ダイヤモンドは世界一丈夫な宝石だから付けっぱなしでも大丈夫!炊事洗濯、シャワー時にも外さずにダイヤモンドの輝きを楽しんでいる方も多いと思いますが、実はダイヤモンドが割れる、または欠けることは決して少なくありません。

今回はそんなダイヤモンドが損傷する原因である劈開性、そしてその対策方法について解説していきたいと思います。

世界一硬い宝石ダイヤモンドも割れるって知っていた!?

女性を魅了して止まない、それがダイヤモンドです。意識的にダイヤモンドは硬いというイメージを抱きがちですが、ダイヤモンドには劈開性という厄介な性質を持ち合わせている為、意外や意外割れや欠けを生じることも少なくありません。

ここではあまり知られていないダイヤモンドが割れる原因である劈開性、そしてその対策について考えてみたいと思います。

ダイヤモンドが衝撃に弱いという事実!劈開とダイヤモンド

劈開とかいて、「へきかい」と読みます。なかなか難しい漢字ですが、つまるところ「結晶がある特定方向に向かって、割れるもしくは剥がれることで、その平面を露出する性質」のことを言います。

ダイヤモンドの結晶は八面体をしていますが、その八面体の中でも原子間の結びつきが弱い4方向に限り、衝撃を与えることで簡単に層状に剥がれ落ちてしまいます。

より理解しやすくするために、ダイヤモンドの劈開性を木の木目に例えてみましょう。木は単一に流れる木目に沿って斧を入れれば、スパーンと綺麗に割ることができますよね?それと同様にダイヤモンドの劈開性を持つ面に衝撃を与えれば、その面に沿って開裂することが可能になるのです。

なお層状に剥がれた面を劈開面と呼び、ダイヤモンドの研磨はこの劈開性を利用してカッティングされています。

この劈開性がなければ、今私たちが目にしているような58面体のラウンドブリリアントカットが誕生せず、いまだにポイントカットやテーブルカットのダイヤばかりだったかも!と考えると、どこか感慨深いものがありますね!

同時に覚えておきたい!モース硬度と靭性について

前項でダイヤモンドの劈開性、劈開面に関して解説してみましたが、勿論原子同士の結びつきが強い面は強靭な耐久力を誇ります。

因みにダイヤモンドに限らず鉱物の特性を理解する上で、劈開性と同時に理解しておきたい事象としてモース硬度と靭性があります。皆さんも硬度と靭性は、どこかで聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか?

モース硬度はいわゆる鉱物の硬さの尺度のことを言い、1~10で表されます。モース硬度をわかりやすく説明すると、鉱物に対する引っ掻き傷のつきにくさの事です。ダイヤモンドは勿論鉱物の中では一番モース硬度が高い10で、一番脆弱な鉱物はタルクです。

例えばタルクに爪でギュッと押し付けると、簡単に傷がついてしまいますが、ダイヤモンドはダイヤモンド同士でしか傷をつけることはできません。ちなみに人間の爪のモース硬度は2.5程度です。

もう一点覚えておきたいのが靭性について。靭性は粘り強さのことを意味しており、割れにくさを表し指標の事です。

ダイヤモンドの靭性は7.5と強くなく、サファイアやルビーなどのコランダム、ヒスイは8とダイヤモンドより強い物理的な耐久性を誇っています。なかなかダイヤモンドをハンマーで叩き割る機会はありませんが、実際ダイヤモンドをハンマーで勝ち割ることは可能です。こうしてみるとダイヤモンドは世界最高の硬度を誇るのは事実ではありますが、実際は劈開性、そして靭性がゆえに、割れる、欠ける可能性が十分考えられる鉱物と言えます。
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その輝きを永遠に楽しむ為に!ダイヤモンドの取り扱いの注意点

婚約指輪に代表されるソリティア、エタニティー、ハーフエタニティーリングだけでなく、ダイヤモンドは女性のジュエリーに欠かせない特別な宝石です。特にダイヤモンドがセッティングされたリングを装着する場合にはいくつかの留意点があるので、ここでは長くダイヤモンドを愛でる為にできるポイントについて解説していきたいと思います。

スポーツや力仕事の際は装着しない

ダイヤモンドの特質を構成する劈開性のみを意識して、ダイヤモンドジュエリーをタンスの肥やしにしてしまうのは勿論行きすぎです。通常ダイヤモンドの損傷はそのセッティング、カット、ダイヤモンドのインクルージョンや既にある欠けなどが起因になることがほとんどなので、私たちが日常生活でできることはそこまで多くはありません。

あえて例を挙げるなら、極端な力がかかる恐れがある激しいスポーツ時には避けること。例えばテニスなどはラケットがダイヤモンドにぶつかることも十分考えられるので、特にリングの場合は腕を多用するスポーツに注意が必要です。

引っ越しやアウトドアワークなどに関しても同様で、ふとした瞬間にダイヤがセットされたジュエリーが落ちたり、どこかにぶつける可能性が高い状況においては、ダイヤモンドジュエリーは外しておくのが無難と言えます。

また劈開性ではありませんが、ダイヤモンドリングを重ね付けしている、または同じジュエリーボックスに保管している場合、ちょっとした衝撃でダイヤ同士がぶつかり合うことで、ダイヤモンドが欠ける場合もあるので、その点に関しても覚えておいてくださいね。

ダイヤモンドを留めている爪の状態は定期的にチェック!

ダイヤモンドを留めている爪の部分の強度が弱まっている場合も要注意!ダイヤモンドの安定性を司る爪の部分が破損したり、緩くなっている場合は、それがダイヤモンドの損傷における間接的原因に繋がることも考えられます。

特に支える爪が少なかったり、服に爪が引っ掛かりやすい山高タイプの物は爪が部分的にダメージを受けることもあるので、定期的に指輪のメンテナンスを行うことを怠ってはなりません
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まとめ

固定概念として、ダイヤモンドならばどんな状況下でも耐えうる耐久性を持っていると勘違いしがちです。しかし実際は一定方向の衝撃に弱い劈開性があるため、えっ!と思った瞬間に、大切なダイヤモンドが割れてしまう事も……。

基本的に熱や酸に強い宝石ではありますが、非常に重い荷物を運ぶ際や、激しいストロークがかかるスポーツをする際は、念のためダイヤモンドを身に着けるのは避けるべきです。特にダイヤモンドリングの場合は、より衝撃が指先に伝わりやすいので注意を払わなければなりません。

各鉱物には異なる強度、靭性そして劈開性があるため、100%損傷を防げる耐久性を誇る宝石は存在しないのです。そのためそれぞれの鉱物の特徴をしっかり踏まえた上で、そのジュエリーを愛でる工夫をする必要があるということ、その点はしっかり心に留めておいてくださいね!
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