そもそも宝石とただの「石コロ」の違いって?

「宝石」と道路の端に転がっている「石コロ」は、何が違うのでしょうか? 宝石には次の三条件が必要です。それは①美しさ、②希少性、③硬さ です。この三条件は世界の宝石業界の共通認識です。
今回は三条件の中の「希少性」について掘り下げます。極端に希少であれば、宝石のビジネスが成り立ちません。博物館に展示されているだけでは、流通することがなく、ビジネスになりません。
逆に、ダイヤモンドが道端にゴロゴロ転がっていれば、誰も見向きもしません。ほとんど価値が無く、ダイヤモンドがビジネスの商材になりません。そうです。宝石には適度な希少性が必要なのです。
では、実際にダイヤモンド等の主要宝石について、どの程度の希少性があるのか、掘り下げてみます。

宝石の希少性を表す指標

使用する用語の意味は次の通りです。
  品位:鉱石1t(トン)当りに含まれる原石(宝石)または貴金属のグラム(g)。
  歩留:原石から選別された宝石質原石の割合(%)。
  原石=宝石質+準宝石質(低品質宝石)+非宝石(工業品または廃棄品)。
  鉱石1トンの大きさは、一辺75cmのサイコロのイメージです。

宝石名 品位 歩留
ダイヤモンド 0.1~0.2g
(0.5~1ct)
30%~60% →注1
ルビー 6~32g
(31~167ct)

(不明)
→注2
エメラルド 3.5~4g
(17.5~20ct)
約20% →注3
真珠 約30% →注4
プラチナ(白金) 平均3g(最高で10g) (100%) →注5
ゴールド(金) 平均10g(最高で40g) (100%) →注6
シルバー(銀) 平均300g(最高で700g) (100%) →注7

注1:品位について、南アフリカのある鉱山(レツェング鉱山)では0.002g(0.01ct)です。しかし、大粒のダイヤ(約60ct以上)が年間30石ほど採れるので採算が合う、といいます。
注2:宝石用、すなわち宝石質と準宝石質(低品質宝石)の合計の歩留はエメラルド程度(約20%)と推測されます。
注3:エメラルドは内包物(異物)が多いことで知られ、宝石質は少ないです。
注4:真珠貝は養殖中に約50%が死滅します。真珠の20%は不良品(破棄)です。
注5:プラチナの産出国は限られています。主力は南アフリカ、ロシアです。
注6:菱刈金鉱山(鹿児島県)は世界一の品位で有名です。40g/t。住友金属鉱山。
注7:石見銀山(島根県大田市)は最盛期に世界の三分の一を生産していました。

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