「ロビンの卵」に例えられる美しいブルー

年配の方にはトルコ石という名前がより馴染み深いと思われます。しかし、最近ではターコイズという表示がほとんどです。ターコイズはトルコ石の英語表記です。一方、ターコイズの色の表現としては、昔からトルコ・ブルーという言葉があり、青空のブルーを想像させる色です。
各国から産出するターコイズの色には幅があります。淡青色から濃青色、緑青色(緑色味を帯びた青色)、青緑色(青色味を帯びた緑色)などです。

好まれるターコイズの色は、国によって少しの違いはありますが、ひとつの目安として「ロビンの卵」が引き合いに出されます、ロビンとはアメリカのコマドリ(駒鳥)のことです。このコマドリの卵の色はターコイズの標準的な色に似ています。
右の写真はコマドリの巣の中に見られる卵です。青色の4個の卵が見られます。まるでオーバル・カボッション・カットされたターコイズのようです。(写真の出所:Steven Russell Smith)
実際に流通しているひとつのターコイズの色は、右の写真の通りです。このターコイズの色は上の写真の「ロビンの卵」とは少し色相が違います。しかし、均質で美しい空の青色です。※色味は環境により異なります。

宝石としては珍しい構成元素の発色

ターコイズのこの美しい青色は、どのようなもので発色しているのでしょうか。多くの宝石は特定の元素を微量に含むことで発色しています。ルビーの赤色はクロム元素に原因しています。ブルーサファイアの青色は鉄元素とチタン元素に原因しています。
ターコイズの青色は銅元素に原因しています。しかし、不純物として銅元素を取り込んでいるわけでなく、銅元素はターコイズの本体を構成しているひとつの元素です。この点が他の宝石と異なります。
多くの宝石は不純物としてクロム元素や鉄元素、チタン元素を少し含むことで発色しています。ところが、ターコイズは不純物を含まないでも青色に発色します。本体を構成している銅元素によって発色しているのです。
このように不純物に影響されないで、本体を構成している元素によって発色している宝石は「自色宝石」と呼ばれています。一方、微量の不純物を含むことで発色している宝石は「他色宝石」と呼ばれています。宝石全体の中では、圧倒的に他色宝石が多いです。
自色宝石は少ないです。ターコイズの他にペリドット、マラカイトなどです。
自色宝石は産出する色が一種類だけです。他方、他色宝石はいろいろな色で産出します。
例えば、サファイアは代表的な青色のブルーサファイア、オレンジ色のオレンジ・サファイア、緑色のグリーン・サファイア、黄色のイエロー・サファイアなど多様です。
ターコイズは自色宝石ですから、基本的に銅元素による青色だけです。しかしながら、微量の鉄元素が不純物として入り込むと、少し影響を受けます。鉄元素の割合によって緑色に寄ります。

右の左下の写真は鉄元素に影響されて緑色系になったターコイズを示しています。(写真出所:GIA)
多くのひとは全面が均質な青色のターコイズを好みます。しかし、人によっては緑色系のターコイズを好みます。また、民族によって色の好みも少し変わるようです。

美しいツヤを保つには表面処理が必要

ターコイズの色は、産出した原石の状態では不安定です。ターコイズは微細結晶の集合体です。ですから、原石を研磨した状態では、汗や脂が染み込んで変色する可能性があります。そこで、ほとんどのターコイズは表面にワックスを塗布する処理が行われています。あるいはワックスよりも安定するエポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、水ガラスなどを用いた処理が行われています。これらの処理によって、表面のツヤ(艶)が増し、色が安定します。
現在、ターコイズの主要産出国はアメリカと中国です。特にアメリカ産のスリーピング・ビューティ・ターコイズは広く知られています。このターコイズは色がスカイブルーで均質なことから人気です。この名前はスリーピング・ビューティ鉱山で産出したことに由来しています。今、この鉱山ではターコイズの採掘を中止して、銅鉱石を主力に採掘しています。
主要な産出地ではないですが、イランとシナイ半島は古くから良質のターコイズを供給して来ました。美しいスカイブルーの色と顕著な多孔質性が見られないため安定した強さが特長です。(多孔質とは、肉眼では検知できない無数の微細な孔があること)
色を表す用語として染料業界などでは、「ターコイズブルー」と「ターコイズグリーン」が使われています。世界でも日本でも標準色として両方の用語が使われています。
確かに自然界で産出するターコイズは青色系もあり、緑色系もあります。さらには濃淡もあります。
ターコイズの色について、最も好まれる色は「ロビンの卵」の色または「スカイブルー」の色です。そしてターコイズ全面にわたって均質の色がより高価格となります。
アメリカでは黒色や褐色の網目が見られるスパイダー・ウェブ・ターコイズが人気を得ています。しかし、世界全体で見れば、やはり均質な青色のターコイズがより高価格で取引され、スパイダー・ウェブ・ターコイズは次という位置付けです。
ターコイズの青色は銅元素に原因しています。そして、時に鉄元素を不純物として取り込むと、緑色を帯びることになります。宝石の中で銅元素によって青色に発色している例は極めて少ないです。ターコイズの他にパライバ・トルマリンが挙げられます。ブラジルのパライバ州で採れるこのトルマリンは美しい鮮青色から鮮緑青色です。このパライバ・トルマリンの青色は、ターコイズと同じく銅元素に原因しています。

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