ティファニーと鉱物博士の出会い

クンツァイト(Kunzite)は紫色味を帯びたピンク色の上品な石です。ライラックの花にたとえられ、根強い人気がある石です。
このクンツァイトもティファニー社と深い関係がある石です。クンツァイトは人の名前に由来します。クンツ博士(George Frederick Kunz)の業績をたたえて、この石の名前が生まれました。

クンツ博士は、1900年初頭から1930年頃まで鉱物の世界、宝石の世界で活躍し、広く知られた人です。
クンツ博士は、ドイツ系移民の息子として1856年、ニューヨークで生まれました。
20才の頃、彼が集めた鉱物標本は約4,000点に達していました。彼は自身の足で野山を歩き、そして独学で鉱物の知識を吸収していました。

彼は同じ20才のとき、ニュージャージー州で集めた新しい鉱物を袋に詰めて、ティファニー社の社長(創業者、チャールズ・ハイス・ティファニー)に面会を求めました。
そして社長に会うと、「アメリカにはまだ発見されてない鉱物(宝石)がたくさんあります」と述べて、トルマリンやガーネットなどを見せました。
社長のティファニーは「全部買い取ります。探索の費用は気にしないで、美しいと思う原石をすべて我社に送って下さい」
その当時のティファニー社で取り扱っていた宝石は、ダイヤモンドやルビー、エメラルド、サファイアだけでした。
クンツが23才のとき、ティファニー社は彼を副社長として迎え入れました。ここから、ティファニー社はいろいろな宝石を展開することになります。

上品なピンクの宝石クンツァイト

そして、1902年、カリフォルニア州のサンディエゴで発見されたピンク色のトルマリンか水晶と思われる新しい原石がクンツの元に送られて来ました。この原石を調べたところ、ピンク・スポジューメンであることが判りました。
1903年(彼が47才のとき)、このピンク・スポジューメンの石に対して、ノースカロライナ大学のチャールズ・パスカヴィル教授がクンツァイトと命名しました。
同年(1903年)、彼は博士(Ph.D)の称号を得ました。(The University of Marburg)
彼は多くの名声(The Region of Honor、フランス)を得て、1932年、生涯を終えました。
クンツァイトの外観はピンク・サファイアに似ています。両者を識別するには10倍のルーペでダブリングを観察することです。クンツァイトのダブリングは比較的判り易いです。ピンク・サファイアのダブリングは小さ過ぎて、ほとんど判りません。

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