あらゆるものを大きく観察できる虫眼鏡

虫眼鏡(むしめがね)もルーペもある対象物を拡大して見る器具です。一般に拡大鏡と言われています。虫眼鏡は拡大率が3倍前後の低倍率を言います。一方のルーペは5倍以上を指すことが普通です。10倍、15倍、20倍、30倍のルーペが市販されています。(両者の間に明確な区別はありません。)
虫眼鏡は江戸時代において、紙筒に虫(昆虫)を入れて凸レンズで観察したことから、このような名前が付けられた、と言われています。ルーペはドイツ語で拡大鏡の意味です。
虫眼鏡は子供の頃から身近にある器具で、どの家庭でも所有しているものと思われます。
丸いガラスに棒状の取っ手が付いた単純な拡大鏡です。虫眼鏡の使い方は自由です。特別な規則はありません。
宝石を観察する場合、細部を詳しく見る必要が無いときは虫眼鏡で充分です。虫眼鏡を使って得られる情報も宝石の鑑別に有効です。

宝石をルーペで観察するときのルール

他方、宝石に対してルーペを使用する場合、一定の習慣、規則があります。

  1. 宝石を観察する場合、ルーペの倍率は国際的に10倍が普通です。
  2. 特にダイヤモンドの評価を行う場合、10倍のルーペで観察して評価することが決まっています。
  3. 宝石を観察するとき、ルーペを目に接近させて使います。(→接眼固定)
    この理由は、このように使ったときに10倍になるように工業的に設計されているからです。他の理由は視野が広がるからです。
  4. ルーペで宝石を観察するときは両目を開けて観ることが原則です。(→両目開眼)
    この理由は片目を閉じて観察すると、目の周囲の筋肉が疲れるからです。
  5. ルーペは目に接近させて使いますので、対象物(宝石)を動かしてルーペに近付け、焦点が合うようにします。ルーペと対象物の距離を約2.5センチに保つと、対象物がはっきり、くっきり見えます。
  6. ルーペで宝石を観察する場合、光をうまく取り入れるように宝石を少し傾けることも必要です。(→採光工夫) いくつかの宝石をルーペで観察すると、徐々に採光がうまくなります。少し経験を積むと、よく見えるようになります。
  7. 半透明や不透明の宝石をルーペで観察する場合はペンライトが役立ちます。窓や室内の明かりだけでは宝石の内部が見えません。ペンライトを当てると、新しい情報が得られます。
  8. ルース(裸石、貴金属にセッティングされる前のカットされた石)でなく、宝飾品を鑑別するときは、刻印も極めて重要な情報になります。ルーペでPt950などの刻印を観察します。ルースが価値ある石、本物の石であることの証拠です。
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