皆さんはモンタナサファイアと呼ばれるブルーサファイアをご存知でしょうか?商業ネームではありますが、サファイア好きの方は一目その存在を置く非常に貴重な宝石として知られています。
今回はそんなモンタナ州で採掘されるそのサファイアの歴史、特徴をご紹介していきながら、気になるその価値についてメスを入れていきたいと思います。
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モンタナサファイアとは?アメリカモンタナ州で採掘された幻の色のサファイア
モンタナ州と聞いて何を思い浮かべますか?正直ググらなければピンと来ませんが、イエローストーン国立公園やインディアン居留地などで有名な自然豊かなアメリカの都市です。
アメリカには私たちが想像しているよりも多くの鉱物が産出されることはあまり知られていません。
ここではまずモンタナサファイアのイロハについてご紹介していきたいと思うので、ぜひサファイア好きの方は最後までお読みくださいね!
19世紀後半まで遡るモンタナサファイア発見の歴史
サファイアはミャンマー、スリランカ、インド、カンボジアにケニア、タンザニア、オーストラリアなど大陸を跨いで様々な国々で産出されます。その中でも希少性、美しさで伝統的に価値を高めてきたのが、今回ご紹介するアメリカはモンタナ産のサファイアです。
1890年代にまで歴史を遡るモンタナサファイアは、ヨゴ渓谷で産出するクリアなサファイアですが、採掘に際し非常に複雑なステップを要することもあり原石から加工されるルースは非常に小さくなります。なおモンタナ州では元々金の採掘が大々的に行われていた歴史があり、モンタナサファイアはいわば砂金取りの際に偶然発見された副産物と言えるでしょう。
19世紀後半から非常にハイスピードで発掘が進み20世紀を迎える頃には年間40万カラット以上のモンタナサファイアが採掘されたと言います。
しかし産出量の減少、採掘に関する採算とのバランスが崩れ、他国からも多くの魅惑的な品質のサファイアが産出し、合成サファイアの存在感も著しくなったことで、ヨゴ産のサファイアはその存在感を失くしていくのです。
モンタナサファイアの色、特徴を解説
モンタナサファイアは比較的多くの鉱床の中でも、特に珍しいタイプのサファイアとして認識されています。
前項でもお話した通り、まず特徴としてそのカラットの小ささが挙げられます。以前は最大のカラットで約8.5カラットものルースに研磨されたこともありますが、基本的に1カラットを超えるものは希少です。
宝石に加工できる品質のものはヨゴ産のもので約1/4程度しかなく、それ以外は工業用に利用されました。
モンタナサファイアは、通常のブルーよりもメタリックカラーを呈することが多く、しばしスティールブルーという形容でモンタナサファイアを形容することも少なくありません。ただし市場に出ているモンタナサファイアや宝飾品に加工されたものの多くは、通常加熱処理がされていることがほとんどです。
なおモンタナ州で産出するのはブルーサファイア以外にもイエローやバイオレット、グリーンなどのいわゆるファンシーカラーサファイアも採掘されています。
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価格はどれ位?気になるモンタナサファイアの価値を検証
モンタナサファイアはサファイア好きの方の中でも、なかなか出会えないメタルスライム並みの珍しさを誇ります。同じコランダムのルビー、またはベリル属のエメラルドと同様にその色合いやツヤなど、原産国でかなり特徴が異なりますが、ここではよく疑問に挙がるその価値についてお話していきたいと思います。
小粒ルースでも非加熱なら非常に高額な値段!?
今でこそヨゴ地区周辺で全盛期のモンタナサファイア採掘という夢、ロマンをかけて採掘再開に向け動きだしていると言います。しかしヨゴ地区以外で取れる原石は加工を施しても、薄い色合いのファンシーカラーサファイアや無色のものが多く、ティファニーのクンツ博士によって形容されたコーンフラワーブルーのような素晴らしい矢車草に似た色合いのサファイアは現在ではほとんど産出しません。
モンタナサファイアの価値をはじき出すにしても、どの程度の色合いを呈し、加熱処理をしているのか非加熱なのか、そしてカラット数によっても異なります。0.5カラット以上の宝石品質のルース自体がそもそも少ない為、ヨゴ産の非加熱のものはカシミール産同様に非常に高額で取り引きされます。
そもそも既にヨゴ地区での採掘は2000年代前半に終了しているので、現在出回っているものは過去に採掘されたもの、または加熱処理をガッツリ施したものやヨゴ鉱山ではない周辺鉱山のものに大別されます。
スッキリしたメタリックブルーが美しいモンタナサファイアではありますが、品質の悪い加熱処理済みのサファイアも多く、20世紀初頭に作られた宝飾品でモンタナサファイアをセットしたものは非加熱の為かなりの価値があることは明白です。
現在ヨゴ地区の周辺鉱山には多くの産出量を見込める地域があると考えられているので、今後の採掘によってはカシミール産、ミャンマー産を超える新生モンタナサファイア時代が訪れる可能性も排除できません。
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まとめ
今回はサファイアの中ではかなりのレア度を誇るモンタナサファイアについてお話してきました。
本場のヨゴ地区ではそもそも鉱山が枯渇している為、ピリリとスパイスを効かせたようなメタリックブルーのモンタナサファイアを見かけることはほとんどありません。しかしその周辺鉱山では、多くのブルーサファイアやファンシーカラーサファイアが産出している為、モダンジュエリーとしてのモンタナサファイアと出会うこともしばしば。
言葉で表現するのは難しいですが、ぜひモンタナサファイアと形容されるルースまたはそれらをセットしたジュエリーを見かけた際は、広大なモンタナの大地とクンツ博士によって見出された歴史を妄想しながらその色合いを楽しんでいただければと思います!
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