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まんまるだけではない、海水パールのカタチ
百貨店の宝石フロアや街中にある宝石専門店で目にする真珠のひとつひとつの形は、ほとんど丸い形をしています。このような丸い形の真珠は、真円真珠、あるいは真球真珠、ラウンド真珠と呼ばれています。
真珠という名前を聞いて、多くの消費者が思い浮かべる形は真円真珠です。しかし、流通している真珠の形はいろいろあります。日本真珠振興会では、海水真珠について14種類の形に分けています。
流通している真珠の形はいろいろありますが、消費者が実際に出会う形は限られています。海水真珠では、真円真珠、バロック真珠、サークル真珠、ツイン真珠などです。
バロック真珠
真円と比較すると、変わった形に見えます。ですから、バロックと呼ばれています。
サークル真珠
サークル真珠は、アコヤ真珠や白蝶真珠よりも黒蝶真珠に多く見られます。
ツイン真珠
真珠の形状について、真円真珠がもっとも高価です。ですから養殖真珠をつくる企業は、丸い球状の核(素材は貝殻)を真珠貝に入れて、できる限り多くの真円真珠を生産するように努力してい
ます。
しかし、真珠貝は生き物ですから、すべてが人間の思い通りになるわけではありません。バロック真珠になることもあり、サークル真珠やツイン真珠になることもあります。
淡水パールは、どうして球体にならないの?
淡水真珠の形について、日本真珠振興会は14種類に分けています。淡水真珠とは河川や湖で養殖される真珠のことです。海水真珠に対比される用語です。
最近では真円の大粒の淡水真珠が出回ってきました。
淡水真珠は一般に無核です。核は丸く球状に仕上げた貝殻のことです。無核とは、この球状の貝殻を入れないことです。淡水真珠は無核ですから、真円になることは難しいです。
しかし、最近では淡水真珠も真円で大粒が増えてきました。有核真珠が増えてきました。有核とは真珠貝に核を入れて養殖し、その結果、真珠の中心部に丸い球状の核があることです。
小粒で核のないケシ・パール
小粒の真珠はケシと呼ばれていますが、その大きさは2ミリ以下をいいます。2ミリ以下の真珠を表すもうひとつの用語としてシードがあります。シードもケシも同義語ですが、シードは養殖真珠が発明(1907年)される前のヨーロッパで使われていた小粒の天然真珠を意味していました。
今、真珠市場ではケシという用語はふたつの意味で使われています。ひとつは2ミリ以下の小粒の真珠をいう場合、もうひとつは 無核真珠をいう場合があります。最近では、ケシは無核真珠という意味で使われることが多いです。
真の球体ではないから、真珠は人を魅了する
無核真珠といえば、天然真珠を思い浮かべますが、養殖の真珠貝でも無核真珠は生まれます。無核の天然真珠と無核の養殖真珠を識別することは難しいです。ほぼできません。
大珠(直径8ミリ以上)や中珠(6ミリ以上8ミリ未満)の養殖真珠には、中心部に球状の核(素材は貝殻)があります。養殖期間中にこの核の周りに真珠層が形成されます。
中心部に丸い核があるので、出来上がった真珠はすべて真円になると思われますが、生き物の真珠貝の中で真珠がつくられるため、なかなか思い通りにはなりません。真円にならないで、バロック(異形)がたくさん出てきます。
真珠は数ある宝石の中でも特異な存在です。真珠を除いて、ダイヤモンドもルビーもその他の宝石もカット(切断、研磨)されて外形が整えられます。真珠は真珠貝から出て来たままの形です。
真珠は生物がつくり出した宝石です。生物がつくり出すゆえに真円真珠といっても、球体のすべての個所で直径が等しいわけではありません。わずかな直径の違いが生物産の柔らかさを生み出しているかもしれません。
工業製品であるベアリング(鋼球)は、直径がほぼ等しい真の真球です。真珠が真の真球でないところにも人は魅かれるかもしれません。