ダイヤモンドは世界で一番硬い鉱物として知られています。
しかしダイヤモンドより硬い物質が発見されました。
この驚くべき見出しに息を飲んだ宝石愛好家、業界関係者は決して少なくないはず!
今回は気になって仕方ない、ダイヤモンドより硬い物質について徹底検証していきたいと思います。

この世で一番硬い鉱物はダイヤモンドじゃなかった!

「世界一硬い物質はダイヤモンドなり!」

小学生でもわかるそんな方程式がついに崩壊する時が来ました。ダイヤモンドの硬度を上回る物質発見、なんとも興味深いニュースに思わず心が躍ってしまいそう!

ここではそんな興味深い新発見を、ダイヤモンドの硬度とその指標になるモース硬度の解説を交えながら概要をお話していきたいと思います。

ダイヤを超えるモース硬度がある物質とは?

物質の硬さはモース硬度と呼ばれる、鉱物の硬さの程度を示す指標になり、それぞれの鉱物を特徴付ける一つの要素になっています。ひっかき傷のつきやすさでその硬さを測るわけですが、世界で一番硬いと思われてきたダイヤモンドは硬度の観点で見ても、ダイヤモンド同士でしか傷をつけられない、硬度10を誇っています。

ダイヤモンドのモース硬度を超える鉱物はないと言われてきましたが、実はあるんです!それらがダイヤモンドのような宝石質を誇る訳ではありませんが、その硬さに限ればダイヤモンドのそれを超越しています。

その中の一つは宇宙空間にしか存在しないと考えられていた鉱物であり、比較的新しい、と言いますかごく最近その存在が世に知らしめられた新種の鉱物として世間をアッと言わせたのです。

ダイヤモンドより硬いと何かあるの?と言われれば言葉に詰まりますが、今までのダイヤモンド=世界で一番硬い、という常識が崩れる、それが知的好奇心をくすぐり、そして鉱物の未知なる世界へ私たちを誘うのです。

次項では詳しくそれらの鉱物について解説していきたいと思うので、興味の扉を開いてその実態を考察していきましょう!
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必見!ダイヤモンドより硬度の硬い物質3選!

ダイヤモンドより硬いということは分かったけれど、肝心の宝石としての価値はどうなのかしら?ジュエリーに加工できるの、もしくはネット通販もしているのかしら?などの疑問に駆られる方も多いと思います。

ここでは各物質の特徴を徹底検証していきたいと思うので、ぜひぜひベーシックナウレッジを身に着けて、会話の種が尽きた際のネタにしてみてくださいね!

カルメルタザイト

カルメルタザイト、聞いたことのない鉱物ですね……。それもそのはず、こちらは2019年に新発見された新種の鉱物だからです。

イスラエルのshefa yaminiカンパニーが見つけたこちらの鉱物は、通常地球では産出されないものと考えられた為、鉱物業界はちょっとしたお祭り騒ぎに。産出される鉱山はzevulun渓谷近くのcaramel鉱山、その鉱山名をもじりカルメルタザイトと名付けられました。

カルメルタザイトはZrAl2Ti4O11という化学組成からなり、サファイアと同様に酸化アルミニウムを含んでいることから、美しい青~緑、橙~オレンジ色のまるでコランダムのような発色を見せています。

分析結果からもダイヤモンドより硬い新種の鉱物として認定されており、その希少性、美しさからも、宝石市場に登場した際はダイヤモンドを上回る価値になると言われている鉱物です。

現在は33.3カラットの原石が見つかっているそうで、今後の採掘次第では、希少石マーケットはカラメルタザイト一色になるかもしれません。

ウルツァイト

ウルツァイトは前述のカラメルタザイトと比べてもその発見自体は1967年に遡ることができるので、新種の鉱物ではありません。窒素とホウ素からなる窒化ホウ素で、様々な元素と結びつき化合物を作りますが、ウルツァイトの窒化ホウ素構造は基本的にダイヤモンドと似た構造であるため、非常に硬い硬度を誇ります。

通常宝石質のものは産出されないと考えられていましたが、タンザニアで透明度の高いものが採掘されたため、極々稀にではありますが深紅のガーネット様のウルツァイトルースも売買されています。

なお中国の大学の研究グループによるとウルツァイトの硬度は、ダイヤモンドよりも18%程度高いことが判明しており、ダイヤモンド同様に切削工具などの工業分野に活用されているそうです。

ロンズデーライト

最後にご紹介するロンズデーライトと呼ばれる鉱物は、等軸晶系のダイヤモンドとは異なり六方晶系という結晶系を持つことから、六方ダイヤモンドなる異名を持っています。炭素を含む隕石の衝突の際に発生した鉱物とされており、研究者であるキャサリン・ロンズデール博士の名前からその鉱物名が取られました。

なおロンズデーライトは前述のウルツァイトよりも硬いことが分かっており、ダイヤモンドよりも約58%ほど硬度が高いそう……。ただしこの数値はあくまで純度の高いロンズデーライトのもので、結晶系にある種の欠陥や不純物を含有している場合には、その硬度が著しく下がることが分かっています。

なおロンズデーライトは黄色~灰色の色合いを見せており、ダイヤモンドとは異なり宝飾加工に利用されることはありません。
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まとめ

なんだか聞きなれない名前ばかりで、ダイヤモンドより硬いという触れ込みがなければ、その名前もなかなか覚えられません。ダイヤモンドより硬くともその希少価値がダイヤモンドを上回るかは謎ですが、カルメルタザイトはサファイアの中に宇宙を覗き込んでいるような神秘的なルックスがゆえに、カルメルサファイアという市場ネームで宝石業界進出間近ともいわれています。
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