明確な形がない非結晶の宝石オパール

宝石専門店の店頭や宝石展示会のブースで時折、オパールの原石が置かれています。オパールの原石を少し観察すると、水晶やエメラルドの原石と大きく異なることに気付きます。

オパールの原石は明確な形がないのです。平らな面で囲まれていないのです。不透明な岩石の塊の一部に虹色を示すオパールが見られるだけです。そのオパールの形は不定形です。
右の写真はオパールの原石です。(写真出所:Wikipedia)

一方、水晶やエメラルドは平らな面で囲まれています。両石とも断面は六角形で柱状に伸びています。
すべての宝石は結晶と非結晶の2種類に大きく分けられます。結晶に分類される宝石の原石は一定の形を保って産出します。
しかし、非結晶の宝石は不定形で産出します。オパールは非結晶に属する数少ない宝石です。

オパールは光を透過させず、反射の美しさを楽しむ

原石から切り出され研磨仕上げされたオパールについて、市場に流通している形状を調べると、多くの場合一定の形状をしています。ほとんどの場合、オーバル・カボッション・カットです。上から見ると楕円形です。
右の写真はオーバル・カボッション・カットの例です。(写真出所:GIA) 横から見ると山形です。上部が高い山形で、下部が低い山形です。時に下部は平坦も見られます。

オパールは光の反射によって美しい虹色が見られます。光を透過させる必要はありません。
また、オパール自体は半透明ですから、光の透明度はよくないです。ですから、強いてステップ・カットのようなファセット(平らな研磨面)を持つカット・スタイルを適用する必要はありません。
オパールを光にかざして、透かして見ても美しくはありません。薄い黄色味あるいは薄い褐色味を帯びた半透明体に見えるだけです。オパールの美しい虹色効果は、光を表面で反射させることで生まれます。
オパールを耐久性の視点で見ると、硬度(モース硬度)は6.5で、硬い部類に属するわけではありません。ですから、ファセットを形成するカット・スタイルよりもカボッション・カットが適していると言えます。

オパールの種類の中にファイア・オパールと呼ばれるものがあります。赤色や橙色を示し、比較的透明度が高いです。部分的に虹色効果が見られることもあります。このファイア・オパールは山形のカボッション・カットにされないで、特別にファセットを持つカットが適用されます。
右の写真はファイア・オパールのカット形状の例です。(写真出所:GIA)

ランダムな遊色効果は、整然とした粒から生まれる

オパールの最大の特長は虹色効果にあります。この虹色効果は宝石用語で遊色(ゆうしょく)と呼ばれています。
英語表現のプレイ・オブ・カラーという用語も会話に出て来ます。オパールはなぜ遊色を示すのでしょうか?
他の宝石では見られない美しい虹色効果はなぜ生まれるのでしょうか?オパールの内部構造を深く深く探る必要があります。電子顕微鏡による研究の結果、オパールの内部は驚くべき形をしていたのです。超微細な球が規則正しく整列している構造をしていたのです。オパールは球形の集合体だったのです。

右図はオパールの内部を電子顕微鏡で観察したときの模式図です。粒のそろった球が縦と横に整然と並んでいます。
右図は平面ですが、実際には高さ方向でも球が整列しています。この球の大きさは光の波長に近く、人間の目では見えません。

虹色効果が生まれるには、次の二つの条件が満たされたときです。
(1)同じ大きさの球が整列していること。
(2)球の大きさが光の波長に近いこと。
上の二つの条件が満たされると虹色効果が生まれる、ということが物理の世界で証明されています。
私達が手に取って眺めるオパールは、超微細な球が整然と並んで、その球は数億個、数十億個が集まっていることになります。オパールの内部は不思議な世界です。
オパールは虹色効果が特長です。赤色、橙色、黄色、緑色、青色、藍色、紫色の色が見られます。多彩な色が生じる理由は、超微細な球のサイズに原因しています。光の波長に近い球ですが、少しサイズが異なると、発生する色も異なります。
赤色や橙色が見られる場合は、球のサイズがより大きいと推測されています。藍色や紫色が見られる場合は、球のサイズがより小さいと推測されています。
オパールの中には虹色効果、遊色が見られないものもあります。このオパールはコモン・オパールと呼ばれています。超微細な球が整然と並んでない場合、虹色は発生しません。
あるいは球のサイズが光の波長よりもかなり大き過ぎる場合も発生しない、と推測されます。
オパールは超微細球の集合体であることが判明してから、オパールを人工的に造る挑戦が始まりました。フランスや日本で合成石を造ることに成功しました。
宝石市場に流通している合成オパールは美しい虹色効果を示します。天然オパールと比較してもみごとな出来栄えです。超微細な球を整然と並べるには高度な技術を要すると思われます。
天然オパールが虹色効果を生み出すには、大自然の中で超微細球が整然と並ぶ必要があります。整然と並ぶ環境が必要です。このような環境は広い地球の中でも希です。オパールの産出地は限られています。オーストラリア、メキシコ、エチオピアなどです。

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