかによってミルの打ち方の選択肢も異なってくるのです。

粒々にも種類がある!

丸々とした粒がミル打ちと思われていますが、昨今はその種類にも幅が出てきました。半球上ではなくハート型のものや、山型のギザギザ模様など様々なミルグレインが登場しています。

スタンダードで人気のあるものはやはり通常の半円球のミルグレインですが、最近は女性らしさを前面に出したハートのミルグレインも人気です。ハートなのに遠目では全くハートには見えない為、過度にキュートになり過ぎないのが特徴的と言えます。
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ミル打ちは男性にも人気、その理由を検証

実はメンズジュエリーにもミル打ちはよく利用されるのです。ここでは宝飾品に疎い男性にもミル打ちが人気の理由の訳を解説していきたいと思います。

マリッジリングで多用!男性の指先のお洒落を応援

まず男性が着用するミルグレインジュエリーの代名詞はといえば、マリッジリングです。多くの男性の薬指にミルが打ち込まれた結婚指輪をみることができます。
基本男性は仕事面でも過度な装飾品を身に付けることに躊躇いがちですし、そもそも宝飾品に興味がない方も少なくありません。

それでもミルグレインが人気の秘密は、まずシンプルでありながらさり気ない匠の技を実感できる秀逸なデザイン性の高さにあります。そして何気ない毎日でも普段使い出来るからこそ、ミル打ちを施したマリッジリングは男性に支持されるのでしょう。
また装着していくうちに、擦れて傷が増えることで、どこか熟成した魅力といいますかアンティーク調の雰囲気が出てくることも男性に人気の理由です。

美意識の高い男性はミル打ちを施したフルオーダーのカフスボタンやネクタイピンを着用する方も少なくありません。
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ミル打ちを施したジュエリーの一長一短とお手入れ方法

最後にミル打ちを施したジュエリーのメリット、デメリット、そしてそのお手入れ方法について解説していきたいと思います。

ミル打ちのメリット、デメリットまとめ

まずメリットとして挙げられるのが、シンプルなバンドリングにも立体感のあるデザイン性を付加できる点です。更に武骨な印象を和らげ、上品に見せてくれます。また傷が目立ちにくくなることと、宝石をセットしていないにも関わらずキラキラと煌く佇まいを楽しめる点もポイント高し!

過度な装飾ではないので、前述の通り男性が使うジュエリーにも多用できる点も大きな魅力と言えますね。

逆にデメリットに関しては、地銀の柔らかさ、着用頻度によって摩耗が生じてミル部分がつぶれるまたは薄くなっていく可能性が考えられます。プラチナのように粘性の高い金属は比較的長期間ミル打ちも残りますが、柔らかいゴールドなどは注意が必要です。

またミルとミルの間に汚れが詰まったり、体型が変化することでリングサイズを変更する場合などは、サイズ変更を断られたり、高い工賃を要求される場合も少なくありません。

注意点とお手入れについて

ミルグレインが打ち込まれたジュエリーはリングだけでなく、ピアスやイヤリング、ネックレスなど様々です。しかし特に注意が必要になってくるのは指輪です。
つまり洗い物や入浴、プールなどに入る際も付けっぱなしで着用される方は、その分摩擦や汚れに対して無防備な状態になるので、その際は指輪を外す方がベター。

宝石などのように過度に神経質になる必要はありませんが、それでもリングをぶつけてミル部分が損傷したりすることも考えられます。
その為TPOを考えて着用、離着をコンスタントに行うこと、そして定期的に超音波洗浄機などでクリーニングをしていきましょう。
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まとめ

ミル打ちの魅力皆さんに伝わりましたか?

決して女性だけの専売特許にならない控えめだけど上品なミルグレインは、性別の垣根、世代を超えて人気のスタンダードデザインです。

欧州から伝わった宝飾史でも無視することができない伝統技法のミルグレイン、リングやピアス、ネックレスなど様々なジュエリーにミル打ちは施されているので、ぜひその芳醇な魅力を貴方自身で実感してみてくださいね。

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