アイオライトを鉱物コーディエライトとして分析する

宝石の分野ではアイオライトと呼ばれていますが、鉱物の分野ではコーディエライトと呼ばれています。ですから、アイオライトの本質を追究する場合は、コーディエライトとして取り扱った方が適切かもしれません。
アイオライトは二つの成分が混じり合ったものです。ひとつは純粋なコーディエライト、もうひとつはアイアン・コーディエライトです。
コーディエライトの化学組成(成分)はMg2Al4Si5O18です。アイアン・コーディエライトの化学組成はFe2Al4Si5O18です。Mg(マグネシウム)とFe(鉄)の部分に違いがあります。その他はまったく同じです。
アイオライトはコーディエライトとアイアン・コーディエライトが混じり合ったもので、化学組成は(Mg、Fe)2Al4Si5O18です。二つの成分が混じり合ったものは固溶体と呼ばれています。もう少し詳しく固溶体を説明すると、2種類以上の元素が互いに溶け合い、全体が均一な固体になっているものです。
アイオライトの成分は生成時の環境によってかなり変化します。産出国や地域によって成分が異なります。特にMgとFeの変化が著しいです。

マンガンと鉄の比率が発色に影響する

右の表はアイオライトの各成分が変動することを示しています。上から3番目のMgOと4番目のFeOの変動が大きいです。
アイオライトの色は紫青色や青色、褐色などが見られます。発色は主に鉄(Fe)元素によると考えられています。しかし、鉄元素の発色は一般に鮮やかさに欠けます。
アイオライトが美しい青色を示すのは鉄元素の他にチタン元素が関与していると推測されています。ブルー・サファイアの美しい青色は、鉄元素とチタン元素に原因しています。

上の表を見ると、第5番目にTiO2が挙げられています。確かにチタン元素が微量に含まれています。
第6番目にMnOが挙げられています。一般にマンガン(Mn)元素が含まれていると、ピンク色に発色します。アイオライトの紫色はこのマンガン元素と鉄元素に原因していると推測されます。
MgOと共にFeOの変動は大きく、褐色系のアイオライトの発色は過剰な鉄元素に原因していると思われます。アイオライトの発色には鉄元素が深く関わっています。
MgOとFeOの混合割合は大きくバラツキます。産出したアイオライトの混合割合をみると、MgO:FeO=1:0.1やMgO:FeO=1:7などです。

アイオライトの三層特性図

アイオライトの本質特性を探るには、成分(化学組成)を知ることが必要です。この成分が基本になって固有特性や表面特性が生まれます。下の図は三層特性図と名付けられたもので、アイオライトのいろいろな特性を知る上で有用です。

右図の本質特性の中に固溶体という項目があります。アイオライトはコーディエライトとアイアン・コーディエライトが混じり合ったものです。
このようなものは固溶体と呼ばれています。
固溶体の例はアイオライトの他にペリドットが挙げられます。ペリドットはフォルステライトとファイアライトが混じり合ったものです。

ペリドットの成分(化学組成)は(Mg、Fe)2SiO4です。フォルステライトの成分はMg2SiO4で、ファイアライトの成分はFe2SiO4です。ペリドットはフォルステライトとファイアライトの固溶体です。
固有特性の中に強多色性という項目があります。この項目はアイオライトの特徴を最も表しています。鑑別に有効な項目のひとつです。アイオライトのルースを上から観察すると、美しい紫青色が見られます。この石を側面から観察すると、表面特性の中に示しているような淡黄色(または無色に近い色)が見られます。方向によって色が強烈に変わります。余りにも強烈な色変わりですから、この石は「ダイクロアイト」(ふたつの色を持つ石)という別名があります。
多色性は二色性と三色性に分けられます。方向変えて観察すると、二色が見られる場合は二色性と呼ばれています。三色が見られる場合は三色性と呼ばれています。アイオライトは三色性に属します。二色性の例はルビーやブルー・サファイアなどです。
アイオライトは三色性に属しますから、方向を変えて観察すると合計三色が見られます。本体の色によって少し三色も変化します。
外観が紫青色のアイオライトについて方向を変えると、紫青色と青色と淡黄色の三色が見られます。鑑別において、一般に三色をすべて検出することはしないで、簡単に見られる紫青色と淡黄色だけを検出します。
三層特性図の中でアイオライトは、宝石として特別に目立つ項目はありません。硬度は7で普通です。一応耐久性はあると言えます。屈折率は1.54~1.55程度で強いテリを持っているわけではありません。

まとめ

アイオライトの魅力はやはり色ということになります。紫色味を帯びた青色はタンザナイトを思い起こさせます。また美しい青色はブルー・サファイアを思い起こさせます。
さらに紫色が強く出たアイオライトはアメシストにも似ています。アイオライトは手頃な価格で入手できます。まだまだアイオライトの名前は浸透していませんが、少しずつ人気が出てくると思われます。

本稿は無断転載禁止です。ヴィサージュジャパン 株式会社