珊瑚は海から生まれる貴重な宝石です。
古来より人を魅了してきた珊瑚は、赤、白、ピンクなど個性的な色と輝きを与えてくれます。
普段ジュエリーに囲まれている人でも、珊瑚についてはあまり知らない人も多いでしょう。
今回は、あまり知られていない珊瑚について紹介していきます。
Contents
ジュエリーに使われる珊瑚と珊瑚礁は違う
珊瑚はコーラルとも呼ばれていて、海から生まれる赤い宝石として、古くから人を魅了してきました。
ジュエリーに使われる珊瑚は赤い色をしているものが多いですが、珊瑚礁と呼ばれる浅瀬の白い珊瑚とは何が違うのでしょうか?
ジュエリーに使われる珊瑚と珊瑚礁の違いについて解説していきます。
珊瑚は虫によって作られる
実は珊瑚はイソギンチャクと同じ分類の生物です。
珊瑚は木のような形をしていますが、おおもとは珊瑚虫と言われる生物が集まり吸収され、硬い骨格を形成して樹木のように成長していきます。
宝石珊瑚
ジュエリーに加工される宝石珊瑚は、太陽の光が届かない深海で成長します。
珊瑚虫のなかでも、8本の触手を持った「八放珊瑚」という種類が宝石珊瑚を作り出します。
宝石珊瑚は、カイサイトでできた骨格を作り、硬い珊瑚になるのが特徴です。
1年でも1㎝成長するかどうかほどのスピードで、ゆっくり成長していきます。
深海で成長するため、宝石珊瑚は引き上げ作業が必要で、貴重なものでもあります。
珊瑚礁
珊瑚礁は、太陽の光が届く浅瀬の暖かい海で育ちます。
珊瑚礁を作り出す珊瑚虫は、6本の触手を持った「六放珊瑚」というもので、宝石珊瑚を作り出す珊瑚虫とは種類が異なります。
成長するスピードが早く、1年で10㎝ほど成長する種類もあります。
珊瑚礁は海の森とも呼ばれ、魚たちが住むなど海の環境にも影響する存在です。
ただ、骨格はもろく、小さな穴が多数開いているので、ジュエリーには加工できません。
宝石珊瑚の種類
宝石珊瑚は、約2万年前に発見されたとも言われるほど歴史が古く、ギリシャ神話にも登場します。
ジュエリーに使われる珊瑚は、血のように赤い「血赤珊瑚」が最高級であると言われていますが、産地によって色の特徴があるので、覚えておくと良いでしょう。
赤珊瑚
赤珊瑚はその名の通り赤い珊瑚で、枝も細かく密集しています。
主な産地は日本で、高知県沖産のものがとくに有名です。
血赤(ちあか)と呼ばれる真っ赤な珊瑚は英語では「オックス・ブラッド」とも呼ばれていて、世界でも希少で最高級品です。
ヨーロッパでは「トサ」と呼ばれることもあります。
白珊瑚
珊瑚は赤やピンクに近い色などを思い浮かべるかもしれませんが、白色の珊瑚も存在しています。
主な産地はミッドウェイ海域(中部太平洋)や南シナ海、東シナ海などです。
色は、純白のものから象牙色、薄いピンクが一般的ですが、純白の珊瑚は、かなり貴重で高価でもあります。
また、生息域も深海100m~400mほどと言われていて引き上げが大変でもあります。
桃色珊瑚
桃色珊瑚はその名の通り、ピンク色をした珊瑚です。
色は赤からオレンジ、ピンクまでと幅広いのも特徴で、可愛らしいジュエリーに加工されることも多いです。
ピンクの色調が淡いものは、「エンゼルスキン」とも呼ばれ、かなり希少でもあります。
日本近海に生息しているとも言われ、他には西太平洋にも生息しています。
紅珊瑚
地中海珊瑚とも言われ、地中海が主な産地です。
ヨーロッパからシルクロードを渡り、中国を経て、日本に伝来したのはこの紅珊瑚で、「故渡り」とも呼ぶことがあります。
赤珊瑚と似ていますが、材質はやや柔らかめです。
人が潜って採取できるほどの浅い場所に生息していますが、海の浸食の影響を受けやすいです。
しかし、色ムラが少なく、加工後の仕上がりは統一感があり、綺麗なジュエリーとなります。
深海珊瑚
深海珊瑚は、水深1000mを超える深海で育つ珊瑚です。
白色がベースで、ところどころマーブル状にピンクが入る、個性的な珊瑚でもあります。
主な産地はハワイ沖からミッドウェイ海域の中部太平洋です。
水深1000mもの深海から引き上げるため、急激な水圧の変化で傷が付くことが多いようです。
宝石珊瑚はデリケート
海から生まれる宝石珊瑚はとても貴重で、デリケートなジュエリーでもあります。
生物から作られる宝石珊瑚の主な成分は、炭酸カルシウムです。
パールと同じように、お手入れをしないと劣化しやすくなってしまいます。
珊瑚のお手入れについて紹介します。
使った後は柔らかい布でふく
珊瑚の主成分の炭酸カルシウムは、酸に弱いです。
そのため、汗や化粧品などが付いたままだと、表面が溶けてしまいます。
珊瑚のジュエリーを身に付けた後は、柔らかい布で優しく汚れを落としてからしまいましょう。
日差しや高温に注意
珊瑚は、生物から作られる宝石なので、鉱石とは違い紫外線や熱、高温にも弱いです。
保管する際は、暗く涼しい場所にしましょう。
他のジュエリーとは別で保管
珊瑚は柔らかいため、他のジュエリーが当たるとキズができてしまいます。
同じジュエリーボックスにしまうにしても、場所を分けたり、小さい袋に入れたり、他のジュエリーとぶつからないようにしましょう。
日常でも珊瑚ジュエリーをワンポイントで楽しむ
赤い珊瑚は、鉱石とは違った印象を与えてくれるジュエリーです。
さりげなく日常の装いにプラスすると、コーディネートの楽しみが増えますね。
まとめ
珊瑚は古来より人を魅了してきた、海から生まれる神秘的なジュエリーです。
血のように赤い珊瑚は最高級品でもありますが、ピンクや白など、他の色合いのものも貴重です。
日常で珊瑚を使ったジュエリーを長く楽しむために、お手入れもしっかりしましょう。