鮮やかで濃い青のブルートパーズ

最近、宝石のネット販売やカタログ通販において「スーパーブルー」という表現が見られます。ブルー・トパーズの色を表現するときに「スーパーブルー・トパーズ」と表示しています。鮮やかな濃い青色のトパーズに対して使われています。
しかし、「スーパーブルー」は国際的に認知された用語ではありません。スーパーの意味は「超」です。ブルーの前にスーパーを付けて、「スーパーブルー」と表示された言葉を初めて聞かれる方にとっては、色のイメージが浮かびません。

今、ブルー・トパーズの色について、色の濃淡(明度)、色の種類(赤色、橙色、黄色、青色など)(色相)、色の鮮やかさ(彩度)の視点から、一般に次の3種類に分けられています。
(1)スカイブルー :淡い青色、空色。
(2)スイスブルー :鮮やかな濃い青色。
(3)ロンドンブルー:藍色味を帯びた濃い青色。
スーパーブルーは、スイスブルーの中の一段と鮮やかで濃い色を指しています。ブルー・トパーズの生産企業または販売企業が、販売促進のために作り出した用語と思われます。
と言っても、スイスブルーもロンドンブルーも必要に応じて作り出された用語です。
最終的には、宝石業界及び一般消費者の間で定着するかどうかです。

現在、ブルー・トパーズは世界の宝石市場に大量に出回っています。天然ブルー・トパーズの産出は非常に少なく、濃い青色はありません。ですから、市場に濃い色のブルー・トパーズが大量に出回っていることは不思議なことです。
この不思議なことの背景には、1970年代に放射線を照射した後に加熱処理を行うと、無色透明なトパーズ(カラーレス・トパーズ)がブルー(青色)になるという現象が発見されたことにあります。下図のような工程です。

日本産の天然ブルートパーズが存在する

天然のブルー・トパーズは日本でも産出します。淡い(薄い)ブルーのトパーズです。
日本は明治期にトパーズの産出国として知られていました。今でも外国の宝石書籍では、トパーズの産出国として「JAPAN(日本)」が掲載されています。
滋賀県大津市「田上山(たなかみやま)」(標高400~600メートルの山々の総称)では明治期にトパーズがゴロゴロ産出したと言います。この石の価値に気付かなかった日本人は見向きもせず、外国商人が現地に入り、国外へどんどん持ち出したとのこと。
同じく岐阜県中津川市「苗木(なえぎ)地区」も明治期に湯飲み茶わんほどのトパーズがたくさん産出したと言います。そして、外国へ持ち出されてしまいました。

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