オパールの魅力的な虹色のヒミツ

日本人が好きな宝石の種類のひとつにオパールが挙げられます。確かに虹色のような美しさを持つオパールは魅力にあふれています。オパールに見られる虹色効果は、宝石の専門用語では「遊色効果」と呼ばれています。英語では「プレイ・オブ・カラー」と呼ばれています。
他の宝石では見られないオパール独特の虹色効果は、どのような理由で生じるのでしょうか? 長い間、宝石学者を悩ませた問題でした。オパールはなぜ虹色効果を示すのでしょうか?
赤色のルビーは赤色一色、青色のブルー・サファイアは青色一色を示します。オパールだけは、ひとつの石の中で赤色、青色、緑色など多彩な色を示します。オパールだけに見られる不思議な現象です。
この問題の解決には、電子顕微鏡の登場が必要でした。虹色効果は人間の目では見えない超微細な内部構造に原因していました。

1964年、オーストラリアの科学者達は電子顕微鏡を利用して、オパールの超微細な内部構造を明らかにしました。
驚くべき事実が判明しました。超微細な球が規則正しく整列した構造をしていたのです。右の写真は球が三次元に規則正しく配列していることを示しています。(写真
出所:Mineralogical Society of America)

その球の大きさは極めて小さく、200nm(ナノメーター)から300nmであることが判りました。nmは非常に小さなものを表すときに用いられる単位です。1nmは0.000001mm(ミリ)のことです。超微細な球が整列している場合、この球に光が当ると、干渉が起こり虹色になる、ということが知られています。干渉とは波の性質を持つ光が強め合ったり、弱め合ったりする現象のことです。
オパールの虹色は、超微細な球の大きさに影響されます。比較的小さい球の場合は紫色や青色になります。比較的大きい球の場合は赤色や橙色になります。中間の球の場合は黄色や緑色になります。
超微細な球の大きさが、小さ過ぎても大き過ぎても虹色効果は生まれません。虹色効果を示さないオパールはコモン・オパールと呼ばれています。適切な球の大きさの場合は虹色効果が生まれます。虹色効果を示すオパールはプレシャス・オパールと呼ばれています。

もうひとつの魅力「斑(ふ)」とその色

オパールを詳しく観察すると、ひとつの石の中で部分的に色が異なります。ある領域では赤色であり、他の領域では黄色、緑色などに分かれています。この色が異なる領域は「斑(ふ)」と呼ばれています。斑がよく出ている、などの表現をビジネスで使います。
宝石市場でより高い評価を受けるオパールは、斑が明瞭で石全体に広がっていること、そして赤色、橙色などの暖色が優位であることが挙げられます。斑の色の評価順位は、赤色、橙色に続いて黄色、紫色、そして緑色、青色です。しかし赤色や橙色を除いて、他の色は市場の評価と関係なく、個人個人の好みで選択すれば良いと思われます。
オパールを外観色から分類すると、次の4種類になります。
(1)ブラック・オパール
本体が黒色または灰色で虹色効果が見られるオパール。
(2)ホワイト・オパール
本体が白色で虹色効果が見られるオパール。
(3)ファイア・オパール
本体が赤色や橙赤色で透明なオパール。部分的に虹色効果を示すこともある。
(4)ウォーター・オパール
本体が無色や淡青色で透明、部分的に虹色効果を示すオパール。
ブラック・オパールやホワイト・オパールは主にオーストラリアで産出します。ファイア・オパールやウォーター・オパールは主にメキシコで産出します。
市場で最も高い評価を受けているオパールの種類はブラック・オパールです。世界の中でオーストラリアのみで産出します。さらにオーストラリアの東側寄りのひとつの地域、ライトニングリッジと呼ばれる地域のみで産出します。

虹色効果と外観色の関係性

多くの宝石の色は上から見ても、光りに透かして見ても、同じ色に見えます。しかし、オパールは透かして見ると、まったく別世界、別な色に変わります。虹色に見えていた斑が消失します。少し黄色味あるいは褐色味を帯びた透明体に変化します。美しい虹色効果は消えてしまいます。
オパールは上から当てる光で虹色効果が生まれます。光に透かして見ると、虹色効果は見られません。
ブラック・オパールについては、裏側に黒色や灰色の不透明な母岩(オパールと接する岩石)が付いているので、光を通して見ることはできません。常に上から見るだけということになります。
オパールの虹色効果は裏側、背景が黒色であると、より明瞭になります。ですから、ホワイト・オパールの裏側に黒色のオニキスなどを貼り付ける加工処理オパールも出回っています。
オパールの色は、宝石の中で極めて特異な構造に原因しています。ルビーの赤色発色は微量に含まれるクロム元素に原因しています。ブルー・サファイアの青色発色は微量に含まれる鉄元素とチタン元素に原因しています。このように多くの宝石の発色は微量に含まれる不純物に原因しています。しかし、オパールはまったく異なる発色原因です。
オパールは超微細な球状の粒が整列、集積した構造です。その粒は数千年、数万年の時間をかけて、三次元に整列したと推測されます。その結果、規則正しい超微細粒で光が反射し、干渉して虹色効果が生まれます。その粒の大きさ、整列方向の違いからひとつのオパールに赤色、橙色、黄色、緑色などの発色が見られます。

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