日本でも色石ファンは多く、最近では、産地や加熱・非加熱などの要素を重視してルビー・サファイアを選ばれる方も増えて来ました。
この記事では、ルビーやサファイアを購入する際に気になる、加熱・非加熱の違いと、価値に与える影響などをご紹介して行きたいと思います!
Contents
ルビー・サファイアに行われる加熱処理について
◇加熱処理は95%のルビー・サファイアに施されている
加熱処理は、色の淡い・薄いコランダム(ルビー・サファイアはコランダムの1種)一般に行われる、色の調整処理です。
結晶そのものが美しいルビーやサファイアはなかなか発掘されず、天然の状態のままで市場に出回るものは5%以下と言われています。
また世界的な需要も高いため、加熱処理を加えることで美しい色を引き出す処理をほどこしたものがほとんどを占めているのです。
◇加熱処理とは?
加熱処理をすることで、コランダムに多いシルクインクルージョンを溶解して透明度が上がったり、淡泊な色合いを濃くしたりして、色むらの少ないルビーやサファイアにすることができます。
とはいっても、もともと結晶中にある微量元素が科学的反応を起こして色や透明度に変化さがおきるものなので、本来宝石の持っていた力を引き出すための手助けをしていると考えると良いですね。
1つ気を付けたいのは、フラックス法加熱と呼ばれる処理方法。
フラックス法加熱では、高温で溶かした溶剤をルビーに流し込んで色の透明度を変えるので、宝石そのものが持つ力を応用した自然な方法ではありません。
価値が下がってしまいます。
熱処理がされたルビーやサファイアは劣化する?
自然光はもちろん、電球、蛍光灯などは影響せず、色合いや透明度が劣化することはありません。
色褪せの心配も、もちろんありません。
加熱・非加熱は目で判断できるの?
ルビーやサファイアの加熱・非加熱は、目視での確認がむずかしいものです。
宝石に通じたプロであれば、ルーペを使ってルビー・サファイアのシルクインクルージョン(絹糸のような外観をしていて、針状のインクルージョンが60度で3方向から交差してみえます)の有無から加熱・非加熱の検討を付けることも不可能ではありません。
というのも、加熱をしたコランダムはシルクが融解して、あまり見えなくなるからです。
加熱処理後のルビーではシルク状ではなく円盤状に砕けた形のものや、丸い綿の様なインクルージョンが見られることも。
フラックス加熱法ではベタリとしたような、白黒の内包物が見られます。
とはいってもプロでも加熱か非加熱かを見分けるのはむずかしいところです。
たとえば、タイ産ルビーには、そもそもシルクインクルージョンが少なく、産地によっても特徴が変わってきます。
確実に判定するのであれば、宝石の鑑別書(証明書)に記載されたルビー・サファイアの過熱・非加熱から判断するのが良いでしょう。
加熱処理をされていると、価値は下がるのか?
ジュエリー市場にあるルビー・サファイアの95%は加熱処理をされたものです。
ということは、加熱処理が前提で販売される宝石とも言えますよね。
鑑別書やソーティングで「通常、○○が行われています」と記載されれば、素質を引き出す処理をしていることを意味するので、天然ルビー・天然サファイアとして見なされます。
そのため、非加熱のルビーやサファイアにくらべて著しく値段が下がったり、価値がなくなったりといったことはありません。
とはいっても、ほんの一部ですが、稀に加熱処理の必要がないほど色合いの美しいルビーやサファイアもあります。
カラット・色の濃さ・透明度において、同レベルの加熱・非加熱されたルビーやサファイアであれば、希少性から非加熱のものの方が価値はアップします。
非加熱を重視するあまり、色や質を落としてしまうよりは、天然の範囲で加熱処理をされた美しいルビー・サファイアの方が資産価値としては高いものになるでしょう。
ミャンマーのモゴック産のルビーが注目される理由
ミャンマーのモゴック鉱山は「ピジョン・ブラッド(鳩の血)」と呼ばれる深く落ち着いた紫よりの赤色を有するルビーの産出地として、世界中の宝石コレクターファンの羨望の的となっています。
さらに他の産出地では見受けられない、紫外線に対する反応が強く、紫外線を照射した際の色反応が「蘚赤色」にちかい鮮烈な赤色反応を示すこと。
太陽下でもっともキラキラと美しさを発揮するのが、ミャンマーのモゴック鉱山のルビーの特徴になります。
ですが、ここで残念なお知らせが…。
近年はモゴック産からの産出はほとんどなく、一昔前のものが高値で取引されているのが実状です。
モゴック産に近いルビーとしてアフリカのモザンビーク産ルビーが注目を集めていますが、こちらも発掘量はとても少ないのです。
モゴック産やモザンビーク産のルビーにお目に掛かれるだけでも、幸運かもしれません。
まとめ
ルビーやサファイアの価値や評価は、加熱されているからといった理由で大きく変わりません。
そもそも市場に出回るルビーやサファイアのほとんどが加熱処理を施されているからです。
非加熱だけにこだわらず、宝石本来の美しさの価値を決める、色・透明度・カラット・カットの良し悪しで選ぶと後悔のない一生もののルビーやサファイアが購入できるでしょう。
ご予算に余裕があれば、非加熱かつ色と透明度が高いカットも美しい天然ルビーやサファイアをご検討されるのは間違いではありません。
さらにカット数が上がれば、より一層、宝石としての資産価値は上がるものになりますよ。
ぜひ、ルビー・サファイアを購入の際の豆知識として活用してもらえたら嬉しいです!