【宝石講座050】キャッツ・アイ・ストーンの概要

猫の瞳のような、白い光の束をもつ石

キャッツ・アイ・ストーン（猫眼石、猫目石）は、ある石をカボッション・カット（丸い山型カット）にしたとき、猫の眼のような白い光の束（光条）が見られる現象を言います。右図参照。
宝石業界で「キャッツ・アイ」といえば、通常、クリソベリル・キャッツ・アイを指します。

キャッツ・アイを示す石（ストーン）はいくつもあります。以下の通りです。

• クリソベリル・キャッツ・アイ（蜂蜜色～黄緑色）
• タイガーズ・アイ（虎眼石）（黄色～黄褐色）
• ホークス・アイ（鷹眼石）（灰青色～暗青色）
• クォーツ・キャッツ・アイ（グレイ・タイガーズ・アイ）（イーグル・アイ）（灰色～灰緑色）
• アクアマリン・キャッツ・アイ
• アパタイト・キャッツ・アイ
• トルマリン・キャッツ・アイ
• ネフライト・キャッツ・アイ

クリソベリル・キャッツ・アイとタイガーズ・アイの違い

一般的によく耳にする言葉は「キャッツ・アイ」と「タイガーズ・アイ」です。前者はクリソベリル・キャッツ・アイのことです。この石は希少で高価です。後者のタイガーズ・アイは比較的たくさん産出します。価格も安いです。
クリソベリルがキャッツ・アイ効果を示す原因は、超微細なチューブ（管）状インクルージョン（内包物）にあります。顕微鏡的サイズのチューブが平行に無数に存在しているからです。１０倍のルーペでこのチューブを見ることはできません。
一方、タイガーズ・アイがキャッツ・アイ効果を示す原因は、クロシドライト（青石綿、あおせきめん、あおいしわた）（Crocidolite）の存在にあります。初期のクロシドライトは青色をしています。その後、酸化されて、黄色に変化します。
青色の場合はホークス・アイと言います。黄色の場合はタイガーズ・アイと言います。
さらに、青色、黄色が退色して灰色になった場合、クォーツ・キャッツ・アイと言います。
クリソベリル・キャッツ・アイとタイガーズ・アイの見分け方について、先ず外観の色で判断します。前者の最高級品は蜂蜜色、そして黄緑色もあります。後者は黄色～黄褐色です。
次にクリソベリル・キャッツ・アイとクォーツ・キャッツ・アイの見分け方について、前者が黄緑色系、後者が灰緑色系になり、接近してくると、識別が難しくなります。
決め手は、キャッツ・アイの原因であるチューブまたは繊維の観察です。クリソベリル・キャッツ・アイのチューブは１０倍のルーペでは見えません。タイガーズ・アイまたはクォーツ・キャッツ・アイのクロシドライト繊維は見えます。
キャッツ・アイ効果はシャトヤンシー効果とも言います。