宝石の輝きを保つための硬さ

宝石の三条件のひとつに「硬度」(硬さ、ハードネス、Hardness)があります。硬度は宝石の耐久性に大きな影響を及ぼします。特に透明石の場合、硬度が低いと、テーブル面にスリ傷が発生し、輝きが低下して宝石の本来の美しさが損なわれます。
宝飾品を購入された消費者(顧客)の方に長く美しい状態で使っていただくには、宝石自身が一定の硬度を持っていることが必要です。その硬度の目安は数値で表示すると、7(モース硬度7)以上が望ましいと考えられています。

硬さとはまた別の「粘り強さ」という基準

耐久性に関して、硬度とは別に「靱性」(タフネス、Toughness)という性質を考慮する必要があります。靱性は粘り強さです。宝石に対して外部から加えられる突然の衝撃に粘り強く耐える性質です。
世界の宝石業界で一般に使われる硬度はモース硬度です。この硬度は別名「引っ掻き(ひっかき)硬度」とも言われています。
Aの石とBの石をお互いに擦(す)り合わせ、引っ掻いて、どちらの石にスリ傷が付くかどうかで硬さを判定します。A石の表面にスリ傷が発生し、B石にスル傷が見られない場合、A石よりB石が硬いと判定されます。
そして、硬度試験を行うとき、標準石として10石が設定されています。未知の石に対して硬度試験を行うときは、この標準石を使用します。
宝石が日常の中で装着されるとき、その宝石はスリ傷を受ける場面と何かに突然ぶっつけられる場面の両方があります。二つの場面での宝石の耐久性は、前者の場面では硬度の大小に影響されます。後者の場面では、靱性の大小に影響されます。

硬度と靭性は別モノ

靱性について、公認された試験方法や公認された宝石の靱性度が出されているわけではありません。およその数値が宝石関係資料に掲載されているだけです。下表の通りです。
この表を見ると、モース硬度10のダイヤモンドが最も靱性が大きいわけではありません。靱性度は7.5です。
ヒスイの靱性度は8です。ヒスイはぶっつけても叩いても、なかなか割れません。
靱性度5未満の石を宝飾品に使用する場合は、企画段階でデザイン処理をしておくべきです。

靭性度 宝石名(括弧内はモース硬度)
10 カーボナード(10)
9
8 ヒスイ(7)、ネフライト(6.5)、コランダム(9)
7.5 ダイヤモンド(10)、クォーツ(7)、アクアマリン(7.5)
7
6.5
6 ペリドット(7.5)
5.5 エメラルド(7.5)
5 トパーズ(8)、ムーンストーン(6)、ジルコン(7.5)
4.5
4
3.5 アパタイト(5)
3 クンツァイト(7)

参考:タンザナイトの靱性は5未満と推測。               ―以上―

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