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さまざまなカットが可能なアルマンディン・ガーネット
ガーネットは最もよく知られた石のひとつです。市場でみかける少し黒色味を帯びた赤
色のガーネットは、ほとんどアルマンディン・ガーネットと呼ばれる種類です。
このアルマンディン・ガーネットはいろいろな形状にカット(切断、研磨)されて、市場に出回っています。エメラルドに見られるカット様式、これは階段状にカットされていることからステップ・カットと呼ばれています。アルマンディン・ガーネットもステップ・カットが多いです。
またアルマンディン・ガーネットはダイヤモンドに見られるラウンド・ブリリアント・カットも市場で見られます。
シンプルなカボッション・カット
さらにヒスイやトルコ石に見られるカボッション・カット様式、これは上から見ると楕円形状で、側面から見ると山形をしています。アルマンディン・ガーネットはこのカットも市場で見られます。

ざくろ石といわれるゆえん
ガーネットと言えば、暗赤色のアルマンディン・ガーネットに出会う機会が多いですが、ガーネットには暗赤色の他に緑色やオレンジ色などもあります。
特に緑色のデマントイド・ガーネットと呼ばれる石は、ガーネットの中で希少で最も高価です。この石はダイヤモンドと同じカット様式のラウンド・ブリリアント・カットにされます。
このカットの形状にすると、自身が持つ高屈折率の特性を引き出し、より美しく輝きます。

自然の神秘 針状のルチル結晶
右の写真はこの針状結晶が交差し分布している状態を示しています。この結晶はルチルと呼ばれており、細くて長い形状です。
細くて長い形状のルチル結晶は、70度あるいは110度で交差しています。右下図はルチル結晶が一定の角度で交差している状態を模式的に表した図です。
天然宝石の多くは、内部にいろいろな形状の結晶を含みます。外観に大きな影響を与えることがないなら、むしろ歓迎されるものかもしれません。
内部に含まれる結晶は天然産の証明であり、自然の不思議さを考えさせられるものといえます。針のような形をしたルチルの結晶が数ミリ伸びるには、何千年を要したのでしょうか?


「馬の尻尾」を持つ、神秘のデマントイド・ガーネット
ガーネットの中で最も高価な種類はデマントイド・ガーネットです。鮮やかな緑色の宝
石です。この宝石はラウンド・ブリリアント・カットの形状にされることが多いです。
この宝石の内部を10倍のルーペで観察すると、珍しい形状の結晶に出会うことがあ
ります。
物)と呼ばれています。ロシア産のデマントイド・ガーネットにはしばしばこのホース・テール・インクルージョンが見られます。右の写真はこのインクルージョンを示しています。
デマントイド・ガーネットはアフリカでも採れます。しかしアフリカ産にはホース・テール・インクルージョンが見られません。
この馬の尻尾の形をした結晶はクリソタイルです。自然が作り出す不思議な形状です。
この写真のように放射状にきれいに伸びたインクルージョンを持つデマントイド・ガ
ーネットはより高価です。

デマントイドとは、ダイヤモンドのようなという意味です。確かにこのガーネットの屈
折率は高く、ダイヤモンドのような輝きを放ちます。
馬の尻尾を持つデマントイド・ガーネットは、幸運を呼ぶ宝石と言われ、ヨーロッパで
根強い人気があります。
一般に色が濃過ぎるガーネットや透明性が落ちるガーネットは、球形や多面形のビーズに加工され、ブレスレットやネックレスとして使われます。
さらに色が濃くなり、外観が真っ黒に見えるガーネットもあります。この石はメラナイトと呼ばれています。メラナイトはラウンド・ブリリアント・カットの形状に加工されると、ブラック・ダイヤモンドのような感じになります。